レッドクリフ Part II -未来への最終決戦- スタンダード・エディション [DVD] レッドクリフII (製作年度: 2009年)
レビュー日:2009.5.8
更新日:2009.11.18
評価:★★★★
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解説(Yahoo映画より):
アジア映画としては歴代最高の大ヒットを記録した、『レッドクリフ Part I』の続編となる歴史スペクタクル。『レッドクリフ Part I』から連なる赤壁の戦いもクライマックスに突入し、孫権軍と劉備軍との連合軍が曹操の大軍に立ち向かう様をダイナミックに描く。監督やキャストは『レッドクリフ Part I』と同じく、ジョン・ウーにトニー・レオン、金城武などのアジアの大スターたち。85万人にのぼる両軍兵士たちのアクションはもちろんのこと、偉大な英雄たちが繰り広げる感動的なドラマを楽しみたい。


金城孔明最高!

この映画にはまったきっかけ、諸葛孔明が「風を呼ぶ」シーンは何度見てもイイです。そのほかにも、曹操が「短歌行」を吟じるシーンとか、冬至のお団子のシーンとか、孔明と魯粛が矢を調達しにいくシーンとか、見ごたえのあるシーンが多くて堪能しました。確かに話の展開には時々「オイオイ」と思わされるところもありましたが……(^^;

それにしても金城武の孔明は最高!
最初は「あれ〜諸葛亮孔明ってこんな若造(失礼)だったっけ?」とイメージとのギャップに驚きながらも、映画見てるうちに「いやこういうお茶目で可愛い孔明さんもアリかもしれない」とすっかり魅了されました。

それに雰囲気は陰と陽で正反対ながらも、クールでどこかまわりの人たちとは違う次元で生きてるようなところは「陰陽師」の安倍晴明に通じるものがあって、さすが陰陽道の先輩と後輩、と妙なところで感心したり。(「十万本の矢」調達場面で、矢がびゅんびゅん飛んでくる船の中で酒を酌み交わしている孔明と魯粛が安倍晴明と源博雅に見えたのはわたしだけか〜?)

中国語会話をまとめて聞いたのもこれがはじめてなんだけど、時々単語が聞き取れるのも楽しい。「あれはこう聞こえたけど、正確にはどう発音してるんだろ?」と後々気になった部分があって、それを調べるうちにこんな面白いサイトも見つけたりした。それに、やっぱり漢詩は四声で吟じたほうが雰囲気が出ていいんだよなぁ、と今さらながら思ったりして。

パート1も含めて全体的に見れば、よくできたエンターテインメントだと思います。


【ここが美味しい名シーン】

これはもう、あの「風向きの変わる瞬間」を語らずしてなんとする、というくらいで(笑)。
原作のひとつである「三国志演義」では壇を築いて仰々しく天に祈っている孔明ですが、「レッドクリフ」ではもう少し現実的に、観天望気と自分の畑仕事の経験から、冬のこの時期でも北西の風が「東南風」に変わる場合があると読み、その時刻を割り出して孫権・劉備連合軍の総攻撃のタイミングを決める。

そして、その時が来る。

曹操の陣営の外側にひろがる原野。集結した劉備軍の前にひとり立ち、孔明は天の気、地の気を読んで、そして印を結んでなにごとか唱え、決然とした表情になり、手に持った羽扇であたりをさっとなぎ払う。
その瞬間巻き起こる一陣の東南風。

うーっ、何度見てもテンション上がるぞここは(笑)。

持てる知識を総動員して軍略を立てる天才孔明といえども、いやそれだからこそ、最終的には天が味方してくれなければ戦には勝てないことを知っている。そのためには「人事を尽くして天命を待つ」という言葉どおり、最大限の努力が必要だけれど、最後に必要なのは、「自分達は正しい、だから天が味方してくれるはずだ」という確信。そして天に対して謙虚な姿勢を示すこと。
それがあの孔明の一連の所作になったのだ、と感じる。

ここでの金城武の視線の動き、凛とした動作と表情は、最高の名演技だと思います。


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