8月23日(土)夜の部(1)

アースセレブレーション
第一部 スアール・アグン

 16時40分佐和田バスステーション発のバスは、17時45分小木営業所に到着。 日中、佐和田で調達しておいた夕飯を手に再び会場の城山公園を目指します。 短い距離とはいえ、腰を落とした山登り体制でないと登り切れません。 ぜーぜーはーはー。

 会場の売店では、今日ミミズと同じ行程をこなし、but 夕飯は用意 できなかったと思しき人々が、血相を変えて菓子パンを買っています。 ECのコンサート会場ではろくな食料は手に入りません。要注意。 (ふもとのフリーマーケットの方では色々屋台が出てましたけどね。)

 1部はインドネシアよりスアール・アグン。パンフでは『巨大な竹製 打楽器アンサンブル「ジェゴグ」の演奏団』と紹介され、バンブーシロフォン という言葉も見られます。
 ステージ上は、バリ特有の先のすぼまったのぼりや大きな傘が林立し、 そのバンブーシロフォン(聖獣バロンを彫り込んだ極彩色の前飾り付き)の 群れが左右に分かれて階段状に並び、まことにエキゾチックな光景です。
 客席後方より花びらの入った篭を捧げ持った女性の舞い手二人に 先導され、賑やかに登場しました。総勢20人位(?)、太鼓や鐘を打ち鳴らし、 バロン・ダンスに登場する猿を思わせるとっても剽軽な身振りの人もいて、 入場行進からしてもう愉快!

 雅やかなバリダンスともども、演奏が始まりました。楽器が変わっただけで、 音楽の構造は金属楽器主体のガムランと同じなのかな。竹の楽器は下から C・D・A・Fに近い4音しか出ない単純なもの。これをオクターブを 変えて大小取り混ぜたグループが左右に並んでまして、 右と左とでは全体の音域とピッチも微妙に違うようです。右の方が響きが重く 左の方は明るく聞こえました。まずは右の楽器群だけで演奏し、 曲が変わると左の方にぞろぞろと移動して、というようなことをします。 (コミミズが左右逆じゃないかと申しておりますが、どっちが正しいのか 検証する方法がない。)

 木琴に比べて、音がとても柔らかい。4音の組み合わせとテンポと強弱の 差だけなのに、表情豊かな音楽です。10数台の音が様々に重なって、 さながらアジアの森の音楽という雰囲気。熱が入ってくると飾りにつけた 大きな傘ごとゆっさゆっさと楽器がゆれて、分解するんじゃないかと 心配になるほどです。
 1曲、男女の舞手10人ほどが旗を持って「ドレミファソラシド・ドシラ・・・・」 などと歌いながら踊り、前記の4音で伴奏を付けるという不可思議な曲が ありまして、これは海外公演のために作った曲かしら。周囲の状況を見ながら 次々に新しい芸能を生み出すバリ人のエネルギーの一端を見た思いですが、 何が凄いって、そういう芸能の担い手がたいていは音楽は本職じゃないということ。 スアール・アグンの皆さんも本業は農業です。

 1部の後半、左右の楽器群両方を使っての演奏(「ムバラン」というらしい)に 移りました。アンバランスというか、わざと左右がかみ合ってないように 聞こえさせている? 何か妙にはらはらします。この世は善悪、光と闇の 永遠の戦いである、というのがバリ・ヒンズーの根本思想になってて、 これを体現している演奏なのかもしれません。 時には片方のグループ全員がこぶしを振り上げて、 もう一つのグループを威嚇するような身振りがはいります。表情はかなり真剣。
 さてここに、鼓童のメンバー5〜6人が抱え太鼓を持って乱入。 右のグループを取り囲んであおり立て、今度は左のグループをはやし立て、 と赤勝て白勝て状態のお祭り騒ぎ。当然、鼓童ファンは大喜びです。
 うーむ、しかしこれは思想的にはどういうことになるんだ!? という わたしの疑問をよそに大いに盛り上がり、1部は終了したのでした。

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