「少林寺」 アルティメット・エディション [DVD] 少林寺 (製作年度: 1982年)
レビュー日:2010.4.18
更新日:
評価:★★★
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解説(Yahoo映画より):
いまだにアジア映画としては歴代1位の記録を持つ本格格闘スペクタクル。動乱期の中国を舞台に、少林寺一派が悪辣な将軍一味を叩きのめすというストーリーと、武術シーンの面白さが、ブルース・リーともジャッキー・チェンとも違う、リアルな迫力を追求した作品。主人公のリー・リンチェイの美しいまでに研ぎ澄まされた型と動きが素晴らしい。


中国武術集大成

まるで中国武術集大成みたいな作品でした。お話じたいは少林寺を舞台として、隋末期の時代に親の仇を討って、のちに唐の太宗となる李世民を助けた少年を主人公とする物語。「ドラゴン・キングダム」でジェイソン君が言ってた「中国の皇帝を助けた少林寺の13人の僧の話」ってこれだったのね。
筋も単純だし作りもひと時代前の感覚だけど、ンなことはどうだっていいわけで……

とにかく主演のリー・リンチェイ(のちのジェット・リー)をはじめとする皆さんの動きがスゴすぎる。
もっとも、さんざんジャッキー映画見たおして自分もカンフーと中国語はじめたからこそついていけるんであって、一年前に見てたらたぶん途中で飽きてたはず(笑)。
今になってみると、ジャッキーの「酔拳」とかロープに結びつけた蹄鉄使っての戦いとかのルーツはここにあったのね〜というのがわかって面白いです。それと中国のお寺ってこんな雰囲気なんだーというのもわかって興味深い。鐘の音からして違うんだもん。

もうひとつ面白い、と言うか考えさせられた部分は、最初に主人公が「五戒」を誓わされる場面が出てくるんですが、その五戒の冒頭にある「不殺生戒」と「戦う坊さん」の間に生じる矛盾をどう解消するかという問題。
まぁ主人公が正式に仏門に入るのは戦いが終わった後だからいいとして、他の坊さん達はどうなのか、というと、さすがにトップの管長は徹底的に無抵抗の立場を貫いてしまうのだけど、その他の皆さんは、最初は「自衛のため」、そしてそれでは論理的に弱いとなると、まぁ言ってみれば、「相手がこれ以上悪い業を積まないうちに殺してあげる」という論理になってしまうんですよね。
これって結局某新興宗教テロ集団の論理と同じ……
その点主人公の「殺さなきゃ殺される」という単純明快な論理のほうが、自分を偽る余地は少ないのかも。

娯楽映画だからわりと軽い調子で流されちゃっているけど、宗教と武力が結びついた場合どこでも発生しうる思想の恐さ、というものはここにも現れているような気がします。


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