ワンポイント・アドバイス

何か、ワンポイントというより、大論文になっちゃいそうです。つい熱がこもっちゃって(苦笑)

チョコレートの成分について   テンパリングの秘訣
ほんとのワンポイント・アドバイス

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チョコレートの成分について

 カカオマス・カカオバター・砂糖にミルクや各種香料などを加えたのが市販のチョコレート (板チョコ)です。カカオマス・カカオバターはともにカカオ豆から取れます。 チョコレートの苦みの成分がカカオマス、滑らかさや香りの成分がカカオバターという訳です。 (ホワイトチョコがチョコレート色をしてないのにチョコレートの味がするのも、 この辺に秘密がありそうですね。)
 製菓用チョコレートには香料などの余計な混ぜものが入っていません。よく、 製菓用品のコーナーで割チョコが売られていますが、厳密には製菓用チョコレートではありません。 クーベルチュールはコーティングしやすいように特にカカオバターの含有量を多くして、 溶かしたときに液状に近くなるようにした製菓用チョコ。 洋生チョコは不安定なカカオバターの 代わりに別の油脂を使ったコーティング用チョコレートです。従って、カカオバターを使った チョコレートに比べて風味が(私感ではかなり)劣ります。

 模式図にするとこんな感じになります。割合はうそ八百です。ご了承下さい。


  表皮  カカオマス  カカオバター  砂 糖   ミルク 
カカオ豆        
ココアパウダー      〃        
スイートチョコ           
ミルクチョコ           
ホワイトチョコ            
クーベルチュール・ブラック       
洋生チョコ・ブラック      植物性油脂  

ホワイトチョコにカカオマスが入ってました。誤りです。お詫びして訂正いたします。('98.12.28)


 ココアパウダーのカカオバターの量はかなり嘘です。というのは、カカオ豆からカカオバターを搾った、 残りを粉にしたのがココアパウダーなので....。あと、砂糖だってこんなもんじゃ無いと思う。 (どーも横幅の指定が上手くできなくて(^^;) ごめんなさい。)

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テンパリング成功の秘訣

チョコレートのレシピを読んでいて、必ずぶち当たる問題、テンパリングのお話し。

<目次>その1何でテンパリングが必要なのか?
    その2テンパリングの原理
    その3テンパリング必勝術
    その4テンパリングを回避するには?


その1 何でテンパリングが必要なのか?

 ちょっと凝ったチョコレートを作ろうと思ったら、コーティング作業は 避けて通れません。チョコレート・コーティングのために一般的に使われるのが、 クーベルチュール・チョコレート。(いや、洋生チョコ使ったって良いんだけどさー。 本当にまずいのよ、あれ。)

 「チョコレートの成分について」で書いたように、クーベルチュール・チョコは 普通のチョコレートに比べて相当カカオバターの量が多いのが特徴です。 ヨーロッパでは、全重量に対してカカオバター何パーセント以上含有のものを クーベルチュールと呼ぶ、という厳密な基準があるそうで....。何パーセントだったか、 書いてあった資料を紛失してしまったので、ちょっとここでは書けないのですが。

 カカオバターが多いため、一長一短があります。 長所は、その辺のチョコを溶かしたのに比べて液状に近くなること。 例えば、明治のガーナの板チョコを湯煎にかけても、ドロリとしたクリーム状にしか なりません。クーベルチュールを湯煎にかけると、もっとトロトロになって 薄い膜状にコーティングすることが可能になります。
 短所は、カカオバターの結晶が不安定なため、含有量が多いと 出来上がったチョコレートに異変が起きやすいこと。つまり、きちんとチョコレートの 結晶のなかに収まっていられず、勝手に表ににじみ出してきて、チョコの艶を失わせ、 表面に霜がおりたような模様を作ったり縞模様が浮かんだりするのです。 (ブルーミング=blooming=花が咲くが原意、と言います。あ、ちなみにこれ、 カカオバターの量が少なくても起こります。)

 ブルーミングを起こしたチョコレートは、ぼそぼそでまずい上に、見た目も情けない。 これは絶対に避けねばなりません。で、対策としてテンパリング=tempering=温度調整 という技が必要になります。

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その2 テンパリングの原理〜あの小難しい温度設定の秘密

 テンパリングの手順については、必ずどんなチョコレートの本にも書いてありますから、 そちらを参照して下さい。
 やれ38度だ、冷水だ湯煎だ、と細かく温度が指定されていると思います。 何でああなるのか?本当にそんなに厳密にする必要があるのか? 概ねお菓子づくりは丼勘定でも何とかなるもんですが、困ったことに、 テンパリングだけはこれが通用しないんです。

 テンパリングというのは、カカオバター封じ込め作戦、であると言えます。 これ、カカオバターの融点を利用した作戦なのです。
 まずは、高温でカカオバター・その他もろもろの成分、全部完全に溶けてそれぞれの分子が バラッバラの状態にします。(但し、温度を上げすぎてもチョコの味が悪くなるから、 湯煎の温度が指定してあるよね?50度とかって。)
 時間があったら、試しにそのままチョコを湯煎からはずして室温に放置してみて下さい。 ほーら白っぽい油脂、カカオバターが分離してきたでしょう?はい、ではもう一度湯煎のやり直し。

 完全にバラッバラになったものを、今度はこまめにかき回しながら急激に冷やします。 つやつやねっとりした状態になりますね?カカオバターの封じ込めに成功した証拠です。
 だがしかし!このままでは、堅すぎてコーティングには使えない。仕方がないので、 またしてもだましだまし温度を上げて、溶かします。そして、ここがポイント。 カカオバターの分子のつながりがバラバラになる寸前 (つまりカカオバターが完璧な液体になる直前)で、温度を固定します。この温度が まあだいたい32度前後と言われている訳ですね。室温では溶けず 人間の体温では確実に溶ける温度です。チョコレートの口溶けのよさはここから 来るのだそうです。

