アフリカの女王 [DVD] FRT-111 アフリカの女王 (製作年度: 1951年)
レビュー日:2010.2.28
更新日:
評価:★★★
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解説(Yahoo映画より):
第一次大戦下の東アフリカ。船長チャーリーと宣教師の妹ローズを乗せた蒸気船“アフリカの女王”号は河を下っていくが、彼らの行く手には激流や大瀑布、そしてドイツの戦艦が待ち受けていた! C・S・フォレスターの冒険小説を、H・ボガートとK・ヘプバーンという見事なキャスティングでJ・ヒューストンが映画化した傑作ロマン活劇。後年、この作品と監督J・ヒューストンをモチーフにクリント・イーストウッドが手掛けたのが「ホワイトハンター ブラックハート」である。


これも恋愛アドヴェンチャー

オーストラリア」見て、最初に連想したのがこの映画。

アフリカの奥地で原住民相手に伝道活動をする宣教師と、兄の面倒を見ているうちに婚期を逸したその妹ローズ(ヘプバーン)。ある日ドイツ兵がやってきて村に火を放ち、村人を全員連れ去ってしまう。教会も焼け落ち、宣教師はショックで精神のバランスを失い病死。日頃から郵便物や物資を運んで兄妹と懇意にしていたボロ船「アフリカの女王号」の船長チャーリー(ボガード)は、同情心からローズを船に乗せ、安全な場所へと避難させようとするが……

原作を最初に読んで、映画はテレビの洋画劇場かなんかで見たんだと思うけど、ハンフリー・ボガードって「カサブランカ」でなんかカッコいい人、というイメージがあっただけに、はじめ出てきた時にはあまりの薄汚さと品のなさにドン引きした記憶が(笑)。
絶対お近づきになりたくないタイプ。どこかで話しかけられたりしたら、まず口実作って逃げるよこういう人からは……

でも、話が進むにつれなんだか渋かっこよく見えてくるから不思議。相手役のヘプバーンも、最初はギスギスした嫌な女なのがだんだん可愛くなっていくのが面白い。やっぱり男にとっても女にとっても、異性の視線って自分を磨くのに大切なんだなぁというのがよくわかる。
川下りしていろんな危機をくぐり抜けていく間に、ふたりの距離が微妙に縮まっていくあたりも絶妙。
今見ると川下りシーンの特撮とか相当チャチだけど、結局面白い映画って、最終的にはそんなことどうでもよくなってしまうのよね。

それにしても、男ってほんとにか弱い生き物なのねぇ。宣教師の兄は言うまでもないし、チャーリーだって同情心で乗せてやったはずのローズにすっかり主導権握られちゃって、最初は安全な場所に避難するつもりだったのが、川を下って湖に入り、そこに停泊してるドイツの戦艦に体当たり攻撃かけようなんて無謀な企てに乗せられちゃってるし。
あまりのムチャな要求に一度はキレて、酒の勢い借りてローズ相手にさんざん悪態つくんだけど、酔いつぶれてる間に船に備蓄していた酒全部捨てられちゃって、しかも自分はひどい二日酔いで抗議もできない……というシーンはあまりの情けなさが笑える。

ドイツの戦艦に体当たり攻撃をかけようとしたものの、嵐で船が沈んでしまい、ドイツ軍に捕まって戦艦に収容され、スパイ容疑で死刑を宣告されるふたり。チャーリーは艦長に、最後の頼みとしてふたりを結婚させてくれと言い出す。
「時間はかからないから。頼むよ、レディには大事なことなんだ」
こういう殺し文句をさらりと言えてしまうところは、さすがボギー。

皮肉にもドイツ軍の艦長の持つ権限で正式に夫婦と認められたふたりが笑顔で見つめあい、従容と死につく覚悟をしたその時、思いもかけない展開が……

おんぼろ船「アフリカの女王号」のなんともすっとぼけたエンジン音が、終わってからも耳に残る映画でした。


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