債権法改正 要綱仮案 情報整理

第4 代理

3 代理人の行為能力(民法第102条関係)

 民法第102条の規律を次のように改めるものとする。
 制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。ただし、制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為については、この限りでない。
(注1)民法第13条第1項に掲げる行為(被保佐人がその保佐人の同意を得なければならない行為)に次の行為を加えるものとする。
   民法第13条第1項に掲げる行為を制限行為能力者の法定代理人としてすること。
(注2)民法第120条第1項に次の規律を加えるものとする。
   制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為は、当該他の制限行為能力者又はその承継人も、取り消すことができる。

中間試案

3 代理人の行為能力(民法第102条関係)
  民法第102条の規律を次のように改めるものとする。
 (1) 制限行為能力者が代理人である場合において,その者が代理人としてした行為は,行為能力の制限によっては取り消すことができないものとする。
 (2) 上記(1)にかかわらず,制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人である場合において,当該法定代理人が代理人としてした行為が当該法定代理人を当事者としてした行為であるとすれば取り消すことができるものであるときは,本人又は民法第120条第1項に規定する者は,当該行為を取り消すことができるものとする。

(概要)

 本文(1)は,民法第102条の規律の内容を維持しつつ,制限行為能力者が代理人である場合における具体的な規律の内容を明確にすることを意図するものである。
 本文(2)は,本文(1)の例外として,制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人である場合に関する規律を定めるものである。制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人であることは想定され得る事態であるため,一定の要件の下で取消しを認める必要があるとの指摘がされていることから,民法第102条の例外を定めることとしている。

赫メモ

 規律の趣旨は、中間試案概要と同じである。規律表現の変更理由については、部会資料66A、14頁及び部会資料79-3、1頁、参照。

現行法

(代理人の行為能力)
第102条 代理人は、行為能力者であることを要しない。

斉藤芳朗弁護士判例早分かり