プロジェクトBB ディレクターズ・カット デラックス版 [DVD] プロジェクトBB (製作年度: 2006年)
レビュー日:2010.7.11
更新日:2010.10.20
評価:★★★
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解説(Yahoo映画より):
ジャッキー・チェンが初めて悪役に挑んだアクションコメディ。人のいい泥棒三人組が赤ん坊を誘拐し、自らの首を絞めるハメに陥る姿を抜群の面白さでみせる。『キャノンボール』以来26年ぶりにジャッキーと共演を果たしたマイケル・ホイ、『エレクション』のルイス・クーにユン・ピョウと、香港映画界のベテランたちが集結。命がけのアクションと笑いを連発し、最後は家族愛で涙を誘うという心憎い演出。


赤ちゃん最強(笑)

TSUTAYAのジャッキー映画コレクションで「これ借りたら最後」と思ってた映画です。
でも結局本山GEOで借りちゃいましたが(笑)。
ちょっとテンポがだれたり描写がしつこくなったりする部分があるし、かなりバッチイ場面もありますが、笑えるしほろっとする映画です。ただ、「ダブル・ミッション」見る前に見とくべきだったかなぁという気も。コメディとしてはあっちの方がまとめ方がうまいですね。
というより、やっぱりわたしには香港映画より欧米の映画のほうがセンス的に合うんだろうなぁ、きっと。

この映画、いちおう一番の主役はジャッキーなんだろうけど、ちょっと唐沢寿明似のイケメンな相棒(ルイス・クー)とふたりを一人前の泥棒に仕込んだ大家さん(マイケル・ホイ)との三人組なので、ジャッキーばかりにスポットが当たってるわけじゃないし、なんたって話の中心になるのは赤ちゃん。カワイイんだこれが。このどうしようもないダメンズ三人を存在するだけで更生させちゃうんだから、すごいパワーです。

赤ちゃんを誘拐して逃げる途中、大家さんだけがスピード違反で捕まるはめになって、ジャッキーとルイスがふたりで赤ちゃんの面倒を見なければならなくなるんですが、まったく〜! 育児経験のない男ってホント役に立たないんだよなぁ……
泣きやまない赤ちゃんをなんとかしようと、大の男二人があの手この手を必死で繰り出すさまが笑えます。
ジャッキーとルイスが赤ちゃんはさんで川の字に寝てるシーンはなんだか微笑ましいし、大家さんの奥さんの目から隠すため、とっさにシャツの下に押し込んだ赤ちゃんにオッパイ吸われて悶えるジャッキーなんてもう爆笑モノ。

チョイ役ながらユンピョウが出てきて、ちょっとだけキレのいいカンフー見せてくれますが、しかしまぁ見事にオジサンになって……(笑)。
ラストのNGシーン、ジャッキーのすごいアクションがあった後、ちょっとからんでセリフをやり取りするところで噛んでしまって、ジャッキーに「長回しの後でセリフとちるなーっ! 降りるの怖いんだからな! こんどやったら殺す!」と怒られてたのが笑えました。


【ここが美味しい名シーン】

この映画でのジャッキー、泥棒稼業の最中はそれなりに渋い格好だけど、その反動みたいに普段着はやたら派手だったり花柄だったり……そりゃもうひと目で「堅気の人」じゃないとわかってしまうファッション(笑)。
で、そんな格好するとふだんよりいっそう老けて見えるんですよね。そのことによって泥棒サンダルのやさぐれた雰囲気がよく出てる。
(あのへんは衣装コーディネーターうまいなぁという気がする)

そんないでたちのジャッキーが、ギャンブルのいさかいから賭場で大暴れした挙句ベランダから飛び降りて、エアコンの室外機をつたって下まで降りていく場面では、包丁振り回して「来るなー、来たらココから飛び降りてやる」とすごんだつもりが「じゃあ飛び降りて見ろよ」と切り返され、進退きわまって大アクションに踏み切る自暴自棄ぶりにその崖っぷち人生が透けて見えるような気が。
だからこそ下で待ち構えていたモク警部が「泥棒くらいで命かけるなよ」みたいなこと言って諭すシーンが効果的なのに、吹き替え版では「時計台うんぬん」のギャグでその雰囲気ぶち壊しちゃってるのがモッタイナイ。

しかしユンピョウのモク警部、確かに出番はちょっとだしヘン顔までさせられてるしで気の毒だけど、その割には美味しい役どころではないかと。ことに終盤、赤ちゃんを乗せた救急車を追いかける泥棒ふたりを追おうとする部下たちを止める場面なんて、なかなか侠気があってカッコいい(笑)。


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