債権法改正 要綱仮案 情報整理

第34 使用貸借

5 損害賠償の請求権に関する期間制限(民法第600条関係)

 民法第600条に次の規律を付け加えるものとする。
 民法第600条に規定する損害賠償の請求権については、貸主が返還を受けた時から1年を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

中間試案

4 損害賠償及び費用償還の請求権に関する期間制限(民法第600条関係)
  民法第600条の規律を次のように改めるものとする。
 (1) 契約の趣旨に反する使用又は収益によって生じた損害の賠償は,貸主が目的物の返還を受けた時から1年以内に請求しなければならないものとする。
 (2) 上記(1)の損害賠償請求権については,貸主が目的物の返還を受けた時から1年を経過するまでの間は,消滅時効は,完成しないものとする。
 (3) 借主が支出した費用の償還請求権に関する期間制限の部分を削除するものとする。

(概要)

 借主の用法違反による貸主の損害賠償請求権及び借主の費用償還請求権に関する期間制限について,賃貸借に関する前記第38,14と同様の扱いをするものである。賃貸借と同様に扱うという限りにおいて,現行法を維持するものである。

赫メモ

 規律の趣旨は、中間試案(2)に関する中間試案概要のとおりである。中間試案(3)の規律については、賃貸人と賃借人の間の利益の均衡を失しているとの問題があることを考慮して、要綱仮案では、当該規律を設けることが見送られた(部会資料81-3、17頁)。また、中間試案(1)において、民法621条(同法600条の準用)の規定のうち、同法600条の「契約の本旨に反する」という表現を改めるものとされていたが、要綱仮案では見送られた。

現行法

(損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限)
第600条 契約の本旨に反する使用又は収益によって生じた損害の賠償及び借主が支出した費用の償還は、貸主が返還を受けた時から一年以内に請求しなければならない。

斉藤芳朗弁護士判例早分かり