名古屋の一般歯科(矯正専門医ではない!)で保隙装置を入れられたそうです。でもね。後々のことを全く考慮されていないのです。上顎右側第二小臼歯(5番)の萌出スペース、上顎前突の治療をどうするか、などが全く考慮されてません。あと、保隙装置を入れたら、定期観察が必要です。入れっぱなしではダメです。

口腔内写真 説明

治療前

写真4

写真5

 

☆問題点

1)写真4で装着されている装置は、ホールディングアーチというものです。この装置は、上顎の6番(バンドがついている歯)が前にずれてこないように止めておくのが使用目的だと、思われます。装置の成り立ちとしては、6番にろう着したワイヤー(針金)を口蓋前歯部に延ばし、レジンボタン(赤いプラスティック部分)で前にずれてこないように留めている訳です。

※しかし、針金とバンドを直接ろう着してしますと、この装置の取り外しができませんので、レジンボタンの掃除ができません。(不潔!)また、写真1からわかるように4番と6番の間に5番が萌出するスペースがありません。

2)写真5からもわかるように、この症例は歯の大きな上顎前突症例(出っ歯チャン)です。出っ歯を治す場合、4番目の歯を取って、そのスペースを使って、出っ歯を下げるわけですが、この症例では4番を抜いても5番がはえるスペースができるだけで、前歯は1㎜も下がりません。つまり、このまま治療を続けたら出っ歯は治りません。

治療後

(治療内容)非抜歯治療です。

1)変なホールディングアーチを外して、

2)上顎右側第一大臼歯の遠心移動から着手。

3)上顎右側5番の萌出スペースができたところで、ブラケットをつけて、仕上げ。