第24 相殺
民法第505条第2項の規律を次のように改めるものとする。
前項の規定にかかわらず、当事者が相殺を禁止し、又は制限する旨の意思を表示した場合には、その意思表示は、第三者がこれを知っていたとき又は重大な過失により知らなかったときに限り、その第三者に対抗することができる。
1 相殺禁止の意思表示(民法第505条第2項関係)
民法第505条第2項ただし書の善意という要件を善意無重過失に改めるものとする。
相殺禁止の特約に関する民法第505条第2項ただし書の善意という要件を善意無重過失に改めるものである。特約の効力を第三者に対抗するための要件について,債権の譲渡禁止特約に関する同法第466条第2項の見直し(前記第18,1参照)を参照しつつ,これと整合的な見直しを図るものである。
規律の趣旨は、中間試案概要と同じである。また、民法505条2項の「反対の意思」の内容を明確化するために「相殺を禁止し、又は制限する旨の意思」に改められた(部会資料83-3、32頁)。
(相殺の要件等)
第505条 二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2 前項の規定は、当事者が反対の意思を表示した場合には、適用しない。ただし、その意思表示は、善意の第三者に対抗することができない。