八重山再上陸作戦(2011.8.10 - 19)



8月11日(木)

朝、民宿はるばるの美味しい朝ごはんを頂いてから離島ターミナルへ送っていただきました。
初めて利用する離島ターミナルは広くて涼しくて土産物屋も充実。残念ながらこの後もここを使うときはあまり時間の余裕がなくて、おみやげ物色するヒマはありませんでした(涙)。


波照間島行きの一便に乗って出発。

桟橋にはまだ新しい「ぱいぱてぃろーま」が停泊していましたが、わたしが乗ったのはこれではなくて「ニューはてるま」。この船には帰りに乗りましたが、昔乗った高速船にくらべると段違いに中もゆったりとしてデラックス。ただし、揺れるのはやっぱり揺れる(笑)。
(揺れ幅が大きいだけにかえって酔う、という人もいるらしい)

ニューはてるまも揺れたけど、じゅうぶん許容範囲内の揺れで無事波照間島に到着。

迎えに来た星さんの車で集落の中を通って「照島荘」へ。
変わらないといえば変わらないんだけど、やっぱりあちこちにいろんな動きの出てきている波照間島。
実は一番驚いたのは、島のど真ん中にあった風力発電の風車がなくなっていたこと。
といっても風力発電そのものが撤退したわけではなく、島の北側に新しい風車を2基たてたんだそうです。前より集落から離れたところにあるので見に行けませんでしたが、騒音などの問題を考えると、集落からすぐわかるようなところじゃないほうがいいですものね。

新しい風車は強風に壊されないよう、台風の接近に備えてあらかじめ倒しておくことができる「可倒式」という画期的なタイプらしいです。確かに宮古島の風車みたいに台風で折られちゃったら困るし。



宿に荷物を置いて、自転車借りてまずは集落と港を回って土地勘を更新。

お昼は「そばカフェあとふそこ」でゆしドーフそばを食べました。
ここではおそばや丼のほか、島のフルーツや波照間名産黒糖を使ったデザートが食べられるし、お店には雑貨コーナーがあって、手作り感あふれる小物がいっぱい置いてあります。ここでも三線模様の手拭お買い上げ。

実はこのお店、島の唄者、後冨底周二さんの奥さんがやってるお店で、周二さんのライブ会場にもなるらしいです。隣にはしっかり「八重山古典音楽安室流保存会 教師 後冨底周二研究所」の看板もかかっていました。

初めて波照間に来た頃は、お昼食べるところといったら島の中心部にある仲底商店の隣の食堂しかなかったけど、今はもうどこにしようかと悩むほどの盛況ぶり。昔は典型的な島の売店だった仲底商店も、今ではすっかりお洒落なカフェ&雑貨ショップとなり、近くには別館までできてるから驚き。
仲底商店アネックス



お昼を食べて戻ってきてからは、「チーム照島荘」のお稽古。
わたしの「とぅまた節」も練習のかいあって、無事に周二さんのOKを頂きました(笑)。
その日は波照間のお盆行事「ムシャーマ」の一日目。「シサスピン(知らせる日)」という名前がついています。ハイライトの行列が出る日は3日目の「ナカヌピン(中の日)」ですが、お祭りは一日目から始まっており、集落全体のテンションがなんとなくあがり始めているのがわかります。

それはたとえば集会場のガジュマルの木の下に広げて虫干しされている獅子だったり、集落のあちこちから流れてくる三線の音だったり(照島荘の二軒隣からは「弥勒節」が聞こえてきた)……
わたしたち「チーム照島荘」も、今までのお祭りのDVDを見て踊りの動きを覚えたり、踊りに使う板切れに描いた馬の首を装着してみたりと準備に余念がありません。
今年の照島荘は偶然なのか泊り客が全員女性で、そのためになんだか女子高の文化祭みたいな雰囲気が漂い始めました(笑)。


夜になると、集落に突然ドラの音が響き渡りました。
これは「行列のリハーサルやるから集合してください」という合図。
集合場所は村はずれのガジュマルの木。行ってみたら照明がとりつけられた木の下にはゴザが敷かれ、行列の主役となる「ミルク」のお面が置かれていました。


すでに缶ビールでいっぱいやっているおじさんたちのご相伴にあずかっていると、やがて集落の人たちが集まってきました。お祭り行列のリハーサルのはじまり。白シャツ姿のおじさんが近くに掛けてあった黄色い衣をまとい、お面をかぶってミルク様に変身。



このミルク様を先頭にして、さまざまな踊りの人たちが行列を作って、本番さながらに集落を練り歩きながら一周。
「チーム照島荘」の踊り「馬ブシャー」は「馬乗者」という意味で、身体に馬の首をつけ、手綱をひいて馬に乗っているように踊ります。地謡の「とぅまた節」は、

とぅまた松の下から 馬ば乗りおーるすや
(シタリヨーヌ ユバナオレ ミルクユーバ タボラレ)
誰る誰るどぅ乗りおる 何り何りぬどぅ乗りおーる
(シタリヨーヌ ユバナオレ ミルクユーバ タボラレ)

という歌詞をひたすらエンドレスに歌います。

なにしろ行列の地謡なんて初めてなので、どのくらいのエネルギー配分で歌えばいいんだかわからない。踊りの人もまだ振り付け覚えたばかりだからぎこちない。
おまけに行列なので、自分たちの前にも後ろにも別のグループがいてそれぞれ別の踊りをやってます。前からは「六調」が聞こえてくる、後ろからは「安里屋ユンタ」が聞こえてくる……
周囲の唄に気を取られず、自分の唄に集中してないと音程が外れそうになります。ひえええ。

でも一周しおわる頃にはだんだんノッて調子よくなってきました。

でもエンドレス地謡は疲れるなぁ。エイサーの地謡がどんなものなのか、なんとなくわかったような気がした夜でした。

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