アクシデンタル・スパイ [DVD] アクシデンタル・スパイ (製作年度: 2001年)
レビュー日:2010.5.1
更新日:
評価:★★★
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解説(Yahoo映画より):
香港で健康器具のセールスをしている中年男バック。孤児院で育ちいまだ独身のバックの取り柄といえば、小さい頃からやっていたクンフーと、事件を事前に察知する不思議な予知能力。ある日、バックはそれらを武器に銀行強盗を阻止、一躍ヒーローとなった。そんなバックのもとに見知らぬ男が現れ、バックの父が韓国で死の床にふせっていると告げる。さっそく韓国へ飛んだバックを待っていたかのように父パクはいくつかの謎を残して死んでしまう。バックは謎を解明すべく今度はトルコへと向かうが、そこで初めて自分がとんでもない国際的陰謀の渦中に放り込まれていることに気づくのだった……。


もうひとつの「WHO AM I?」

人並みはずれた身体能力と第六感を持っていながら、孤児院育ちのせいか要領が悪いせいか、うだつのあがらない人生を送っている健康器具販売会社の営業マンが、ある日銀行強盗騒ぎに巻き込まれ、大立ち回りの末犯人から現金を取り返し、それが大々的にニュースになったことで、思いもよらない経験をするはめに……

前半がなかなかのサスペンス仕立てで、ジャッキーが謎解きしながら男の残した遺産を探し当てるところなんか、今までのジャッキー映画とちょっと毛色が変わってて面白かったんですが、後半だんだんいつもの調子に戻って行っちゃって、最後ド派手なアクションで前半のイメージがぶっ飛んでしまったのが惜しい。

もうひとつの「WHO AM I?」と題したのは、最初ジャッキーとは関係ないところで大掛かりな事件が起こって、それにジャッキーが巻き込まれるところや、クライマックスがまたまたジャッキー一個人の戦いにとどまらない大騒ぎになってしまうところがちょっと「WHO AM I?」に似てるせいもあるけれど、この話もまた「わたしは誰?」というのがけっこう重要なモチーフになっているから。

ユエン・バック(ジャッキー)は自分が誰かということはわかっているけど、親を知らない孤児育ちということで、やはり解決できないアイデンティティに関する謎をかかえているわけで、当初、捨てたわが子を探しているという元スパイに引き合わされ、ある個人的な記憶との符合から、彼が父親であるという確信を抱くようになる。

謎解きの過程でたびたび彼の遺灰を納めた小瓶に話しかけるユエンの姿は、出会ったとたんにこの世を去ってしまった男に自分の父親像を重ね合わせて、やっと獲得したアイデンティティを確認しているようでちょっと切ない。
それだけに、彼の残したもうひとつの「負の遺産」の存在を知った時の苦悩が浮き立ってくるし、事件が落着した時に明らかになる、「個人的な記憶」のある意味残酷な真相もきわだつんだけど……あーもうちょっとそのへんうまく処理してほしかったよぉ。
(かなり欲求不満)

でも、イスタンブールの街を素っ裸で走り回る根性と、セスナにオートバイでガチンコ勝負を挑む無茶ぶりはあっぱれ(爆)。

話の展開は最後に大どんでん返しがあるので油断できません。それとこの映画、お約束のNGシーンだけでは終わらないので要注意。


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