 30度より低いと、チョコレートがデロリンとした状態になって、 きれいにお菓子の表面を覆うことが出来ません。かと言って、うっかり 34度を越えようものなら....。深夜苦労してチョコレート作ってひと眠りするでしょ。 翌朝起きたら、もう、悲惨。うわーっ!ブルームしてるーっ!!! もしそれがバレンタイン当日だったりしたら、これは想像するだに恐ろしい。

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その3 テンパリング必勝術

 テンパリングの作業事態は簡単なんですよ、ね。難しいのは、その温度を 一定に保ち続けることです。まあ、慣れればどおってことないんだけど....。 で、ミミズの場合、このようにしています。

(1)
チョコレートの量が少ないと室温に敏感になりますから、チョコをけちらない。 本によっては1kg用意、なんて書いてあるけど、 最低コーティング用に500gは用意したい。

(2)
温度計を過信しない。ガラス棒の温度計は反応が鈍い。従って、チョコレートの 温度だけ測っているとやばい温度になっても気が付かないことがあります。 対策として、温度計を2本用意。1本はチョコレートの中に、もう1本は湯煎用のお湯の 中に突っ込んでおきます。お湯の温度を常に35度に保つようにすると、 上手くいきます。

(3)
お湯の温度を調節するため、沸騰したお湯を別に用意しておく。トリュフを作る場合、 2〜3個コーティングしては、温度をチェックする。ボールに接している部分と 中心の部分では温度が変わってくるから、同じく2〜3個コーティングしては チョコレートをよくかき混ぜる。

(4)
そうそう、手があったかくなりすぎても、トリュフのコーティングはやり難い。 手を冷やせるように、水も用意しておきましょう。

(5)
テンパリングは何度でも出来ます。一瞬でも温度が33度を越えてしまったら、 面倒がらずにやり直しましょう。その方が無難というものです。

(6)
そう言うわけでチョコレート作りは1日仕事です。ミミズの場合、 昼間は家族に邪魔にされるので夜、作業をするのですが、そーすると 3夜仕事くらいになりますね....(苦笑)。あせりは禁物、時間をたっぷりとって、 計画的に作りましょう。バレンタインのために始めてトライする人は、1月中に 一度練習しておくことをお薦めします。

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その4 テンパリングを回避するには?

 味よりも見栄えを優先するなら、洋生チョコ(別名コーティングチョコ)を使います。 色々なメーカーから出てます。共立食品とか、クラウンのOh!CAKEのシリーズ、 ホームケーキなど。製菓材料の売場の店員さんに聞いてみましょう。 ハニーやサンリオも、バレンタインの時期には色々なフレーバーのものを出します。

 コーティングをせずに、ガナッシュをまるめて直接ココアや粉砂糖を まぶす手もあります。但し、この場合、ガナッシュが乾燥しやすいので2日くらいで 食べきるようにします。コーティングすると、乾燥を防ぐ上にガナッシュの香りも 飛びにくくなるので1週間〜10日は日持ちするようになるのです。

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ほんとのワンポイントアドバイス

以下、ミミズの経験から知っている限りのことをアトランダムに。

・チョコレートは水気が混じるともろもろに固まってしまう。そうなったら手遅れ。 コーティングする時に味をマイルドにしたいと思っても、決して生クリームや牛乳を 混ぜてはいけない。ホワイトチョコレートを混ぜましょう。

・レシピにカカオマスと書いてあるからと言って、目の色変えてカカオマスを探すことは ありません。焼き菓子に使うならビターチョコレートを使って砂糖を控えめにすればOK。 チョコレートに更にカカオマスを加える、と書いてあるのは、苦みを増したいからです。 そこまでしなくてもいいや、と思ったら、省略して大丈夫。

トリュフなどに使う洋酒はレシピ通りでなくても、大概のものが合う。お父さんの ブランデーやウィスキーをくすねちゃえばそれでOK! ワインなんかも結構いける。

オレンジキュラソーコアントローグランマニエ。全部香りはオレンジなので、それぞれ代用になります。

ブラウンシュガーは手に入り難いし高い。スーパーでも買える三温糖で代用可。 ただし黒糖だとこくがありすぎて別物になってしまう。

ジャンドゥーヤ。用語辞典ではああ書きましたが、 実はそうゆう名の材料を売っているのをまだ見たことがない....。 ナッツ味のチョコレートを作るのなら、無糖のピーナッツバター(スキッピーのやつとか) を少量のラム酒で溶きのばしてガナッシュに 加えると良いでしょう。

・余ったチョコレートの処理法
(1)一番簡単なのは、牛乳で溶かしてホットチョコレート。
(2)チョコレートバーを作る。ビスケット・コーンフレーク・スポンジケーキなどを 細かく砕いて、チョコレート1に対し2〜4くらいの量混ぜてよくからめ、板状に 固める。固まりきらないうちに棒状に切り分ける。洋酒につけたドライフルーツや ナッツを混ぜるとさらにおいしい。
(3)改めてガナッシュクリームを作り、 スポンジケーキやパンに塗って食べる。カスタードクリームに混ぜるのも美味しい。
(4)そのほか、チョコクッキーとかブラウニーとか、 チョコレートを使ったお菓子はいくらでもあるから、慌てて使わず、冷やし固めて密閉して保存しておく。 ほとぼりの冷めた頃に、手作りお菓子に再挑戦!

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