『冤罪』 JR浦和電車区事件をめぐって

 

罪なき者が罰せられる!

 

武藤功

 

 ()、これは、武藤功著『冤罪』(出版研、2005年2月)に関する武藤氏の「自著紹介」と著書〔目次〕である。紹介文にあるように、JR浦和電車区事件は、きわめて不可解な警察捜査とともに、検察・裁判所を含めた労働運動・労働組合にたいする権力乱用犯罪といえる。このHPに転載することについては、『葦牙』同人である武藤氏の了解をいただいてある。

 

 〔目次〕

   1、武藤功『冤罪』・著者の「自著紹介」

   2、『冤罪』の目次

 

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   武藤功『丸山眞男と日本共産党』

   『葦牙』文学と思想を科学する雑誌

   ジュンク堂書店『冤罪』注文 定価税込み 2100円

   Google検索『松崎明』 元JR東労組執行委員長

 

 1、武藤功『冤罪』・著者の「自著紹介」

 

 二〇〇二年十一月一日、JR浦和電車区に所属・関係する労働者七人が突然逮捕された。組合活動のなかで交わした言葉が、「強要罪」にあたるというのである。七人は「何も強要罪にあたるようなことはしていない」と主張したが、警察と検察はその組合活動のなかでの彼らの発言は、一人の脱退組合員にたいして脅迫・強要をはたらいたことになるというのである。

 

 こうして「JR浦和電車区事件」は、司法権力によって作り出された。本書はその冤罪としての全貌をわかりやすく説き起こした告発の書である。

 

 私はこの事件を労働運動にたいする稀に見る権力弾圧と見るだけではなく、現代の民主主義の危機をあらわす象徴的な事件と見る。七人の労働者は組合活動とその延長での発言をしただけであるのに、それを「強要罪」として描き出すことは、労働運動や市民運動のなかで、権力に気に入らない言動は、すべて「強要・脅迫」として描き出す道に通じるからである。労働者であれ、市民であれ、その言論活動にたいする弾圧・抑圧は、「言論の自由」を定めた憲法下で許されるはずもないのに、その憲法原則が権力によって踏みにじられている実態がここにある。

 

 これでは憲法(二八条)によって保障されている労働者の団結権は、無意味なものとなってしまう。労働者保護のための労働組合法も無きに等しいことになる。労働組合というと、何か一般市民とはちがう世界のように思われるかもしれないが、実は労働組合が自由に活動できる社会こそが健全な社会であり、市民的な自由の保障の土台である。戦前のように労働組合が抑圧されてしまうと、市民の自由もなくなる。市民の立場から見ても、この「JR浦和電車区事件」を見過ごすことができないゆえんである。

 

 注目すべきなのは、この事件が憲法9条改悪と有事立法プロセスのなかで作り出されたということである。日米軍事同盟強化のなかで、その軍事路線に障害となるような憲法擁護団体(JR総連傘下の組合は「9条連」に参加して平和憲法擁護の先頭に立っている数少ない労働組合である)を狙い撃ちにして弾圧を加えていることである。その弾圧の口実の一つが、「JR総連は革マル派の党員が多数潜入していて危険な存在だ」というものであった。しかし、そのウソは歴史が証明する通りであることを、私は実証的に反証した。それは警察・検察の権力犯罪を隠蔽するための情報戦略の所産にすぎなかった。

 

 同時に問題なのは、こうした労働者にたいする弾圧事件をマスコミが無視していることである。労働者の党を名乗る「しんぶん赤旗」も一行も書かない。こうしてマスコミが沈黙している間に、大阪では年が明けた一月、全日本建設運輸連帯労組関西地区生コン支部の役員四人が逮捕されるという事件へ飛び火した。逮捕の理由はJR東労組弾圧の場合と同様に「強要罪」(その他に「威力業務妨害」)である。国民の「知る権利」が、マスコミによってシャットアウトされているなか、権力機関は労働運動という民主主義の根幹を掘り崩しているのである。

 

 本書にはほかに、元JR東労組執行委員長の松崎明氏とのインタビュー対談がある。このなかでも「革マル」問題の解明につとめたほか、この「JR浦和電車区事件」にこめられた警察・検察の弾圧が「JR総連」解体をめざす「検察臨調」(中曽根臨調の総仕上げ)という本質を持つ実態を語り合っている。

 

(発行所・出版研 定価税込み 2100円)

 

 2、『冤罪』の目次

 

   はじめに

 1、ある朝、突然に

 2、不可解な警察の捜査姿勢

 3、労組「グリーンユニオン」の策動

 4、異常の極点・三四四日の勾留

 5、公安警察の言う「革マル」問題とは何か

 6、労働運動の生命としての「言葉」

 7、誤起訴にいたる構造

 8、検閲国家への道

 9、ILO勧告の意義

 

   インタビュー対談「非暴力・平和のすすめ」―松崎明・武藤功

    JR浦和電車区事件は、労働基本権の圧殺

    国鉄分割・民営化が遺したもの

    国家の論理と市民の論理

    「革マル」問題とは何であったか

    思想の自立ということ

 

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 (関連ファイル)

   武藤功『丸山眞男と日本共産党』

   『葦牙』文学と思想を科学する雑誌

   ジュンク堂書店『冤罪』注文 定価税込み 2100円

   Google検索『松崎明』 元JR東労組執行委員長