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恋におちて
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痩せゆく男
1996年・アメリカ
135キロという肥満に悩み、ダイエットを続けていた弁護士ビリーは、
ある夜酔って運転していた車でジプシーの老女を轢き殺してしまう。
ビリーは知り合いの判事と警察署長に頼んで事故を揉み消し、裁判で無実を得る。
それに怒ったジプシーの長老レムキは、ビリーに体重を減少させる呪いをかける。
初めは体重の減少をダイエットの効果と勘違いし、喜ぶビリーだったが、
ダイエットをやめて食べても食べても痩せつづけ、
ついにはその体重は55キロにもなってしまう。
スティーブン・キングのホラーが原作の作品です。
ただ“ホラー”と言っても、この作品の怖いところは
呪いをかけられた男がどんどん痩せて行くことではなく、実際それは怖くありません。
本当に怖いのは、どんどん痩せて行った男の性格が陰湿に変わって行き、
老女を轢いた時に、車に同乗していた妻に恨みを持ち始め、
彼女への復讐心が芽生えてしまうことです。
一人の男性俳優をCGではなく、特殊メイクで135キロから55キロまで痩せさせる
テクニックは凄いと思いました。
でも、ただそれだけの作品っていう気もしました。
レベル2
ラスト・ダンス
1996年・アメリカ
弁護士リチャードは、州の恩赦課に配属され最初の仕事として、
シンディという女囚を担当することになる。
シンディは19歳の時、強盗に入った家で2人を惨殺した罪で
12年間を刑務所で過ごしている死刑囚だった。
刑の執行まであと30日だったが、彼女には控訴の意志はなく、それを受け入れる覚悟でいた。
リチャードは事件を再調査するうち、シンディの起こした殺人が死刑には相当しないことを知る。
被害者の父親が地元の有力者だったため、その圧力で事実は隠ぺいされ、
不正な裁判がとり行われていたのだった。
なんとかしてシンディを救いたいリチャードは、残された時間で控訴を勝ち取るため、手を尽くす。
女囚シンディ役には、ノー・メークでシャロン・ストーンが挑んでいます。
同じ死刑囚を扱った「デッドマン・ウォーキング」は、死刑制度の是非を訴えかけている作品であるのに対し、
この作品は死刑制度うんぬんというよりは、不条理な裁判で死刑を宣告されたにも関わらず、
12年間もの刑務所生活を経て、生きる希望を無くし、それを受け入れる覚悟を決めた女囚と、
正義感において彼女を救おうとする弁護士の、心の葛藤を描いた作品となっています。
「デッドマン・ウォーキング」は客観的な目でしか観ることが出来ませんでしたが、
この作品は、不良少女だったシンディが、12年の刑務所生活において人間的に更正していることと、
死刑宣告そのものが不条理であったということもあり、“自分の死”を選んだ彼女を救いたいという
弁護士の気持ちに、感情移入して観ることが出来ました。
レベル4
ペギー・スーの結婚
1986年・アメリカ
夫チャーリーと別居中で、早まった結婚に後悔している中年主婦ペギー・スーは
ハイスクール時代の同窓パーティの最中、突然気を失ってしまう。
気が付くと、そこは25年前のハイスクールだった。
精神的には43歳のまま18歳の自分に戻ってしまった彼女は、
当時付き合っていたチャーリーとは別の人とデートをすることで、
自分の運命を変えようと企む。
巨匠フランシス・フォード・コッポラ監督のラブ・ファンタジー作品。
43歳のペギー・スーの視点で描かれているので、それが狙いなのかも知れませんが
ペギー・スーを演じる“シリアル・ママ”キャスリーン・ターナーの18歳の衣装はムリムリで、
どうしても違和感があり、普通のラブ・ファンタジーとしては観ることが出来ませんでした。
その上、43歳と18歳のチャーリーを演じるニコラス・ケイジの髪の毛はふさふさで、
彼が画面に登場するたびに、それが気になって仕方ありません。
脇でニコラス・ケイジの娘役にヘレン・ハント、友人役にはジム・キャリーが出演、
ストーリー展開やラストはありきたりですが、それ意外の部分で楽しめる作品です。
レベル3
ユージュアル・サスペクツ
1995年・アメリカ
カリフォルニアのサン・ペドロ埠頭で船の大爆発が起き、27人が死亡、9100万ドルが消えた。
コカイン取り引きの争いによるものとみた関税特別捜査官クイヤンは、
ただひとり無傷で生き残った半身が不自由な男、キントを尋問する。
