債権法改正 要綱仮案 情報整理

第38 寄託

2 受寄者の自己執行義務等(民法第658条関係)
(1) 受寄者の自己執行義務

 民法第658条第1項の規律を次のように改めるものとする。
ア 受寄者は、寄託者の承諾を得なければ、寄託物を使用することができない。
イ 受寄者は、寄託者の承諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、寄託物を第三者に保管させることができない。

中間試案

2 受寄者の自己執行義務(民法第658条関係)
 (1) 民法第658条第1項の規律を次のように改めるものとする。
  ア 受寄者は,寄託者の承諾を得なければ,寄託物を使用することができないものとする。
  イ 受寄者は,寄託者の承諾を得たとき,又はやむを得ない事由があるときでなければ,寄託物を第三者に保管させることができないものとする。

(注)上記(1)イについては,「寄託者の承諾を得たとき,又は再受寄者を選任することが契約の趣旨に照らして相当であると認められるとき」でなければ,寄託物を第三者に保管させることができないものとするという考え方がある。

(概要)

 本文(1)は,やむを得ない事由がある場合にも寄託者が再受寄者を選任することができることとして(本文(1)イ),民法第658条第1項の規律を改めている。寄託者の承諾を得た場合にのみ再寄託をすることができるとする同項の規律については,硬直的で実務的に不都合を生ずるおそれがあるとの指摘のほか,委任の規律(前記第41,1参照)との整合性を欠くとの指摘があることを踏まえたものである。なお,本文(1)イについては,委任の規律と同様に,再受寄者を選任することができるのが,寄託者の承諾を得た場合のほかは「やむを得ない事由があるとき」に限定されているのは狭過ぎるとして,再受寄者の選任が契約の趣旨に照らして相当であると認められる場合にも再受寄者の選任を認めるべきであるという考え方があり,これを(注)で取り上げている。

赫メモ

 中間試案からの変更はない(中間試案概要、参照)。

現行法

(寄託物の使用及び第三者による保管)
第658条 受寄者は、寄託者の承諾を得なければ、寄託物を使用し、又は第三者にこれを保管させることができない。

斉藤芳朗弁護士判例早分かり