債権法改正 要綱仮案 情報整理

第27 契約の成立

2 承諾の期間の定めのある申込み(民法第521条第1項・第522条関係)

 民法第521条第1項及び第522条の規律を次のように改めるものとする。
(1) 承諾の期間を定めてした契約の申込みは、撤回することができない。ただし、申込者が撤回をする権利を留保したときは、この限りでない。
(2) 民法第522条を削除するものとする。

中間試案

2 承諾の期間の定めのある申込み(民法第521条第1項・第522条関係)
 (1) 民法第521条第1項の規律を改め,承諾の期間を定めてした契約の申込みは,申込者が反対の意思を表示した場合を除き,撤回することができないものとする。
 (2) 民法第522条を削除するものとする。

(概要)

 本文(1)は,承諾期間の定めのある申込みは撤回することができない旨の民法第521条第1項の規律を維持しつつ,申込者の意思表示によって撤回をする権利を留保することができる旨の規律を付け加えるものである。このような場合には,申込みの撤回を認めても相手方に不当な損害を及ぼすことはないと考えられるからであり,同項の一般的な解釈を明文化するものである。
 本文(2)は,契約の成立の場面においても他の意思表示と同様に到達主義を採る(後記6(1))のであれば,承諾の意思表示についてのみ,その延着について他の意思表示と異なる扱いをする必要はないと考えられることから,民法第522条を削除するものである。

赫メモ

 規律の趣旨は、中間試案概要と同じである。

現行法

(承諾の期間の定めのある申込み)
第521条 承諾の期間を定めてした契約の申込みは、撤回することができない。
2 申込者が前項の申込みに対して同項の期間内に承諾の通知を受けなかったときは、その申込みは、その効力を失う。

(承諾の通知の延着)
第522条 前条第一項の申込みに対する承諾の通知が同項の期間の経過後に到達した場合であっても、通常の場合にはその期間内に到達すべき時に発送したものであることを知ることができるときは、申込者は、遅滞なく、相手方に対してその延着の通知を発しなければならない。ただし、その到達前に遅延の通知を発したときは、この限りでない。
2 申込者が前項本文の延着の通知を怠ったときは、承諾の通知は、前条第一項の期間内に到達したものとみなす。

斉藤芳朗弁護士判例早分かり