マスター・アンド・コマンダー [DVD] マスター・アンド・コマンダー (製作年度: 2003年)
レビュー日:2009.6.24
更新日:2009.11.22
評価:★★★★★
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解説(Yahoo映画より):
伝説の艦長ジャック・オーブリー率いるサプライズ号の乗組員たちの戦いと成長を描く歴史エンターテインメント。原作は人気作家パトリック・オブライエンの「オーブリー&マチュリン」シリーズ。主演のジャック艦長には『ビューティフル・マインド』のラッセル・クロウ。脇を固める俳優陣に『ビューティフル・マインド』で再びラッセル・クロウとコンビを組むマチュリン役のポール・ベタニーが好演。ILM視覚効果チームの作り出した、嵐や戦いでうねる海は臨場感に溢れ迫力満点。


万人向けとは言い難いけれど

わたしのような海好き船好きにはこたえられないです。

19世紀初頭のイギリス海軍の実体がかなりリアルに描かれていて、わたしが見たって「うぇ〜、臭そう、キツそう、痛そう」と思ってしまう(爆)。でも、それは脇に置いといても、大海原を白波けたてて走る帆船の姿はカッコイイ。その帆船の舳先に風を受けて立つ艦長の姿は、たとえその実体がお腹の出た中年オヤジ(ラッセル・クロウ演じるジャック・オーブリー)であろうと惚れ惚れするものです。

ガラパゴス諸島でのシーンに流れるバッハの「無伴奏チェロソナタ」は実に印象的。残念なのは、やっぱりDVDじゃスケールダウンで魅力半減なこと。だからもう一度映画館で見たかったのにぃ……

スター・トレック」見た後で見直してみると、やっぱりあのシリーズのルーツがイギリスの海洋冒険モノにあるんだなぁというのを痛感した。
オーブリーとドクター・マチュリン見てると、どうしたってカークとドクター・マッコイ思い出すし。
オーブリーが最後の決戦前に乗組員一同を集めてスピーチ一発ぶちかまし、みんなのムードを一気に盛り上げるシーンがあるけど、カークも戦闘開始前にしっかりスピーチしてたしね。やっぱスピーチとディベートの能力は指揮官の必須条件なんだなぁ。

それにノブレス・オブリージもきちんと描かれてます。いたいけな少年といえども士官候補生となれば、自分より年齢も経験も上の男達にバシバシ命令下さなきゃならないし、先頭に立って敵陣に乗り込んで行かなきゃならないし……
少しでも弱気や迷いを見せたらあっという間に部下に馬鹿にされる。自分に対する敬意なんてこれっぽちも持ってない相手から形ばかりの礼を示されるのって、精神的にかなりキツい。
どこにも逃げ場がない狭い船でそんな事態になったら、ホロムみたいに悲惨な末路を選ぶしかなくなるんですよね。上に立つのもけっこうシンドイもんです。
わたしも最近三線界ではいちばん下っ端といえども士官クラスですから、このあたりの気持ちがわかるようになってきました。実力が伴わずして位が上がっちゃうというのは、実はかなり不幸なできごとなんだということも。

それにしてもブレイクニー君はかわいかったぁ。

それからプリングズ副長かっこええ〜! (笑)
圧倒的カリスマのオーブリー艦長と並ぶとちと頼りない感じがするけど、単独で見るとなかなかイケメンなのよこれが。

マチュリン役のポール・ベタニーも好演。自分で自分の弾丸摘出手術をやっちゃうシーンは痛そうでした。うわわ〜正視できない。オーブリーも目そらしてたけど(笑)。

あとやっぱなんといっても船!
木造帆船の魅力が余すところなく描かれてるって感じ。
交戦シーンの迫力もすごいし。波のぶつかる音や風を切る音、帆布のはためきや船体のきしみなどの音響もすばらしい。乗りてぇ〜っ。


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