第23 弁済
民法第486条の規律を次のように改めるものとする。
弁済をする者は、弁済と引換えに、弁済を受領する者に対して受取証書の交付を請求することができる。
6 弁済の方法(民法第483条から第487条まで関係)
(3) 民法第486条の規律を改め,債務者は,受取証書の交付を受けるまでは,自己の債務の履行を拒むことができるものとする。
本文(3)は,受取証書の交付と債務の履行が同時履行の関係にあるという一般的な理解に従って,民法第486条を改めるものである。
規律の趣旨は、中間試案概要と同じである。
(受取証書の交付請求)
第486条 弁済をした者は、弁済を受領した者に対して受取証書の交付を請求することができる。
【弁済と受取証書の交付は同時履行の関係にある】最高裁昭和39年10月8日判決・集民75号635頁
AB間の賃貸借契約に基づき,Bは受取証書の交付を受けないまま異議なく家賃の支払いをしていたが,その後の家賃の支払いを拒絶した。
家賃の支払いと受取証書の交付は同時履行の関係に立つと解すべきであるが,Bが受取証書の交付を受けないで異議なく家賃の支払いをした場合,先に支払った家賃について受取証書の交付がないことを理由として,その後の家賃の支払いを拒絶できない。