債権法改正 要綱仮案 情報整理

第39 組合

3 組合の債権者の権利の行使(民法第675条関係)

 民法第675条の規律を次のように改めるものとする。
(1) 組合の債権者は、組合財産についてその権利を行使することができる。
(2) 組合の債権者は、各組合員に対して等しい割合でその権利を行使することができる。ただし、組合の債権者がその債権の発生の時に各組合員の損失分担の割合を知っていたときは、その割合による。

中間試案

3 組合の財産関係(民法第668条ほか関係)
 (1) 組合の財産関係について,民法第668条,第674条,第676条及び第677条の規律を維持した上で,次のような規律を付け加えるものとする。
  ウ 組合の債権者は,組合財産に属する財産に対し,その権利を行使することができるものとする。
 (2) 民法第675条の規律を改め,組合の債権者は,各組合員に対しても,等しい割合でその権利を行使することができるものとする。ただし,組合の債権者がその債権の発生の時に組合員の損失分担の割合を知っていたときは,その割合によってのみその権利を行使することができるものとする。

(概要)

 本文(1)ウは,組合の債務については,各組合員に分割されて帰属するのではなく,1個の債務として総組合員に帰属し,組合財産がその引当てとなるという一般的な理解を明文化するものである。
 本文(2)は,民法第675条の規律を改めるものである。同条は,組合の債権者がその債権の発生の時に組合員の損失分担の割合を知らなかったときは各組合員に対して等しい割合でその権利を行使することができると規定しているところ,これに対して,債権者に組合員相互の損失分担の割合を知らなかったことの証明を求めるよりも,均等割合を原則とした上で,これと異なる分担割合の定めがある場合には,各組合員において,これを債権者が知っていたことを証明するものとした方が適当であるという指摘があることを踏まえたものである。

赫メモ

 規律の趣旨は、中間試案(1)ウ及び(2)に関する中間試案概要のとおりである。

現行法

(組合員に対する組合の債権者の権利の行使)
第675条 組合の債権者は、その債権の発生の時に組合員の損失分担の割合を知らなかったときは、各組合員に対して等しい割合でその権利を行使することができる。

斉藤芳朗弁護士判例早分かり

 (AB=組合員,PQ=第三者)
【組合の手形債務については,組合員も合同責任を負担する】最高裁昭和36年7月31日判決・民集15巻7号1982頁
 組合員Aら合計23名で結成した定置漁業協同組合に対して製縄を売り渡し,組合長B名義の手形を受け取ったPが,Aらを相手取って手形金の支払いを求めた。
 本件手形は,組合の代表者Bが,その権限に基づき,組合のために,組合代表者名義で振出したものである以上,組合員Aらは,手形上,各組合員の氏名が表示された場合と同様,手形について共同振出人として,合同してその責を負う。