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ナッティ・プロフェッサー クランプ教授の場合
1996年・アメリカ
大学の生物学科教授・クランプ(エディ・マーフィー)は、180p 180kgという巨漢。
そのコンプレックスから、内気で恋の経験も無い。
そんな彼の前に、科学の入門講座を担当するカーラ(ジェイダ・ビンケット)が現れ、
美しいカーラにクランプはたちまち一目惚れをする。
やっとの思いでカーラにデートの約束を取り付けたクランプだったが、
そのデートで訪れたクラブの毒舌芸人に、太りすぎを徹底的に馬鹿にされる。
落ち込んだクランプは、開発中のDNAを操作する痩せ薬を自ら試し、
あっという間にスリムな体に変身する。
下品な下ネタや身体的特徴を取り上げたギャグなどが満載で、笑えません。
エディ・マーフィのしゃべりも、やかましすぎるところがあり耳ざわりでした。
馬鹿にされて落ち込んだクランプが痩せ薬を試してみたくなる気持ちまでは分かるのですが、
それで痩せたクランプがいきなり性格まで変わってしまうのには、
理解し難いところがあります。
エディを巨漢に変身させる特殊メークや、エディが一人7役をこなすというCGは凄いと思いますが、
コメディとしては、それど面白い作品だとは思いませんでした。
レベル2
天使の贈り物
1996年・アメリカ
クリスマスを間近に控え、牧師ヘンリー(コートニー・B・バンス)は、
老朽化した教会を地上げ屋に狙われ、その上付近の住民に関する様々な問題を抱えて悩んでいた。
彼が天の神に助けを請うと、天から不思議な男ダドリー(デンゼル・ワシントン)が降りてくる。
ダドリーはヘンリーを救うために天から遣われた天使だった。
ヘンリーの迷惑顔もよそにダドリーは教会に居着き、
忙しいヘンリーの代わりに彼の妻ジュリア(ホイットニー・ヒューストン)や息子の相手をするが、
次第にジュリアに恋心を抱くようになってしまう。
ホイットニー・ヒューストンが教会やジャズクラブで歌うシーンがいくつかあるのですが、
まさにそのシーンのためだけに作られたような作品。
とにかく登場人物が知らないうちに心がわりしているし、
ヘンリーの抱える様々なトラブルも知らないうちに解決していたりして、ドラマが出来ていません。
ホイットニーの歌が聞きたい人以外は観なくていいでしょう。
レベル2
彼と彼女の第2章
1995年・アメリカ
NBAプロ・バスケットボールの審判員ミッキー(ビリー・クリスタル)の父親が死んだ。
ミッキーは父親の遺言により、その遺体をパリで埋葬しようとするが、
航空会社は飛行機で輸送中にその棺を紛失してしまう。
航空会社のパリ勤務のアメリカ人女性エレン(デブラ・ウィンガー)が
彼の応対に当たったことをきっかけに二人は恋に落ち、パリで幸せな時間を過ごす。
しかしミッキーがエレンに結婚を申し込むと、
彼女は初めて自分に別居中の夫がいることを告白するのだった。
“離婚は出来ない”と語る彼女にミッキーはなすすべもなく、一人アメリカへと帰るが、
しばらくするとエレンはフランス人の夫と別れ、仕事も捨ててミッキーの元へとやって来る。
二人はめでたく結婚するが、結婚生活の現実はパリでの時間のように甘いものではなかった。
アカデミー賞の司会でお馴染みの、ビリー・クリスタル監督・制作・脚本・主演のロマンチック・コメディ。
ミッキーとエレンの出会いからの恋物語を、その友人たちに語らせるというスタイルが面白いです。
多少ブラックなところもありますが、この作品のユーモアのセンスは好きです。
結婚の理想と現実についても、かなりリアルに描かれていて、
“結婚とはお互いが平等に不幸になることだ”というセリフがあるのですが、
この作品を観ていると、それにも妙に納得させられてしまいました。
しかしタイトルが示す通り、紆余曲折を乗り越えてお互いの大切さを実感した二人が
ラストシーンから次のステップへ進む、といった明るいエンディングが良かったです。
レベル4
父の祈りを
1993年・アメリカ
アイルランドの青年・ジェリー(ダニエル・デイ・ルイス)は、つまらないコソ泥が原因で
IRAと度々トラブルを起こし、故郷を追われてロンドンへとやって来た。
ロンドンではまじめに働いて金を作ると両親に約束していたものの、
そこでの暮らしも酷いもので、ジェリーはたまたま拾ったカギで娼婦の家に忍び込み、
また盗みを働いてしまうのだった。
ちょうどその時、ロンドン市内のバーでIRAによる爆弾テロが起こり、
数日後、盗んだ金で実家に戻ったジェリーは、テロの実行犯として警察に連行されてしまう。
全く身に覚えのない爆弾テロの犯人に仕立て上げられ、警察での尋問でジェリーは無実を主張するが、
