チョコレートよりチョコレートなチョコレートケーキ
中央公論社から出ているシェフ・シリーズの最新刊70号の特集は「チョコレート菓子」
です。元クレッセントの柳シェフ、ノリエットの永井シェフ、ショコラ・ド・パリ・ルショワ
和光の川口シェフの3人がそれぞれ趣向を凝らしたオペラと新作のチョコレートケーキの
レシピを公開しているんですが、そのケーキたちがあまりに美味しそうなので実際に
食べに行ってみました。
まずは世田谷区下高井戸(京王線下高井戸駅下車5分)のノリエット。雑誌で紹介されて いた「クラッシック・ショコラ(ガトー・ショコラ風)」は売り切れていたので、 看板商品の「ノリエット」を買いました。この「ノリエット」、買う際に必ず店員 さんから「食べる時には最低30分は室温状態のところに置いて、それから食べてくださいね」 という結構キツイ注意を受けます(笑)。そのため、イートインはできないというちょっと 変わり種(持ち帰り不可とはよく聞きますが)のケーキなのです。
白いココットに入っていて表面は黒味のつよいココアがかかっています。スプーンで
中身をすくうと、濃厚なチョコレートの香りが広がり、ねっとりと真っ黒いケーキ種の
ような中身が出てきます。見るからに濃ゆい感じがしますが、味も見た目どおりのカカオ
の香りと苦みが強烈にアピールする濃厚な味で、カカオ酔いしそうなほどです。濃厚な
ガナッシュをちょっとだけケーキにしたってところでしょうか?チョコレート好きには
たまらない生一本の剛速球って感じ(笑)。一緒にかなり苦めでナッティな香りの
ダージリンを飲んだのですが相性ぴったし、お互いのクセを消しつつ、なおかつ長所を
伸ばすというよい取り合わせになりました。
次に訪れたのが銀座4丁目のルショワ和光。チョコレートは何度も買ったことはある ものの、イートインは初めてです。メニューを見せてもらうと、お目当てのケーキと 紅茶(コーヒーはない)のセット(900円/1000円)の他、ボンボン・ショコラと紅茶の セット、ショコラ・ショー、ムース・オ・ショコラなど一度食べて見たいアイテムが いっぱい(^^ゞ。 ケーキは「ピュア・カライブ」という魅力的な名前のエクレア風のもの、プラリネ の詰まったチョコレートタルト、コニャックをたっぷり使ったというオペラ風のいかにも 濃厚そうなケーキ、そして今回食べた「セシュラ」の4種類でした。どれも チョコレート専門店らしく、チョコレートを強調したケーキになっているようです。 「セシュラ」は直径4cm、高さ4cmくらいの茶色の円筒形をしていて、上に粉砂糖が 振り掛けてあり、ぱっと見るとガトーショコラのようですが中身はぜ〜んぜん違います(笑)。 ケーキにフォークを入れるとかなりねっとりとした触感。切り分けて見ると、中にうす茶色 のセンターが入っています。まず外側の濃い茶色の部分を食べると生姜のさわやかな香りが 口の中にさ〜っと広がります。生地にミルクが入っておらず、甘みも控え目なせいか、非常 に洗練された上品な味わいです。薄茶のセンターは大変香ばしいナッツの風味。甘くって、 美味しくって思わずニコニコしてしまうような親しみ深い味で、外の生姜生地とは対照的な 味わい。そして、2つ一遍に入れるとなんとも言えないハーモニー、ホント〜〜に美味し かったです〜。(^^)
前のノリエットが剛速球なら、こちらは七色の魔球といった感じかな(笑)。ただひとつ
残念だったのは一緒に出されたダージリンティーとの相性がも一つだったこと。ダージリン
はナッティな風味で香りもよく、味もしっかりしていて、よい紅茶だと思うのですが
、一緒に食するとケーキの味わいが消されてしまうのです(泣)。良いもの同士合せて
も上手くいかない典型例かもしれません。このダージリンにはもうちょっと強いケーキが
合いそうですね。しかし、銀座の真ん中でこのケーキ、この紅茶で900円というのは
すっごいお得だと思います。カウンター席なのでのんびりお茶という訳にはいきませんが、
ちょっとした休憩に利用するならめちゃお薦めです。
「ノリエット」にしても「セシュラ」にしてもその辺のチョコレート
以上にチョコレートらしいケーキです。固さの制約のない分、軽いのに濃厚、複雑な味の
取り合わせという美味しいボンボン・オ・ショコラでも味わえないような魅力も持って
います。これから次々とこのようなタイプのチョコレートのケーキが増えてきそうで
とっても楽しみです。
前へ
次へ