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東洋合成に動員
7月9日、東洋合成で人手が足りないので手伝いに行けということになった。
東洋合成という会社は榎町にあって、クロード法という方式でコークスを原料にアンモニアとメタノールを造り、アンモニアはすぐ隣にあった新潟硫酸石山工場に送って硫安として出荷していた。
クロード法ではガスを1000気圧という超高気圧に圧縮するのだが、そのコンプレッサの運転の手伝いを新潟工業学校の3年生にやらせていた。
いまの中学3年生、もちろん免許も資格もない子供に危険極まる仕事をやらせていたのだから恐ろしい話だ。
我々は合成炉の温度調節をやらされたがそれも1000気圧、何の経験もない素人がボタンを押して温度を上げたり下げたりしていた。今から思うとよく事故がなかったものだと冷や汗が出る。
この動員も8月9日に米沢工専から鶴岡に集まれという通知が来て終わりになった。
最もそのころは原料がそこをつき電力は不足して、工場は開店休業の状態だった。