口蓋裂の歯科矯正治療について

症例1:左側唇顎口蓋裂(初診〜腸骨移植〜前歯の萌出観察)

 

 初診時の写真です。前歯部反対咬合を認めます。上顎中切歯の間は離開し、顎裂部は合わせられておりますが、連続性がありません。口蓋裂の手術は比較的程度が良いと思います。臼歯部の幅もあり、臼歯部交叉咬合はありません。

 

 初診時のレントゲン写真です。骨の欠損がよくわかります。左のレントゲン写真はパノラマ、右の写真はオクルーザルとよびますが、この二つレントゲン写真によって、骨の欠損が上下的前後的に理解できるでしょう。(CTを撮影して、3D再構築するともっとよくわかりますが、一開業医ではCTを買えません。)

 右のオクルーザルX線写真で顎裂部に近接して、側切歯(矢印がついている歯)があるのがわかります。この歯はこのままでは萌出できません。土がないと木がはえないのと同じで、骨がないと歯がはえないのです。この側切歯を助けるために、また顎裂部の連続性をつくるために腸骨から骨を移植しました。

腸骨移植前

腸骨移植直後(2週間後)

腸骨移植後8ヶ月

腸骨移植後14ヶ月

手術前には顎裂部には骨がありませんが、骨移植をすると側切歯が自然と萌出してくるのがわかります。

 では、連続写真で歯がはえてくる様子を見てみましょう。

初診時

腸骨移植1ヶ月後

腸骨移植13ヶ月後

腸骨移植13ヶ月後

腸骨移植31ヶ月後

腸骨移植37ヶ月後

 

 骨があれば、歯がはえてきます。(逆に言うと、骨がなければ歯がはえてきません。)

 また、割れていた部分の連続性があると見た目もグッドです。(患者さんもご両親も満足されます。)

 この腸骨移植は、側切歯や犬歯が萌出してくる前に行わないといけません。(上記のようにうまくゆきません。)

 ということは、6歳ごろまでに受診してもらわないとならなくなります。側切歯が骨を破って萌出を開始していた場合、側切歯は抜歯しなければならなくなります。(感染のリスクがあるため。)

 また、この治療を行うためには、口腔外科医との協力が必要です。なお、腸骨の採取場所はちょうどパンツで隠れる部分になります。傷跡も1cmほどしか残りませんので、ご心配なく。

この後の治療(第2期治療)


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