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昭和20年
昭和20年に入ってからの日本は、先の見えないトンネルの中を歩いているような状態だった。
既に制空権は失われ、本土の上空をアメリカ機が好き勝手に飛び回っていても、為すすべがなかった。
B29による焼夷弾攻撃に対しても、昨日はあそこ、今日はどこと焼けるにまかせ、人々はただおろおろと逃げ回るだけだった。
 
そんな中でも政府や軍は、本土決戦など相変わらず強気を繰り返していた。
女性、それもいい年をしたおばさんたちに竹槍をもたせ、アメリカ兵がやってきたら刺すのだと、「前へ、前へ、エイ、ヤッ」と突き出す訓練を大まじめにやっていた。
しかし一方では”一億玉砕”など絶望的なスローガンも現れ始めた。