7日間の拘束で警察官による相当な暴行を受け、最後には「白状しなければ、父親を殺す」と脅されて、
仕方なく“自分が犯人だ”という供述書にサインをするのだった。
しかし、ジェリーが逮捕されてまもなく、全く事件には無関係のはずの父親までもが
爆弾制作に加担したという理由で逮捕されてしまう。
同じ監房に入れられた二人は、裁判で無実を証明出来ると信じていたが、
裁判の結果はジェリーが無期懲役、父親は懲役12年の実刑判決だった。
そして数年後、爆弾テロの真犯人が別の容疑で逮捕されるが、警察は世間にその事実を隠した。
無実の罪を着せられた父親と息子の物語で、実話がベースになっています。
この作品ではその親子の無念のドラマの裏に、父親と息子の愛情が描かれています。
少年時代に父親に反感を持ったことが原因でコソ泥を働くようになり、
父親に監視されることを最も嫌っていたジェリーが、
父親と同じ監房で十年以上を過ごすうちに、父親の自分に対する愛情に気づき、
また彼自身も父親に対する愛情に目覚めていくのです。
最初は監房内でも父親と対立を繰り返し、上訴する気持ちさえ放棄していたジェリーが、
ある出来事を通して初めて父親を理解し、
えん罪を晴らそうという気持ちに変化していくさまが見事に描かれていました。
実話ベースの作品はあまり好きではないのですが、この作品には感動しました。
レベル5
マネートレイン
1995年・アメリカ
ジョン(ウェズリー・スナイプス)とチャーリー(ウディ・ハレルソン)は黒人と白人だが、
孤児院で同じ乳母に育てられたという“兄弟”。
共にニューヨークの地下鉄の保安係として働いている。
ある日、二人はスリの少年を追い掛けて地下鉄のトンネル内を走り抜け、
売上金を運ぶ“マネートレイン”を無駄に停車させたとして、市の交通局長から大目玉を食らう。
それ以来、何かにつけて局長から嫌みな態度を取られ、二人は面白くなかった。
そして、チケット売り場を襲った放火魔を捕まえる際にドジを踏んだとして、
二人はとうとう局長からクビにされる。
バクチでヤクザから作った多額の借金に首が回らなくなった上、
局長にも恨みを持ったチャーリーは、一人で“マネートレイン”の強奪を企てる。
ジョンは弟の無謀な計画に気付き、それを止めに現場に向かうが・・・。
タイトルが「マネートレイン」というくらいだから、
現金輸送列車強奪のアクションを目いっぱい見せてくれると思ったら、
前振りが1時間15分もあり、肝心のそのシーンはラスト30分だけでした。
その前振りも、全て主役の余計な行動が引き起こす
くだらないトラブルの連続で、観ていてあきれてしまいました。
二人の上司の交通局長も、乗客の命よりも売上金の方が大切だなんて、
いくら“悪役”とはいえ、キャラクターに強引すぎるものを感じました。
レベル2
ラブ・セレナーデ
1996年・オーストラリア
田舎町サンレイに住む姉妹の隣の家に、人気DJケン・シェリーが引っ越してきた。
姉のヴィッキー・アンは、たちまち彼に恋をし、猛烈にアタックを始めるが、
恋にオクテの妹のディミティは、至って冷静に彼のことを見ていた。
しかし、ケンがディミティを家に誘ったことをきっかけに、二人は関係を持ってしまう。
それを知ったヴィッキー・アンは激怒、ディミティに姉妹の縁を切ると言い出すが、
ケンのことを愛してしまったディミティは、姉の言葉には耳を貸さなかった。
そんなある日、ディミティはケンの首の横に魚の“エラ”があるのを発見して驚く。
観始めた頃から、何だか怪しそうな作品だとは思っていたのですが、
まさかこんな展開になるとは思ってもみませんでした。
だってDJケン・シェリー、あまりにも怪しすぎます。
真っ昼間からムーディなトークにムーディな音楽、ディミティを口説く時のクサ過ぎるセリフ…
キザなだけで全然カッコ良くないおじさんなのに、なぜか姉妹は彼に夢中。
この姉妹もどこか変で、特に姉の方は思い込みが激しすぎて怖いくらいです。
普通の恋愛ものっぽく作ってあるのに、観始めるとどこかちょっと変な感じで、
中盤でいきなりとんでもない方向に持って行かれるという、異色の作品です。
カンヌ映画祭でカメラドール(新人監督賞)を受賞しています。
レベル3
マルセリーノ・パーネヴィーノ
1991年・イタリア
17世紀のイタリアの田舎町で、修道士たちがキャベツ畑で赤ん坊を拾う。
彼らは赤ん坊にマルセリーノという名前を付け、自分たちの手で育てることにした。
やがて少年に成長したマルセリーノは、修道院の聖母マリアの壁画に母親の面影を求めるようになる。
そんなある日、妻との間に子供の出来ない領主の伯爵が、
修道士たちにマルセリーノを養子に欲しいと申し出た。
マルセリーノは母親を求める気持ちから伯爵の子供になることを決意するが、
