沖縄癒し旅 (2004.2.24 - 27)
2月27日(金)晴
三泊四日の旅も、いよいよ最終日となりました。
朝はホテルの食堂でゆっくりバイキング。パンにソーセージに焼き魚にオレンジジュース。コーヒーも、もう抵抗無く飲めます。
朝食をすませて荷造りすると、チェックアウトの手続きをして荷物をあずけ、何度も歩いた国際通りへ。今日は、コザまで行くバスに乗ります。
バスは国際通りを抜け、安里三叉路を左折すると、国道58号線に入り、浦添から宜野湾へと、一日目の夜にちばんちゅさんの車で通ったコースをたどり、普天間宮の前を通り、沖縄市へ。このまま行けば、おととしの夏甥っ子とふたりでバスに乗ってきたときにも目にした胡屋十字路が見えてくるのですが、今日はその手前の山里で下車。目的地は「キャンパスレコード」です。
「キャンパスレコード」は小さなお店ですが、一歩中に入ると、そこには沖縄音楽マニア垂涎のCDやテープがぎっしり。棚の端から端まで全部欲しいCDばっかり、ということになりかねないので、あまりじっくりと眺めないようにして、隣の建物で仕事中のビセマキ(備瀬真紀子)さんの所へ遊びにいきました。
ビセマキさんはノートパソコンに向かってお仕事中でしたが、邪魔しに来たようなわたしを暖かく迎えてくださいました。実はわたしの目的のひとつは、以前からキャンパスレコードの掲示板で話題になっていた玉栄政昭さんの「かまぼこが売れますように」というCDを入手すること。ビセマキさんは、さっそくそのCDを聴かせてくださいました。
ジャーンジャーンジャーンジャーン……というピアノ前奏とともに、なんともいえないなごみ系の声で、
♪かまぼこを〜 つくーっています 母ちゃんが〜 つくーっています
という歌が流れ出してきました。
朝早く起きて、まだ暗いうちからかまぼこを作っている母ちゃん。沖縄の「かまぼこ」はいわゆる「さつま揚げ」のようなものなので、魚のすり身に野菜を練り込んで、蒸したり揚げたりして作るのですが、ひとつひとつ丁寧に作りながら、かまぼこが売れますように、子どもの学費が出ますようにと願う母ちゃんの姿が、ほんわか淡々と歌われています。
母ちゃんの作るかまぼこ代で学費を出すくらいだから、父ちゃんがいるとしても稼ぎ少ないんだろうな〜、なんて考えると、結構たいへんな状況なのに、明るいメロディと時にはユーモラスなピアノ伴奏がその深刻さを和らげてるし、それでいて何度も繰り返される
♪かまぼこが〜売れますように 子どもの学費が出ますように
というリフレインがちょっと切ない、という、なんとも不思議な味わいの歌です。
お店に戻ってこの「かまぼこが売れますように」と「青年時代の登川誠仁」の2枚のCDを買ってから、ビセマキさんに、近くの「だるま食堂」まで遅めのランチを食べに連れていってもらうことになりました。店を出たら、向こうから歩いてくるどこか見覚えのある人……
「あ、父です」
ビセマキさんのお父さん、キャンパスレコード社長のビセカツ(備瀬善勝)さんでした。うわぁ。本物だぁ(笑)。
「だるま食堂」は典型的な沖縄大衆食堂。わたしは入口の券売機で600円の「ソーキそば」を買って注文しました。やがて運ばれてきたソーキそばのおいしかったこと。上にのっかったソーキもお肉がたっぷりついて、ボリューム満点。
ビセマキさんに別れを告げ、再びバスに乗って那覇に戻ります。帰りの飛行機が出るのは7時なので、まだまだ時間に余裕があるはずだったのですが、非常事態が起きてしまいました。
今朝起きて気付いたのが左目の腫れ。あれ、この症状なんだか覚えが……
「2001年沖縄の旅」の最終日に起きてしまったあれです。まるきりあの時と同じ症状。ホエールウォッチングで潮風に吹かれたせいなのかどうかよくわからないけど、放っとくわけにもいかないだろうなぁ、というわけで、3年前にお世話になった開南の古謝眼科へ。診察を受けてまた目薬と軟膏を処方してもらいました。
時間があったら壺屋のあたりか農連市場を歩いてみたかったんだけど、どうやらそれは無理らしい。ではもう早めに空港へ行ってしまおう、ということで、消防署通りを歩いて国際通りに戻り、荷物を返してもらうと、県庁前駅からゆいレールに乗って空港をめざしました。
今までは空港までバスやタクシーを使っていたので、車が明治橋を渡ると「ああ、もう沖縄旅行も終わりだな〜」と思ってちょっと憂鬱になったものです。わたしの周辺の沖縄中毒患者に聴くと、やはりみんなも同じ様な症状を訴えるので、仲間うちでは「明治橋ブルー」と呼んでいたのですが、ゆいレールに変わると、今度はどのへんでブルーになるのかな。今回は、そんな気持ちになる前に空港に着いてしまいましたが。
空港のロビーの片隅で、ピギーバッグに荷物を詰め直していたわたしは、いつのまにか歌を口ずさんでいるのに気付きました。
♪かーまぼっこがー うっれますよーに
ま、まずい(汗)……「かまぼこが売れますように」のメロディはきわめて伝染性が高いと聞いていたけど……
こうなるともう手のほどこしようがなく、帰りの飛行機の中ではずーっとメロディが頭の中をぐるぐる回ることになってしまいました。
でも、今回の旅は、本当に収穫の多い旅でした。旅先で会ったいろいろな人たち、美しい沖縄の桜、ダイナミックな慶良間の鯨、そして、あの潮風と青い海……とんでもない荒波と大揺れも、一年間にたまった心のささくれを溶かし流してくれたような気がします。そして実は、もうひとつ抱えた心の痛み(これは秘密)があったのだけど、それでさえどこかへ押し流されちゃったような……あくまで「ような」なんですが、ね。
やっぱり沖縄の「癒し効果」は抜群だよな〜。