債権法改正 要綱仮案 情報整理

第39 組合

8 組合員の加入

 組合員の加入について、次のような規律を設けるものとする。
(1) 組合員は、その全員の同意によって、又は組合契約の定めるところにより、新たに組合員を加入させることができる。
(2) (1)の規定により組合の成立後に加入した組合員は、その加入前に生じた組合の債務については、これを弁済する責任を負わない。

中間試案

6 組合員の加入
 (1) 組合の成立後であっても, 組合員は,その全員の同意をもって,又は組合契約の定めるところにより,新たに組合員を加入させることができるものとする。
 (2) 上記(1)により組合の成立後に加入した組合員は,その加入前に生じた組合債務については,これを履行する責任を負わないものとする。

(概要)

 本文(1)は,組合の成立後であっても新たな組合員の加入が可能であること(大判明治43年12月23日民録16輯982頁)を前提に,その要件について,一般的な理解を明文化するものである。
 本文(2)は,組合の債権者は各組合員の固有財産に対してもその権利を行使することができるとする民法第675条との関係で,新たに加入した組合員がその加入前に生じた組合債務についても自己の固有財産を引当てとする責任を負うかどうかが明らかでないことから,これを否定する一般的な理解を明文化するものである。

赫メモ

 規律の趣旨は、中間試案概要のとおりである。

現行法


斉藤芳朗弁護士判例早分かり

 (AB=組合員,PQ=第三者)
@ 【組合員の変動によって,契約が消滅するのではなく,契約が変更されることになる】大審院明治43年12月23日判決・民録16輯982頁
  会社の発起人組合に関する紛争である。当初27名の発起人,資本金200万円だったのが,脱退者・加入者があり,発起人25名,資本金150万円となり,定款を作成しなおしたところ,原審は,新旧2つの定款が存すると考えた。
  組合においては,契約事項を変更し,死亡破産等のため組合員が脱退する他組合員の合意による場合はその事由による脱退又は他の者を加入させることができるものであり,契約事項を変更し組合員の脱退・加入があった場合において,それ以前の契約が消滅して新たな契約が成立するものではなく,最初の契約が存立しその中のある部分が変更されたに過ぎない。