6週間前、N.Y.市警と合衆国関税局は、銃を大量に積んだトラック強奪事件の容疑者として、
キントを含む5人の男を連行した。
キントの供述によると、彼らは証拠不十分で釈放された後に結束し、強盗事件などを起こしていたが、
その後、伝説の犯罪王カイザー・ソゼという男に操られるはめとなり、
ソゼの商売敵であるアルゼンチンギャングの船を爆破したのだという。
非常に良く出来たミステリーで、面白かったです。
ただ一つ残念だったのは、雑誌か何かにこの作品の広告で
“この中に犯人がいる”と書いてあったのを読んでしまっていたことでしょう。
最初から“犯人探し”という視点でしか観ることが出来なくなってしまっていたことが、
もったいなく思えて仕方ありません。
出来れば、真っ白な状態で観たかった作品でした。
キントの供述のどこまでが本当で、どこまでが嘘なのか。
5人が釈放されてから、いったいどんな経緯で爆破事件に至ったのか。
供述の裏に隠された“事実”というのを、自分なりに想像してみるのも面白いですね。
レベル4
素顔のままで
1996年・アメリカ
ヤクザな夫のせいでFBIの秘書の仕事をクビになったエリン。
夫とは離婚したが彼女の“無職”が原因で、娘のアンジェラの親権を彼に取られてしまう。
裁判で控訴しアンジェラを取り戻したいエリンは、控訴の費用のためにストリッパーになる。
しかし、彼女の舞台の最中に酔った下院議員が起こした障害騒ぎが
思わぬ事件へと発展し、エリンはその事件の陰謀に巻き込まれて行く。
97年の最悪映画を選ぶラジー賞で、作品賞と主演のデミ・ムーアが主演女優賞を取っていたので、
いったいどんな作品なのだろうかと思って観ましたが、アホアホ映画だったんですね。
周りの人間がみんなバカばっかりなのに、デミひとりが真剣になっていて滑稽に見えました。
デミのストリップシーンも満載で、力の入れ様は分かるのですが、
なんだかお正月の“芸能人かくし芸大会”でも見てる気分でした。
いくらギャラがいいからって、デミもこんなアホアホB級映画に出演するためにあそこまで努力して、
それでラジー賞女優のレッテルを張られるなんて、なんだか気の毒です。
“親権を取り戻すためにストリップをする”というのは「フル・モンティ」と同じですが、
こちらはコメディに徹して大成功だったのにね。
それにしても・・・タイトルの「素顔のままで」の意味は今でも分かりません。
レベル2
BOYS
1996年・アメリカ
男子寮で閉鎖的な生活を送っている高校生ジョンは、草原で若い女性がケガをして倒れているのを見つける。
ジョンは彼女に病院に行くことを勧めるが、彼女は病院に行くことも自宅へ戻ることも拒んだ。
パティというその女性はある事件に関わっていて、警察に追われていたのだった。
パティの美しさに夢中になったジョンは、彼女を寮の自室に運び込むが、
それが寮生たちにばれて大騒ぎになり、ジョンは退学を覚悟で彼女と二人で寮を飛び出す。
犯罪の匂いのする謎めいた女(ウィノナ・ライダー)と、その女に惹かれた無鉄砲な高校生のお話。
パティの記憶の断片を物語の中で少しずつ見せながら、
その“謎”を明かしていく、という手法で撮られている作品なので、
彼女がどんな重大な秘密を抱えているのかをものすごく期待させられましたが、
その割には大したことなくてガッカリしました。
それに、パティの“謎”に重点を置きすぎて、肝心のジョンの気持ちの描き方が簡単すぎ、
学校を退学になっても彼女を守ろうとする、彼の気持ちが分かりません。
ウィノナ主演だから仕方ないのかもしれないですが、
どちらかといえば、彼の気持ちの方がこの作品のポイントになったはずではないでしょうか。
レベル2
ボーイズ・ライフ
1993年・アメリカ
離婚した母親とふたり、暮らした町を後にしたトビー。
母親には紳士的な新しい恋人ドワイトが出来たが、トビーは彼が気に入らなかった。
母親はやがてドワイトと結婚し、トビーはドワイトとその連れ子3人と一緒に生活を始めるが、
ドワイトは実はとても横暴な男で、家長としての権力で母親と子供たちを押さえつけた。
苦悩する少年トビーにはディカプリオ、彼の“敵”ドワイトにはデニーロが扮しています。
ある小説家が少年時代に実際に経験したことに基づいて作られた作品です。
いつもそうなのですが“これは実話です”と詠われた作品に、あまり面白く思えるものがありません。
決してつまらない訳ではないのですが、可も無く不可も無い、といった感じなのです。
