第六回 | |||||||
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柳井 美加奈 | |||||||
特別出演 | |||||||
青木 鈴慕 | |||||||
賛助出演 | |||||||
富山 清琴 | |||||||
2004年12月3日(金)午後7:30時開演 abc会館ホール |
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ご挨拶 | ||||
本日は御多用の中「二人会」にお運びいただき誠に有り難く厚く御礼申し上げます。 古典ばかりでの毎年のリサイタルは、古典というものがいかに深く、到達することが 困難なものかを思い知らされることとなりました。 けれども、それは古典というものの魅力をこれ以上には味わえないという道であった ような気がします。 邦楽器の持つ可能性を益々感じながら、その魅力が少しでも演奏の中にあらわれる様 全力で取り組んでいきたいと願っています。 |
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柳井 美加奈 | ||||
曲 目 | ||||
四季の曲 | 筝 | 柳井 美加奈 | ||
ゆ き | 三絃 | 柳井 美加奈 | ||
尺八 | 青木 鈴慕 | |||
◇ | ||||
夜々の星 | 箏 | 柳井 美加奈 | ||
三絃 | 富山 清琴 | |||
尺八 | 青木 鈴慕 | |||
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解 説 | ||||
四季の曲 | 作曲 八橋検校(1614〜1685) | |||
序 花の春立つ朝には、日影曇らで匂やかに 人の心もおのづから 伸びらかなるぞ四方山 一 春は梅に鶯 つつじや藤に山吹 桜かざす宮人は 花に心移せり ニ 夏は卯の花橘 あやめ蓮なでしこ 風吹けばし涼しくて 水の心移せり 三 秋は紅葉鹿の音 千種の花に松虫 雁鳴きて夕暮れの 月に心移せり 四 冬は時雨初霜 霞みずおれ木枯らし 冴えし夜の曙 雪に心移せり 八橋検校の組歌、13曲中の奥組の一つで、「雲井の曲」「扇の曲」と併せて『八橋の三曲』 と呼ばれている。この曲は五歌からなりたっており、第一歌は序で、後の四歌は春夏秋冬 の順で並べられている。 序で、新年(立春)を寿ぎ、以下の四歌は、藤原定家の歌を参考に、その季節にふさわしい 季題を寄せて歌としたもので、すべて「心移せり」で結んでいる。大宮人の四季折々の風情 の楽しみをうたっている。 |
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ゆ き | 作曲 峰崎 匂当(1781〜1801頃) | |||
花も雪も払へば清き快かな ほんに昔の事よ 我が待つ人は吾を待ちけん 鴛鴦の雄鳥に 物思い羽の凍る衾に鳴く音はさぞな さなきだに 心も遠き夜半の鐘 (合) 聞くも 淋しき独り寝の 枕に響く霧の音も 若しやいっそ堰きかねて 落つる涙のつららより 辛き生命は惜しからねども 恋しき人は罪深く 思はんことの 悲しさに 捨てた憂き 捨てた浮世の山かづら 地歌端唄物の代表作といわれるものである。渋い中にも粋な風情を持つ曲で、この曲の 合いの手(中間部の歌の無い部分)は鐘の音にも喩えられているが、通称「雪の手」とし て義太夫や長唄、小唄の中でも取り入られている。簡素な表現で味わい深い心象風景を 引き出している。歌は流石庵羽積によるといわれ、悲恋の末に出家した女の昔の追憶を歌 ったものである。 |
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夜々の星 | 作曲 光崎検校(不詳〜1853年頃) | |||
歌詞 皆川淇園 | ||||
玉櫛笥 ふたたび三度思ふ事 思ふが儘に 書きつけて 見すれど海女のかづきして 刈る てふ底のみるめにも ふれぬをいたみ頼みにし 筆さへだに恥かしいの 軒の忍草に消えや すき 露の身にしもならまほし ならまく星の光すら (手事) 絶えてあやなくなるまでも 八夜九夜と思いあかし 雲井をながめすべをなみ 袖の雫に堰き入るる 硯の海に玉や沈 めん かなわぬ恋に苦しむ女心を歌ったものである。 この曲の大きな特徴は、他の地歌三絃は後に別の作曲者が筝の手を付けたものがほとんどで あるのに対して、筝の手付も光崎検校による。筝曲の名曲「秋風の曲」「五段砧」を作曲した 光崎検校ならではあろう。 (解説 守山 偕子) |
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Profile | ||||
柳井 美加奈 | ||||
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青木 鈴慕 | ||||
1951年 | 東京新聞社主催全国邦楽コンクールに「鹿の遠音」の独奏により第一位優勝。 | |||
1970年 | 74年、77年、79年、81年、文化庁芸術祭に大賞、優秀賞、五回の個人受賞。 | |||
1990年 | 日本芸術院賞受賞。モービル音楽賞受賞。 | |||
1998年 | CD「竹一管」により文化庁芸術作品賞受賞。 | |||
1999年 | 松尾芸能賞優秀賞受賞。重要無形文化財保持者、人間国宝に認定。 | |||
2002年 | 紫綬褒賞受賞。 | |||
現在 | 重要無形文化財保持者、人間国宝 (社)日本三曲協会副会長 尺八琴古流協会会長 | |||
富山 清琴 | ||||
1950年 | 初代富山清琴の長男として東京に生まれる。 | |||
1973年 | 東京芸術大学音楽学部邦楽科卒業。 | |||
1975年 | 同大学講師を務める。 | |||
1981年 | 国際交流基金派遣使節として西欧4カ国を巡演。 | |||
第1回リサイタルを開催。 | ||||
1983年 | 日本芸術祭公演使節として西欧6カ国を巡演。 | |||
お茶の水女子大学講師を務め現在に至る。 | ||||
1986年 | フィンランド、クフモ国際室内楽フェスティバルに出演。 | |||
同年度文化庁芸術祭賞受賞(89年、91年にも同賞受賞)。 | ||||
1992年 | 国際交流基金派遣三曲使節として西欧4カ国を巡演。 | |||
1994年 | 同使節として北欧4カ国を巡演。 | |||
2000年 | 富山清琴を襲名、家元を継承。使節として北欧4カ国を巡演。 | |||
2003年 | エジンバラ国際フェステバルに招かれ演奏。 | |||
2004年 | パリ市立劇場に招かれ演奏。 日本芸術院賞受賞。 | |||
楽器調整 鶴屋三絃店 おことの店 矢野 |
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