第34 使用貸借
民法第593条の規律を次のように改めるものとする。
使用貸借は、当事者の一方がある物を引き渡すことを約し、相手方がその引渡しを受けた物について無償で使用及び収益をして契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。
1 使用貸借の成立等(民法第593条関係)
民法第593条の規律を次のように改めるものとする。
(1) 使用貸借は,当事者の一方がある物を引き渡すことを約し,相手方が引渡しを受けた物を無償で使用及び収益をした後に返還することを約することによって,その効力を生ずるものとする。
本文(1)は,使用貸借を要物契約とする民法第593条の規定を改め,使用貸借を諾成契約として規律するものである。使用貸借は,経済的な取引の一環として行われることも多いため,目的物が引き渡されるまで契約上の義務が生じないのでは取引の安定を害するおそれがあり得ることを理由とする。なお,使用貸借の諾成契約化に伴う論点として,使用貸借に基づく目的物の引渡し前に当事者の一方が破産手続開始,再生手続開始又は更生手続開始の決定を受けた場合の処理に関しては,特段の規定を設けずに破産法第53条,民事再生法第49条,会社更生法第61条,前記第37,1(5),2(3)(民法第589条)の解釈に委ねることとしている。
中間試案1(1)と同じである(中間試案概要、参照)。
(使用貸借)
第593条 使用貸借は、当事者の一方が無償で使用及び収益をした後に返還をすることを約して相手方からある物を受け取ることによって、その効力を生ずる。