債権法改正 要綱仮案 情報整理

第23 弁済

6 弁済の方法(民法第483条から第487条まで関係)
(2) 弁済の時間

 弁済の時間について、次のような規律を設けるものとする。
 法令又は慣習により取引時間の定めがある場合には、その取引時間内に限り、債務の履行をし、又はその履行の請求をすることができる。

中間試案

6 弁済の方法(民法第483条から第487条まで関係)
 (2) 法令又は慣習により取引時間の定めがある場合には,その取引時間内に限り,債務の履行をし,又はその履行の請求をすることができるものとする。

(概要)

 本文(2)は,弁済の時間について,商法第520条の規律を一般化して民法に設けるものである。現在は弁済の時間に関する規定は民法に置かれていないが,商法第520条の規律内容は,必ずしも商取引に特有のものではなく,取引一般について,信義則上,当然に同様の規律が当てはまるという一般的な理解を明文化するものである。

赫メモ

 中間試案からの変更はない(中間試案概要参照)。

現行法

商法
(取引時間)
第520条 法令又は慣習により商人の取引時間の定めがあるときは、その取引時間内に限り、債務の履行をし、又はその履行の請求をすることができる。

斉藤芳朗弁護士判例早分かり

【取引時間外になされた弁済の提供であっても,債権者が受け取れば弁済としての効力を有する】最高裁昭和35年5月6日判決・民集14巻7号1136頁
 ABの間で債務を分割払いとする裁判上の和解が成立し,Bは弁済期の午後9時30分に弁済金をAのもとに持参し,Aはこれを受領した。しかし,Aは,Bに不履行があったとして,Bに対する強制執行を行った。
 商法520条にいう取引時間外になされた弁済の提供であっても,債権者が任意に弁済を受領し,それが弁済期日内であれば,債務者は遅滞の責を負うことはない。