宮古への旅2007 その1(2007.6.23 - 27)



6月23日(土)晴れ

朝、ゆっくり支度してお出かけ。羽田を発ったときはどんより曇り空だったけど、那覇に着いたら見事な夏空。宮古に着いたらさらにピーカン。

宮古空港から市街地の平良までは車で10分ほどの距離。空港から平良までの足は……
去年「宮古空港ターミナル前より市街地向け路線バス運行開始!! 」とはなばなしくアナウンスされて路線バスの運行が開始されたようなのだが、このバスの発車時刻が、
 9:17
11:53
14:15
17:03
……
つまり、14:25着の飛行機を降り立ったわたしの場合、次のバスは17:05まで無い、ということ……orz。

仕方ないので宮古経済に貢献、タクシーで平良市街に。とはいっても千円札一枚で足りる値段だったけど。
今日のお宿ミヤコセントラルホテルは繁華街イリザト(西里)のど真ん中にあるビジネスホテル。部屋は9F。あまり期待していなかったのだけど、窓の外には真正面にどーんと海。


おおお〜。これぞまさしくオーシャンビューではないか。
窓の左下の通りはイリザト通り。ずーっと下った先には平良港が広がり、その向う左寄りには、明日行くことになっている伊良部島が……
ビジネスホテルでこんなにいい眺めのところって、初めてだよな。
(窓が全開しないワイヤー入りってところがビジネスホテルの悲しさだが)

ちなみにこのホテル、お部屋もなかなかきれいだし、向かい側にはコンビニ(ファミリーマート)があるしで、非常に使い勝手がいい。なんといっても繁華街のど真ん中なので、飲みに出かけるには好都合。イリザトの夜を満喫したい人にはおすすめ(笑)。

さて、一年でいちばん日が長い今日この頃、まだまだ外で遊ぶ時間はある……のだが、宮古島観光の最大の問題は「足」。
宮古島の路線バスのほとんどを網羅する協栄バスの路線図をひと目みればわかることだが、宮古には「島一周バス」がない。バス路線はすべて平良を中心として放射状にひろがっているだけで、横のつながりが一切ないし、運行本数も少ない。あくまで生活路線なので、代表的観光地である東平安名崎でも「バス停から歩いて50分」という状況。

どこかの観光地にワンポイントで行くことは可能だけど、わたしのように運転免許を持っていない人が「あそことあそこを回って……」という観光プランを実現させるためには、高いお金払ってタクシーをチャーターするか、なんとかつてをたどって車で案内してくれる人を捜すしかないのだ。
ま、もうひとつ、自転車で回る、という手もなくはないが……トライアスリート級の体力がないとねぇ〜。

というわけで今回は、わたしの持てる沖縄コネクションをフルに活用することとなった(笑)。
真っ先に頼りになるのは水納島オフにも一緒に行った島旅友だちで5年前に宮古移住したD介さん、なのだが、運の悪いことにこの23日は宮古島で「MIYAKO ISLAND ROCK FESTIVAL 2007」が開催されており、D介さんは関連のお仕事で多忙。翌日の伊良部島ドライブの約束はとりつけたものの、この日はダメ。

幸い、毎月ライブをしている千葉の沖縄料理店「美ら島」のマスターがお店の常連平良さんに話をしてくれたおかげで、宮古在住の平良さんのお友達が迎えに来てくれて、夕方までドライブできることになった。

お迎えに来てくれたのは小学生の息子を連れたママさんだった。
「どこ行きたいですか?」ときかれて、26日には狩俣に泊まるので、あっち方面はその時でもいいし、ということで、三角形の宮古島の底辺あたりをまず制覇することに。
車はまず南東にひた走って東平安名崎へ。途中「宮古島温泉」などというのぼりが出現。どうやら「温泉ブーム」はここ宮古島にも及んでいたらしい。沖縄本島にも西表島にも温泉あるんだもの。そりゃ、宮古だって掘れば湧くでしょう。

そこから七又海岸を通って「宮古三角形」の底辺ツアースタート。上空から見るとどこまでも平らな感じのする宮古島だけど、意外に起伏があって、特にここ七又海岸かいわいは見事なほどのアップダウンが続く。なんとなく国吉源次の歌う「かぬしゃがまよー」の、
♪峰や七峰 底や七底 越なりくばよ〜
というフレーズを思い出してしまうが、トライアスロンではこのへんがバイク(自転車)のコースになってるらしい。
大変そう〜。

道路わきに点在する丘を見て、後部座席の息子さんがふいに、
「ねえ、富士山ってどのくらい高いのかな? この山十個分くらいかな?」
と言い出す。うーん、生まれてこのかた宮古島を出たことがない(と思う。沖縄本島くらいは行ってるかもしれないけれど)子どもに、富士山の大きさを説明するのは(この場合、3776mなんて数字を持ち出しても意味ない)……無理だぁ。
大きくなったら、自分の目で確かめに行ってね、少年よ。

やがてイムギャーマリンガーデンに到着。ここで車を降りて記念撮影。


海が青い〜。きゃ〜♪
いやーこれが見たかったのよこれが(笑)。

案内してくれたママさんはしきりに「宮古にはなんにもないのよー、海くらいしか」と言うのだが、わたしはその海が見たくて来たんですから〜!

