8月24日(日)夜の部

アースセレブレーション「祝祭」

 日中、思うところがあって真野まで出かけて不発に終わり、早々に小木に 帰ってきてひたすら土産漁り。真野は歴史的に由緒ある土地らしいのだが、 我々は行くところを間違ってしまったらしい....。
 本当はアースセレブレーションは、昼間もワークショップだの各種出し物 (フリンジと呼ぶ)だの賑々しく開催されているのだけど、 今回その辺には一つも顔を出さなかった。ちょっと勿体なかったな。

 さて、入場する前からひと騒動だった10周年記念コンサート。 ゲストは過去出場経験のあるグループから厳選されている。

スアール・アグン ドゥドゥ・ニジャエ・ローズ・パーカッション・オーケストラ  アジャ・アディ 山下洋輔 そして勿論、鼓童

 オープニングは鼓童単独の演奏で。私が聞き始めた2日目は鼓童のメンバーは一切 登場せず、3日目も飛び入りだけでしたから、やっとまともな(?)彼らの演奏を 見られる訳です。鼓童の根強いファン、アースセレブレーションに 何年も通い詰めている人たちにとっては待ちに待った瞬間でしょう。 彼らが姿を現したとたん、うおーという地を揺るがすどよめきがわき起こりました。
 いや、太鼓はやっぱり野外で聞くものだわ。和太鼓の演奏を見ながら、 あんなに晴れがましい気分になるというのは、やっぱりミミズも日本人だったんですね。

 実は私は、1度しか鼓童の単独公演を見たことがありません。従って、 あんまり彼らのことを云々できる立場じゃないです。ただ、一つ言えるのは、 彼らがやっていることは、とてもショーアップされた太鼓だということで、 ここが評価の分かれ目になっているようですね。言うなれば、 フィギュアスケートに対するアイスダンス・ショーな訳で、 音楽に芸術性だけを求める人にとっては、鼓童はまだまだ、なのだろうし、 虚構の世界の創造とカタルシスという点では、鼓童はかなりのところまで 行ってる気もします。
 ともあれ、よそ者だった彼らが佐渡に定着し、地元を巻き込みつつ こんな世界規模のイベントを10年も続け、何千人もの観客を動員するまでに 育ててきた。これは大変なことです。その努力と情熱には脱帽いたします。

 この後の出演者は、スアール・アグン/ドゥドゥ・ニジャエ・ローズ・ パーカッション・オーケストラ/アジャ・アディ/山下洋輔(順不同)。 もう順番・曲ごとの出演者などは訳が分からず、一緒に行った妹と 記憶を突き合わせたてみたんですが、全然駄目でした(^^;) 
 スアール・アグンは、鼓童のメンバーと一緒ににわか仕立てのケチャで 現れたとか、ドゥドゥと鼓童の一騎打ちの場面は、鼓童がまるっきり 迫力負け、等々。断片的なことは色々あるんですが。

 印象に残っているのは、たった一人でトーキングドラムを抱えて 広いステージに現れたアジャ・アディが、あっというまに3千の聴衆を とらえてしまったこと。暖かく包容力があってユーモラスで、つい 聞き入ってしまわずにはいられなかった。
 ドゥドゥともう一人二人オーケストラのメンバー+鼓童側からは 横笛が入ってのセッション。これは緊迫感があって非常に良かった。
 何人くらいだったかな、鼓童のメンバーが仁王立ちで正面向いたまま 民謡の斉唱、太鼓の伴奏付き。これ力強い感じがとてもGood。

 山下さんはゲストの中で一番最後に登場です。きちんと音階が出る楽器は ピアノだけ、というのがまず異色。ジャズの横揺れ感がまた異色。しかし、 何よりも新鮮だったのは、この人がピアノを弾き出したとたんに何やら '和の香り'が漂い始めたことです。山下さんの奏でるフレーズがそうなのか、 触発されて鼓童側の音が変わったのか、よく分かりませんが、突然私の 内部で ニッポン というものが強烈にアピールしてきたように思います。
 山下コーナーの出し物はボレロ、太鼓・笛・ピアノ+現代舞踊、 ノリのいい賑やかな曲で締めくくったんでしたっけか。 ボレロ は人とやっているところを見るのは確か初めてで、これだけでも 来たかいがありました(^^) 。相手が太鼓の群なんで当然中盤から 拳固・肘を多用しまして、それじゃ最後までもたないんでは....といらぬ心配をしましたが、 弾けば弾くほど前を上回る音圧が出る。毎度のことながら、やっぱり凄い。

 トリは。いつ果てるとも知れず何度も何度も何度も同じフレーズが繰り返され、 却ってそれがステージ・客席の興奮をあおり、もの凄い混迷状態となり、 わーどーなるんだー、と思ったところ気が付けばドゥドゥ・ニジャエがしっかり リズムを仕切っている姿を見つけて大笑いし....。纏や巨大団扇なども登場し、 あれれ? いつの間にか楽器を取り替えっこしてる人たちもいるな。
 いつしか客席も総立ちとなり、てんでに大声で叫び、踊り、笑い合っているのでした。

 アンコールはすべての出演者による屋台囃子。やがて、ゲストが一人また一人、 紹介されてはステージを去っていく。最後は鼓童だけの演奏となって、 爽やかな余韻を残す上手な納め方でした。

 ああさっぱりしたあ!!! と伸びのひとつもしたくなるような。 実にすがすがしい夏の日々でした。

 また、行けるかなあ....

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