5月19日(火)その2

 な、なんとこれも書いて無かったのか(絶句)

●3/25 BO−JO @新宿PIT INN

 荒井皆子(vo)、田中信正(p)、松井秋彦(ds)

 1部:Foot Steps Japanese Short Tale(?)/Tea for Two/My Favorite Things/
    /Strong Hands(from Grim Tales)/My Funny Valentine/All Blues
 2部:On the Dolphin Street/Giant Steps/Reflections/Booz Walk(?)(by原朋直)/
    /Solitude/Maiden Voyage

 どーゆーことやってるバンドなのか分からなくて、何となく見過ごしてたグループ。
 それが、森山威男さんとこで弾いている田中信正さんを目の当たりにして (参照)、 こ、これは!とピンと来るものがあり、彼の名前を追ってここに行き着いた、と。

 さて、彼らのお師匠さんである佐藤允彦の推薦文冒頭に 「このグループの音楽を理解しようとは思わないでいただきたい。」とあるので、 もしやとんでもない前衛かもしれない、と多少身構えて出かけました。
 で、結果はご覧のように綺羅星のようなスタンダードが並んでいる訳ですが、 騙されてはいけない!演奏形態は、やっぱり全然スタンダードじゃなかった。

 ひとまず、身構える必要は無かったですが。血管切れそうな、神経きりきり絞って 聞くタイプの前衛音楽ではなかった(ほっ)。むしろ、適度にソフトでなごめるし、 適度にスリリングで面白い。ただ、とらえ所がないというのは確か。 

 お姉さん役の荒井皆子さんが他の2人を紹介して言うには「出過ぎた釘は打たれない、 ピアノの田中信正」「わたしはドラムの液状化現象と呼んでおります、松井秋彦」 だそうで、田中さんのは彼のひょろ長い体型も指していると思われます。 松井さんのドラムは、これはまさにぴったりの表現。当の荒井さんですが、 voはvocalではなくvoiceです。そういう歌い手は最近多いですが、つまり 人の声を一種の楽器として扱うという、あれですね。

 スタンダードがスタンダードじゃない。原型を上手にとどめながら、激しくアレンジ してあるからなんですが、もとのリズムとかハーモニーがぐずぐずに壊されて すごく流動的な印象の曲に仕上がっている。これが変に心地良い。流動的と言っても、 時には疾走感があり時にはたゆたう感じがあり、変化に富んでいて面白いんです。
 田中さんは明らかに爆裂型のピアニストです(笑)。ドッカーンといった瞬間の 前のめりの演奏は相当な迫力です。かと思うと、次の曲では何事もなかったかのように トツトツとした弾きっぷりになってしまう。気分転換がやたら早い(笑)。
 松井さんのドラムは...これが一番とらえ所がない。そうか彼が犯人だな(苦笑)。 えーとね。水底から湧き上がってくる気泡をドラムで表現してみました、ってそんな感じ。 粘りがない、泡切れが良い。気持ちいいんだけど、何やってるのか全然分からない(!)。

 このように、放っておいたらどこに行っちゃうか分からない2人を、まとめているのが 荒井さんだそうです。残念ながらこの日、荒井さんは風邪をひいていて最後の方は 声が出なくなってしまったのですが、基本的にとても聞き易い声質の人だと思う。 たった1曲、My Funny Valentine だけは、テーマ部分がほとんどアレンジなしの ストレートな演奏でしたが、その時の透明感のある美しい歌声は結構感激しました。  voice的な部分のテクニックはよく分からない。こういう歌い方に関しては、 ミミズはメレディス・モンクを聞いてしまってから、 なまじなことでは感動できないのです。(困ったものだ。)

 理解しようとしちゃいけないものを、レポートするってのは凄く苦しい!!! CDが出てますから聞いて下さい(逃げ)。

  BO−JO/BOB & JOLT
  BJCD 0003(BAJレーベル)(TGCS-342)

 このグループ自体の行く末も楽しみだし、メンバーそれぞれがこれからどんな方向を 目指していくのか、それも是非見ていきたい。そんな気持ちになったことは確かです。


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