沖縄ミレニアム旅行記2



12月29日 (水) 曇り時々晴れのち小雨

朝、近くのコンビニで買ってきたパンを部屋で食べます。食堂に出ていくと、みなみちゃんと奥さんがおしゃべりしていました。わたしもコーヒーをいただいて一服。夕方戻ってくるまで荷物をあずかってもらい、出かけることにしました。

那覇高校前の停留所でバスを待ちます。わたしの隣にすわっていたおばさんが、つと立ち上がって前に出たかと思うと、絶妙な角度で手を挙げてバスをとめました。
鉄道がなくてバス網が発達している沖縄では、とにかくいろんな方向行きのバスが停留所を通過します。自分が乗りたいバスが来たときにはすかさず手を挙げて合図しないと通過されちゃうよ、とは聞いていましたが、どうやるのか実際に見たのは初めて。
さっそく自分の乗るバスが来た時に、マネをして手を挙げてみました。バスがとまります。なんかうれしい(笑)。

バスに乗って知念半島へ。
馬天で乗り換えたバスの運転手さんが話し好きで、おきまりの「どこから来たの? 沖縄は初めて?」という会話が始まります。タクシーの運転手さんならよく出くわすけど、バスの運転手さんにもいるんだなぁ、こういうおじさん。時には話に熱が入ってバス停をオーバーランしそうになったり、一緒に乗り合わせたおばさんが「あいっ、ネーネーが返事するのに大変さー」とたしなめるほど。でも、おかげでなかなか楽しいひとときがすごせました。
この運転手さん、わたしが多少ウチナーグチを解するとわかると、次の言葉はわかるかと尋ねました。
「うんじゅー、いっぺー、ちゅらかーぎー(あんた、とても美人だね)」
わたしはすかさず、
「δ(^_^)わたしのことですかぁ? どうも♪」

……車内大爆笑。 受けたぜ。

斎場御嶽 運転手さんに教わったとおり、知念海洋レジャーセンターの次の停留所(体育センター)でバスを降り、郵便局の脇の道を入っていきました。道はゆるやかな上り坂になり、やがて「斎場御嶽(せーふぁーうたき)」の入口に出ます。

森の中に入っていくと、急に静かになりました。他には誰もいません。その中に、拝所となっている巨岩が3箇所に点在しています。高層ビルや巨大な人工建造物を見慣れたわたしでも、いきなり出くわしたときは気押されるような感覚があったくらいです。ましてそんなもののなかった昔、森の中に突如として現れるこの巨大な岩を前にした人は、どんなに畏敬の念をいだいたことでしょう。

森はしーんと静まり返って、時折鳥の鳴き声が聞こえ、木々のざわめきに耳をすますと、上空で風のわたる方向が目に見えるようにはっきりとわかる……やはり不思議なスポットです。

後になって、竹富島で同宿になった男性が、「あそこに行ったら頭が痛くなった」と話してくれました。昔は位の高い神女以外は足を踏み入れることもできなかった聖域なのですから、そんなこともあるのかもしれません。

その後知念海洋レジャーセンターの食堂で沖縄そばを食べ、またバスに乗りました。とりあえずの目的地は新原(みーぱる)ビーチ。しかし、ちょっと勘違いして途中の志喜屋という所で降りてしまったので、気分転換にしばらく歩くことにしました。右手には山、左手には畑とそのむこうにひろがる海、というのどかな風景が続きます。

知念村

知念村かいわい

やがて前方に「受水走水(うきんじゅはいんじゅ)」という標識が見えてきました。たしか沖縄の稲の発祥の地とかいうところです。ちょっと見ていくかなー、と標識をたよりに歩いていったのですが、どこでどう間違ったのか、新原ビーチに出ていました。
鶴が稲穂をくわえてきた、という伝説にもとづく、百名橋のらんかん 百名橋

広いビーチには大きな「キノコ岩」がやや唐突にちらばっていて、なんだか不思議な風景。さすがにあまり人はいないのですが、勇敢にも泳ぎ納めをしようというのか、海パン姿で海に入っている父子がいました。
最も、息子のほうは「冷たい〜っ!」と大騒ぎしていたけど。
ビーチで缶紅茶を飲んで一服。またバスに乗って那覇に戻ります。

キノコ岩 海水浴の父子
不思議なキノコ岩 やっぱ、寒いよなぁ……

まだ時間があるので、国際通りを歩きました。まず、つきあたりの安里三叉路まで歩いて左に折れ、石門で有名な崇元寺の少し手前にある又吉楽器店に入ります。

「すみません、三線のバチ捜してるんですけど」
「お客さん、民謡? 古典?」
「古典です」
「じゃあ、このへんがいいわねー」

古典をやるんだったら、少し慣れてきたら大きめのバチを使ったほうがいいよ、と言われていたのです。わたしが今まで使っていたバチは、三線を買った時におまけでついてきたもので、それなりに自分で使いやすいように指の入る穴を削ったりしてカスタマイズしているのですが、やはり大きめのものも使ってみたい。いろいろ指にはめてみた末、3000円の黒いバチを買いました。

マイ・バチ・コレクション。
一番左のが又吉楽器店で買ったバチ。
右端のは携帯用。
バチ

再び国際通りに戻って、こんどは久茂地方向に向かいます。途中で見つけた「海想」というお店で、ジュゴンの絵がついたTシャツを衝動買いし、那覇に来るたびに必ず立ち寄る琉球珈琲店でぶくぶく珈琲を飲んで紅芋チーズケーキを食べ、宿に戻りました。荷物を引き取ってバスを乗り継ぎ、那覇新港へ。

今年最後の「かりゆしおきなわ」の出港は11時なのですが、乗船受付のお兄さんに、
「迎えのバスは9時半に来ますから、それまでに戻ってくださいね」
と言われてしまいました。
国際通りでちょっと遊んで来ようと思ったのになぁ……(^^;)

それにしても、那覇新港のまわりって、なーんにも無い。
安い食堂でもあれば……と捜したのですが、居酒屋が数軒あるだけ。
昼からぽつぽつ降り始めていた雨がこのころには本降りになり、面倒になってついそこにあった居酒屋チェーン店に入ってしまったおかげで、今日の夕食はオリオン生ビールの小ジョッキと焼きうどん、というわけのわかんないものになってしまいました。
コンビニでさえ港のターミナルから10分くらい歩かなければなりません。とりあえず、夜食用のおにぎりとさんぴん茶のペットボトル、非常食用のカップラーメンなどを買い込みました。明日の朝食用のパンは、すでにコバルト荘の近くの手作りパン屋さんで買い込んであります。「船の食堂は高い」と聞いていたので、なるべくあてにしない準備。

かりゆしおきなわは、意外に小さな船でした……といっても、わたしが知っているのは伊豆大島航路くらいしかないので、比較の対象にならないかもしれないけれど。
甲板は2層になっていて、下が客室、食堂、ロビーなど。上にはブリッジと乗務員区画があります。

1等船室は相部屋という話でしたが、もうひとりはついに現れませんでした。ベッドが2つ(さっそくもう片方は荷物置き場になった)、ソファとテーブル、クロゼットがあり、TVや洗面所もついてて快適(シャワー・トイレは共同)だけど、残念ながら窓のない部屋でした。閉所恐怖症の人にはちょっと辛そうです。

いよいよ出港。船は泊大橋の外側を通り、那覇港(新港ではない)の沖合あたりで進路を変え、沖縄本島から遠ざかっていきます。
那覇の夜景がきれいでした。泊大橋を海側から見るというのも、なかなか面白いものです。那覇港のところでは、軍の施設なのか、見慣れない照明が並んでいました。


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