債権法改正 要綱仮案 情報整理

第23 弁済

3 弁済として引き渡した物の取戻し(民法第476条関係)

 民法第476条を削除するものとする。

中間試案

3 弁済として引き渡した物の取戻し(民法第476条関係)
  民法第476条を削除するものとする。

(概要)

 行為能力の制限を受けた所有者が弁済としてした物の引渡しに関する民法第476条を削除するものである。同条の具体的な適用場面は制限行為能力者が代物弁済をした場合に限られる一方で,その適用場面においても,再度の債務の履行と引き渡した物の取戻しとの間に同時履行の関係が認められないのは,売買等の他の有償契約の取消しの場合との均衡を欠き,不合理であると指摘されている。このような一般的な理解を踏まえ,同条を削除することによって,規律の合理化を図るものである。なお,同条の削除に伴い,同法第477条の適用範囲は,同法第475条の場合に限定されることになる。

赫メモ

 中間試案からの変更はない(中間試案概要参照)。

現行法

(弁済として引き渡した物の取戻し)
第475条 弁済をした者が弁済として他人の物を引き渡したときは、その弁済をした者は、更に有効な弁済をしなければ、その物を取り戻すことができない。

第476条  譲渡につき行為能力の制限を受けた所有者が弁済として物の引渡しをした場合において、その弁済を取り消したときは、その所有者は、更に有効な弁済をしなければ、その物を取り戻すことができない。

(弁済として引き渡した物の消費又は譲渡がされた場合の弁済の効力等)
第477条 前二条の場合において、債権者が弁済として受領した物を善意で消費し、又は譲り渡したときは、その弁済は、有効とする。この場合において、債権者が第三者から賠償の請求を受けたときは、弁済をした者に対して求償をすることを妨げない。

斉藤芳朗弁護士判例早分かり