実際起こったことを描いているのですから、必要以上のアレンジは出来ないのは仕方ないことなのですが、
“実話”としてはドラマチックでも、“ドラマ”として見せられると
どうしても物足りなさを感じてしまうのです。
思い切りとんでもない展開のフィクションにすっかり慣れてしまっていて、
どうしてもそういうものを求めてしまうからなのでしょうね。
最後にまとめて登場人物の“その後”を文字で説明されるのも、あまり好きではありません。
レベル3
太陽と月に背いて
1995年・イギリス
ランボーという若者から8篇の詩を受け取った詩人・ポールは、
その詩に感銘を受け、彼をパリの自宅に呼び寄せた。
21歳だと手紙に書いてきたランボーは、実は16歳の礼儀知らずの少年であった。
ポールの身重の妻と、同居する妻の両親は、無礼なランボーを家から追い出してしまうが、
ランボーの才能と不思議な魅力に惹きつけられたポールは、ランボーを追い掛けて家を出てしまう。
やがて年齢と性を越えて愛し合うようになったポールとランボーは、
ロンドンで二人きりの生活を始める。
ポールと愛し合う天才詩人・ランボーには、レオナルド・ディカプリオが扮しています。
ディカプリオのホモセクシャルなベッドシーンや、ヌードシーンなんかもあって、
ちょっとびっくりしてしまいました。(相手は頭の薄いおじさん・・・と思ったら、27歳の役なんだって)
この作品でも“演技派”ディカプリオが狂気の詩人を演じて、実力を見せ付けています。
作品自体は・・・・よく分かりませんでした。
ポールがランボーの魅力に翻弄され、妻と別れてランボーとくっついたり、
やっぱり妻が忘れられず、ランボーと別れて妻とくっついたりするお話です。
ディカプリオが出てなかったら、途中で観るのをやめてたと思います。
レベル2
ロスト・チルドレン
1995年・フランス
町では大勢の子供たちが誘拐される事件が発生していた。
子供たちを誘拐していたのは一つ目族で、彼らは子供たち見る夢を盗もうとしている研究所に
誘拐した子供たちを売り飛ばしていた。
ある日、サーカスの怪力男・ワンの幼い弟も一つ目族に誘拐されてしまう。
ワンは弟を取り戻すために、途中で出会った少女・ミエットと二人で一つ目族の行方を追いかける。
まるで子供の夢の中にいるような、不思議な作品。
ファンタジーの部類に入るのでしょうが、画面は暗く全体的に不気味な雰囲気が漂っています。
“変な映画・・・”と思って観始めたのですが、いつの間にか引き込まれてしまいました。
子供のように純粋な心を持った怪力の大男・ワン、大人のような口をきく色っぽい少女・ミエットをはじめ、
同じ姿をした5人のクローン人間、蚤を操って人の気を狂わせる男、頭に地図を彫った刺青師など、
登場人物が全て怪しいキャラクターで面白いです。
ストーリーうんぬんよりも、徹底して創られているその世界を楽しむ作品だと思います。
レベル4
恋におちて
1984年・アメリカ
クリスマス・イブの日、建築技師のフランクとグラフィックデザイナーのモリーは、
ぶつかったはずみで落とした本の包みを取り違えて家に持ち帰ってしまう。
3ヶ月後、電車の中で偶然再会したふたりは、その時のことを思い出し会話を交わす。
お互いに好感を持った二人は、それから何となく相手のことが気になり始め、
待ち合わせて同じ電車に乗るようになった。
フランクとモリーにはそれぞれ家庭があったが、何度も会って話をしているうちに
二人は強く惹かれ合うようになり、やがてそれは本気の恋へと進展して行く。
メリル・ストリープ&ロバート・デニーロ主演の不倫ものです。
ストーリー的にはそれほどヒネリがある訳ではないのですが、何故か惹かれてしまいました。
余計なセリフが無い分、主役の二人の気持ちがダイレクトに伝わってきて、
簡単に“不倫”という言葉で片づけてしまえない純粋なものを感じてしまったのです。
相手の名前を聞きたいのになかなかそれを切り出せないフランクのもどかしさや、
フランクに会う日に着て行く服を何度も着替えては、鏡の前で「何をやってるの?」と自嘲するモリーの姿は、
恋をし始めた二人のその初々しさが、かわいらしく見えたりもします。
そして、相手のことを好きになるにつれて大きくなる罪悪感と、それでもなお相手に会いたいと思う気持ちと、
お互いに“家庭”に拘束され、真の自由を奪われているせつなさを、過剰な説明なしで見事に表現した作品です。
そして何より、「マディソン郡の橋」とは違い、簡単に抱き合わない二人が良いと思いました。
度重なる“偶然”は、ちょっと強引過ぎる気もしましたが・・・・。
レベル4