債権法改正 要綱仮案 情報整理

第34 使用貸借

4 使用貸借終了後の収去義務及び原状回復義務(民法第598条関係)

 民法第598条の規律を次のように改めるものとする。
(1) 借主は、借用物を受け取った後にこれに附属させた物がある場合において、使用貸借が終了したときは、その附属させた物を収去する義務を負う。ただし、借用物から分離することができない物又は分離するのに過分の費用を要する物については、この限りでない。
(2) 借主は、借用物を受け取った後にこれに附属させた物を収去することができる。
(3) 借主は、借用物を受け取った後にこれに生じた損傷がある場合において、使用貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が借主の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

中間試案

3 使用貸借終了後の収去義務及び原状回復義務(民法第598条関係)
  民法第598条の規律を次のように改めるものとする。
 (1) 借主は,借用物を受け取った後にこれに附属させた物がある場合において,使用貸借が終了したときは,その附属させた物を収去する権利を有し,義務を負うものとする。ただし,借用物から分離することができない物又は借用物から分離するのに過分の費用を要する物については,この限りでないものとする。
 (2) 借主は,借用物を受け取った後にこれに生じた損傷がある場合において,使用貸借が終了したときは,その損傷を原状に復する義務を負うものとする。この場合において,その損傷が契約の趣旨に照らして借主の責めに帰することができない事由によって生じたものであるときは,借主は,その損傷を原状に復する義務を負わないものとする。

(概要)

 本文(1)は,民法第598条の規定のうち収去義務及び収去権に関する規律をより明確にするものであり,使用貸借の借主の収去義務及び収去権に関する一般的な理解を明文化するものである(賃貸借に関する前記第38,13(1)参照)。
 本文(2)は,民法第598条の規定のうち原状回復義務に関する規律をより明確にするものであり,使用貸借の借主の原状回復義務に関する一般的な理解を明文化するものである。賃貸借の場合(前記第38,13(3)参照)とは異なり,通常損耗の回復が原状回復義務に含まれるかどうかについては,個々の使用貸借契約の趣旨によって様々であると考えられることから,デフォルトルールは置かないこととしている。

赫メモ

 要綱仮案(1)(2)は、中間試案(1)に関する中間試案概要のとおりである。
 要綱仮案(3)は、中間試案(2)に関する中間試案概要のとおりである。

現行法

(借主による収去)
第598条 借主は、借用物を原状に復して、これに附属させた物を収去することができる。

斉藤芳朗弁護士判例早分かり