債権法改正 要綱仮案 情報整理

第37 雇用

3 期間の定めのない雇用の解約の申入れ(民法第627条関係)

 民法第627条第2項及び第3項の規律を次のように改めるものとする。
(1) 期間によって報酬を定めた場合には、使用者からの解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。
(2) 6箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、(1)の解約の申入れは、3箇月前にしなければならない。

中間試案

3 期間の定めのない雇用の解約の申入れ(民法第627条関係)
  民法第627条第2項及び第3項を削除するものとする。

(概要)

 民法第627条第2項及び第3項は,労働基準法第20条の存在によって実際上の適用場面がほとんど想定されなくなっている上,労働者の辞職の申入れの期間として3か月を要するのは長すぎて不当であると考えられることから,規定を削除することによって規律の合理化を図るものである。これらの規定の削除により,使用者による解雇の予告期間については労働基準法第20条又は民法第627条第1項が適用され,他方,労働者からの解約の予告期間については一律に同項が適用されることになる。

赫メモ

 要綱仮案は、労働者からの解除の予告期間を短縮し、辞職の自由を保護するため、解除の予告期間を改めるものである。期間の定めのない雇用の労働者からの解約申入れは、一律に627条1項が適用されることになる。なお、中間試案においては、使用者からの解除の予告期間についても、民法627条2項及び3項を削除して、労働基準法20条または民法627条1項を適用するものとされたが、使用者からの解約申入れ期間をあえて短縮する必要はないとの考え方から、要綱仮案では現状を維持することとなった(部会資料82-2、9頁、部会資料81B、22頁)。

現行法

(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
第627条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
2 期間によって報酬を定めた場合には、解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。
3 六箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、三箇月前にしなければならない。

斉藤芳朗弁護士判例早分かり