でもこの中に暮らして毎日こんな海見ていたら、わたしみたいにいちいち感激してたら身が持たないから、そういう反応になってくるのかな、とも思う。

このあたりが「なりやまあやぐ」の発祥の地らしい。記念碑が立っていた。
記念碑によると、もともと「なりやまあやぐ」はこの地域(友利地区)に歌い継がれてきたもので、昭和35年にラジオののど自慢大会で歌われたのがきっかけでメジャーになったのだとか……
刻まれている歌詞をよくよく見て、「あれ?」と思った。
わたしが「なりやまあやぐ」を覚えた平良重信さんの「宮古民謡工工四」によれば、二番の冒頭は、
♪サーなりやま参(んみゃ)いて なりぶりさます°な主(しゅう)
となっているのだけど、国吉源次はこれを、
♪サーなりやま参(んみゃ)いすてぃ なりぶりさます°な主(しゅう)
と歌っている。で、ここの記念碑には、
♪サーなりやま参(んみゃ)いってぃ なりぶりさます°なよ
となっているのだ……見事にてんでばらばら。

えーいどれが正しいんだ! (という言葉は民謡に関しては禁句なのだが、そう叫びたくもなる)

このへんあたりでもう、今まで何度か訪れた八重山と、宮古の大きな違いが見えてきた。
おおざっぱに言えば、八重山は「中央集権的」で、宮古は「地方分権的」なのだ。
車で走ってもらうと、「宮古の道路は観光客泣かせ」というのがよくわかる。どこを走っても(特に内陸部)同じような景色で、自分の現在位置がわかりにくい。しばらく走っていると自分の前方に、さっき後にしてきた場所の名が「○○まで何キロ」などと表示されることもちょくちょくある。島内をさまよって結局どの観光地にも行き着けなかった観光客の話、というのも、あながちホラ話じゃなさそうだな、という気もしてくる。

これが石垣島だと、島の中心に「於茂登岳(おもとだけ)」という沖縄県の最高峰がそびえているので、島のどこ走っていてもだいたい自分の現在位置がつかめる。それとともに、この「於茂登岳」と、その山を背後にした石垣市街が精神的にも文化的にも八重山地方の中心、という統一概念が形成されてるような気がする。

ところが宮古の場合、行政的な中心地はいわゆる「平良地区」になるのだけれど、それほどの求心力を持っているような感じがない。
だから言葉にしてもそれぞれの地区バージョンが自己主張していて、いわゆる「宮古標準語」というものがないので、さっきの「なりやまあやぐ」のように、外部の人間が歌おうというときにどのバージョンを採用したらいいんだ、と悩むはめになるのだ。

(あ、これ、あくまでわたしの私見です。異論のあるかたご連絡下さい)

なんてことを考えているうちに上野のドイツ文化村に到着。
おもいきり真っ青な夏空と強い日差しのなかに立つドイツの古城と、あたりに流れるドイツの合唱曲……うーん、違和感ありまくりだ。
小休止してマンゴーソフトクリームを食べた。でもあまりの暑さで見る間に溶けていくので、崩れないうちにと一気食い。美味しかったけど……もっとゆっくり味わいたかった〜(涙)。

ここでもうひとり平良さんの友達(男性)が合流して運転手交代。来間大橋を渡って来間島へ。竜宮城の形をした展望台、なーんか見覚えがあると思ったら、「鉄腕DASH」のソーラーカーの旅で出てきたよな、ここ。確か城島くんと山口くんがドラゴンフルーツ食べてたっけ。

来間大橋与那覇前浜
来間大橋対岸の与那覇前浜。白く見えるのが東急リゾートホテル。

最後に行ったのは宮古でいちばん有名と言っていい砂山ビーチ。大きな砂山の峠を越えるとあとはずっと砂の下り坂。下にひろがる砂浜は、思ったよりこじんまりとしていた。

砂山ビーチ砂山ビーチ
おなじみの岩のアーチ中はこんなふうになっている。

夜は昼間ドライブに連れて行ってくれた人たちと一緒に「八重干瀬」というお店へ。「美ら島」のマスターのおごり。「お店に話しといたから、何でも好きなもの食べていいよ〜」とのこと。うわぁ、御馳走様です。ということで、宮古名物伊勢海老黄金焼きのついた定食をいただく。半分に切った伊勢海老の上に独特のタレというかソースをかけて焼いたもの。そりゃもう美味しかったです。

その後、やはり民謡が聴きたいので「ぶんみゃあ」という民謡酒場へ連れていってもらった。
本来なら満員で、予約無しでは入れない状況だったのだが、たまたまキャンセルが出たとかで入ることができた。ラッキー♪
店に入ったときはちょうどライブステージの真っ最中。歌っているのは古謝正行という人らしい。エレキ三線に華麗な早弾き……あれ、なんかどこかで聴いたような気が?
そう、石垣島「琉歌」の川門正彦さんにスタイルがよく似ているのだ。後でわかったのだけど、古謝正行さんは「アヤメバンド」の長間たかおさんの弟子、川門さんは「アヤメバンド」の結成時メンバー……なるほどー、アヤメつながりだったのね。

お店の中はもうノリノリな雰囲気。どうやら「MIYAKO ISLAND ROCK FESTIVAL 2007」が終わって、そっちから流れてきたお客さんもいるようで、かなりテンション高め。中にはビキニの水着に短パン姿でお店に入ってくるおねーちゃんもいて、一瞬目がテンになった。
(・_・)
さすがに中は冷房効いているので、そのうちにトレーナーかなにか着たけれども、会場からここまでそのカッコで歩いてきたんかい、あんた! と突っ込みたくなるような……

なにはともあれ、わたしたちの席もそれなりに盛り上がり、「お友達(男性)」がまたひとり合流して、オトーリが始まって……夜は楽しくふけていった。
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