アースセレブレーション
第二部 ドゥドゥ・ニジャエ・ローズ・パーカッション・オーケストラfromセネガル。
これまた、打楽器の祭典にふさわしい勇壮な楽団です。
150人の中から選ばれた精鋭ということで20名くらいですか、一転、
大きな平台を置いただけのシンプルなステージに、行進曲風リズムを
ユニゾンで叩きながら現れました。圧倒的迫力の、まさに大地の音。
半分くらいは客席からで、端の方を迂回するのでなく、わざとすし詰めの客席を
踏み分けるように。誘導係りのスタッフが「聞いてないよ〜」という感じで
あたふたしてたけど、あとの祭り(苦笑)。
所定の位置に着きそのまま演奏続行、時折、団員の一人が抜け出してきて
ラップよりももっと歌うような調子で、何事か客席に向かって語りかけます。
音量・調子ともに最高点に達したところで躍り込むようにして
ドゥドゥ御大が登場。真ん中に運び込まれた太鼓の前に構え、間合いを
とってやおら左手に持ったほそいバチで打ち込みます。(ほかの団員は
右手に持っている。)カカンカンカンカン・・・・鋭くて緊張感の漲るような音、
見た目には蠅叩きで虫を追うような独特の手つき。
が、彼の演奏場面はすぐ終わってしまい、何の脈略もなく今度は
ステージ上を走り回り始め、と思ったらこれが彼の指揮法なのでした。
彼が走っていった先にいる団員たちは、真剣にドゥドゥの動きを目で追い
対峙するように一際大きな張りのある音を出します。
かと思うときりきりと鋭角に向きを変えながら、手刀で空間を切り裂き
飛びはね、腰をためてこぶしを突き出す。敏捷な動きはほとんど空手の演武で、
惚れ惚れするほど美しい。ドゥドゥがこうやって動き出したとたん、
オーケストラのリズムの糸がピンと張って今までにない躍動感が生まれる。
素晴らしい。拍子は一定してないのですが、結構三拍子系が多いです。
でも、このさい拍子なんてどーでもいい! 突き動かされるようなリズムに
自然と体が動き出してしまう。
太鼓の数や編成をかえたりしながらこの調子で1時間半、ドゥドゥは
エネルギッシュに叩き走り踊り続けたのでした。ドゥドゥが太鼓に向かい
まさに叩こうとする瞬間の、団員の緊張感たるやもの凄いもの。
何というカリスマ性。
時には、オーケストラに背を向け観客の手拍子まで指揮してしまう。
途中、「平和を祈る歌」を斉唱するなど、聴衆をどんどん巻き込んでいきます。
聴衆に媚びる態度が微塵も見られないのが、また気持ちいい。
最後にはまた鼓童のメンツが乱入しまして、技量的には劣るものの (これはもう、致し方ないでしょう)のびのびと叩いてました。 音量は日本の抱え太鼓の方がデカイのね。打面も胴も大きいせいかな。
この夜も、憑かれたように踊り続ける観衆の帯が客席の両脇にできて いたのは、言うまでもありません。まったく、みんな元気です。