債権法改正 要綱仮案 情報整理

第39 組合

1 契約総則の規定の不適用

 組合契約に対する契約総則の規定の不適用について、次のような規律を設けるものとする。
(1) 民法第533条及び第536条の規定は、組合契約については、適用しない。
(2) 組合員は、他の組合員が組合契約に基づく債務の履行をしない場合であっても、組合契約を解除することができない。

中間試案

2 他の組合員が出資債務を履行しない場合
 (1) 組合員は,他の組合員が出資債務の履行をしないことを理由として,自己の出資債務の履行を拒むことができないものとする。
 (2) 組合員は,他の組合員が出資債務の履行をしない場合であっても,組合契約の解除をすることができないものとする。

(概要)

 本文(1)は,組合契約における同時履行の抗弁の規定の適用に関し,組合員は,他の組合員が出資債務の履行をしないことを理由として,自己の出資債務の履行を拒むことができないという一般的な理解を明文化するものである。
 本文(2)は,組合契約の終了に関しては,組合員の脱退,組合員の除名,組合の解散に関する規定が置かれていることから解除の規定の適用はないという理解が一般的であり(大判昭和14年6月20日民集18巻666頁参照),このことを明文化するものである。

赫メモ

 規律の趣旨は、中間試案概要のとおりである。要綱仮案(1)の表現については、部会資料81-3、26頁以下、参照。

現行法

(同時履行の抗弁) 
第533条 双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。

(債務者の危険負担等)
第536条 前二条に規定する場合を除き、当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を有しない。
2 債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を失わない。この場合において、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。

斉藤芳朗弁護士判例早分かり

 (AB=組合員,PQ=第三者)
【組合員の除名・脱退等の規定は契約解除に関する特別規定であり,組合契約については民法541条以下の適用はない】大審院昭和14年6月20日判決・民集18巻666頁
 Aら37名が組合員となっている無人講において,年4回開催すべき講会を蔵元が開催しなかったため,Aが契約を解除して,既払いの掛金等の返還を求めた。
 民法の組合の規定のうち,組合員の除名,脱退等の規定は契約解除に関する特別規定であるから,組合においては,民法541条以下の規定は適用されない。なぜなら,一組合員の不履行によって組合契約全部が解除される結果が生じ,組合の団体性に反するばかりか,民法が脱退,除名等の規定をもうけた法意を没却するからである。