いざ伯爵家に行ってみると、伯爵の妻は聖母マリアのイメージからほど遠い上、
そこでの生活は、修道院生活に慣れたマルセリーノには耐え難いものだった。
マルセリーノ役の男の子はとても可愛くてケナゲなのですが、それだけという気がします。
悪くはないのですが、オープニングシーンで、ラストまでの展開が全て読めてしまうのです。
修道院を舞台に修道士と少年の交流を描いた、ほのぼのとした作品のはずなのですが、
ラスト近く、修道士たちが祈りを捧げるシーンは“オカルト”になってしまっています。
ラストに奇跡が起こるのですが、こういうエンディングは何だか反則って気が・・・・。
レベル3
エグゼクティブ・デシジョン
1996年・アメリカ
ワシントンDC行きのジャンボ機がハイジャックされた。
テロリストの主犯格ハッサンは、先日逮捕された組織のリーダーの釈放を要求する。
米陸軍情報部顧問のグラントは“彼らは盗んだ毒ガス兵器をその飛行機に積み込んでおり、
ワシントンを攻撃しようとしている”という仮説を立てる。
グラントの仮説が正しければ、4千万人の命が奪われる。
大統領は、乗客の400名を守るため犯人たちの要求を受け入れ、
飛行機をワシントンに着陸させるべきか、
同機を米空域に入る前に爆破し400名の乗客を犠牲にすることで
ワシントンを守るべきか、苦しい選択を迫られた。
そんな時、3ヶ月前その毒ガス兵器の奪回に失敗していたトラヴィス中佐が
まだ実験段階である空中輸送機を上空で同機とドッキングさせ、
特殊部隊を送り込んで飛行機を奪回する作戦を提案する。
「タービュランス/乱気流」「コン・エアー」「エアフォース・ワン」と、
“飛行機乗っ取りもの”も多少食傷ぎみ、といったところですが、
実際に日本で公開されたのは、前記3本よりこの作品の方が1年早かったんですね。
“毒ガス兵器がらみ”は「ザ・ロック」にも通じる部分があります。
ストーリーは“一難去ってまた一難”の繰り返しで、前記の作品を観ている限りでは
特に目新しいところは見られませんでした。
突飛なところと言えば、トラヴィス中佐に扮する、第二の主役であるはずの不死身の男セガールが
すぐに死んじゃうところくらいでしょうか。
前記の作品を観てしまっていて面白さは半減してしまいましたが、
観ていなければレベル4くらいの作品だったのでは。
レベル3
トレインスポッティング
1996年・イギリス
レントンは平凡な生き方を嫌い、ヘロインに手を染めた麻薬常習者の青年。
こんなことではいけないという気持ちもあり、禁ヤクを試みるのだがその度に挫折していた。
ある日、レントンとその仲間たちが麻薬を打ってもうろうとしている間に、
仲間の連れてきた赤ん坊が死んでしまう。
ショックを受けたレントンたちは破滅的になり、さらに麻薬を打ってスリや万引きを繰り返した。
しかし、レントンは盗みの現行犯で逮捕されてしまい、執行猶予の温情判決を下されたのを機に、
本気で麻薬をやめようとするが、激しい禁断症状に苦しむ。
斬新な映像で、麻薬に溺れる若者たちの姿を描いた作品。
「フル・モンティ」のロバート・カーライルが、レントンの友人でキレた男の役で出演しています。
そこに描かれている独創的な世界は面白いと思いますが、作品自体にはあまり共感出来ません。
確かに麻薬中毒の恐ろしさを描いた部分もありますし、最後には主人公も麻薬から足を洗うのですが、
“麻薬はいけないこと”ということを訴えかけてくるものが無いのです。
ファッショナブルな映像が、かえって麻薬を肯定的に扱っているようにすら思わせます。
テーマがテーマなだけに、単純に楽しめる作品ではありませんでした。
レベル3
赤ちゃん泥棒
1987年・アメリカ
盗みの常習犯ハイは、刑務所で出会った婦警のエドに恋をし、
彼女に結婚を申し込んで強盗生活から足を洗うことを決心した。
ハイの出所後めでたく結婚した二人だったが、どんなに望んでも子供が出来ない。
検査の結果、エドは不妊症と分かり、二人はショックを受ける。
そんな時、テレビのニュースである家庭に5つ子が産まれたことを知った二人は
そのうちのひとりを盗み出すことを計画、見事に成功するが、
その赤ちゃんがまた別の男たちにさらわれてしまう。
コーエン兄弟の脚本・監督による、ブラック・コメディ。
赤ちゃんを盗み出す夫婦には、ニコラス・ケイジとホリー・ハンターが扮しています。
テンポが良く、ニコラス・ケイジのコミカルな演技が面白いです。
今はマッチョが売りのニコラスですが、この役ではとても弱々しく、
追い掛け回され、投げられたり、引きずられたり、大変な目に遭っています。
とても楽しめる作品ですが、オチでマジになってしまったのが不満。
最後までブラックな笑いが欲しかったです。
レベル3