みんがらばあ!

乱読痛勤日記2001


2001年12月31日
折原一「暗闇の教室」(ハヤカワ文庫)読了。
「百物語の夜」と「悪夢、ふたたび」の2部構成。
「百物語の夜」では、廃校になった中学校の校舎で中学生4人が百物語を始めるのだが、作中の現実と虚構(百物語)がないまぜになり、また、現実とも虚構ともとれる元校長の特別講議が挿入されて、あたかも暗闇の迷路に迷い込んだような不安を抱きながらラストを迎える。
「悪夢、ふたたび」は、それから20年後の話。復讐者(=犯人)が登場し、再び廃校に集まった事件の当事者たちを殺害していく。果たして犯人は誰で、復讐の動機は何なのか。
炸裂する折原マジック!意外な犯人ではあるが、ちゃんと「百物語の夜」の最初の方から登場している人物である。このあたり、本格ミステリの基本を押さえていらっしゃる。さすがだ。

2001年12月27日
大阪出張に向かう車中にて霧舎巧「マリオネット園(ランド)《あかずの扉》研究会 首吊塔へ」(講談社ノベルス)読了。
なんでこんな暮れの押し詰まった時期、御用納めが出張なんだか……ブツブツ……なんて独り言はこのくらいにして。
例によってガチガチ(?)の本格ミステリである。面白かった。こういうシリーズを楽しむ場合、「どうしてこいつらはこう頻繁に殺人事件に巻き込まれるんだ」などと考えてはいけない。これはお約束だからである。ただ、記録者がミステリマニアという設定はわかるが、他のミステリを引き合いにだしたお遊びをここまで執拗に登場人物にさせてよいものかどうか。読者層を狭めることになりはしないかと心配してしまう。
また、後で気づいたのだが、扉の作者名が露舎巧になっている。これは意図的なものか単なる間違いか?本文を読む限り恐らく意図的な遊びだと思うのだが……。

2001年8月13日
芦辺拓「赤死病の館の殺人」(カッパ・ノベルス)読了。
表題作他3つの中短編からなる素人探偵・森江春策モノ。個人的には前作「和時計の館の殺人」の方が好みだが、こちらの作品群にも古き良き時代の本格ミステリへのこだわりが見えてよい。また、今回の作品群には、権力とそれに追従する者共への作者の厳しい視線が感じられる。

2001年8月3日
河合秀郎「日本戦史 戦国編 死闘!七大決戦」(学研M文庫)読了。
「姉川合戦」「山崎合戦」「島津の九州統一戦」「小牧・長久手合戦」「摺上原合戦」「小田原合戦」「大阪の陣」を、史料と著者の主観により、通説と異なる視点で描き出している。おもしろかった。

2001年7月24日
筒井康隆「敵」(新潮文庫)読了。
なんとも複雑な思いである。主人公は矍鑠とした75歳の老人、のはずなのだが……。本当の「敵」は「老い」そのものなのか。

2001年7月5日
神一行「『お伽草子』謎解き紀行」(学研M文庫)読了。
お伽草子の原型となる伝説に秘められた史実を追い求めた結果浮かび上がったのは、大和朝廷以前の近畿古代王国の存在だった!

2001年6月28日
谺健二「恋霊館事件」(カッパ・ノベルス)読了。
震災後数年間の神戸を舞台にした連作推理小説。謎解きを主眼とした話でありながら、避難所やテント、仮説住宅での生活、被災者とボランティアとの交流が活き活きと描かれている。

2001年6月25日
明石散人「二人の天魔王『信長』の真実」(講談社文庫)読了。
目からウロコが落ちる思いである。史料を比較検証することで、現在通説となっている偉大な織田信長像は見事に崩壊する。また、信長が英雄視されるようになったのが第2次大戦後のことだとは、私にも初耳だった。一方で「クジで選ばれた将軍」と軽視されている足利6代将軍義教こそ、信長が憧れ、秀吉、家康が天下統一の手本とした偉大な武将だったという事実も衝撃的である。

2001年6月20日
藤木稟「陰陽師 鬼一法眼 参之巻」(カッパ・ノベルス)読了。
舞台は鎌倉時代初期。安倍泰俊によって鎌倉に遣わされた巷の陰陽師の頭、鬼一法眼とその妻達は、源頼朝と鎌倉幕府に恨みをいだく後白河天狗(死後の後白河法皇)や牛若天狗(死後の源義経)の復讐劇に巻き込まれる。そこへ生きた人間たちの思惑も絡まって……。なかなか面白い。

2001年6月14日
播磨の山奥からの帰途、池宮彰一郎「島津奔る」(新潮文庫)読了。
メチャメチャ面白かった。過去を描きながら現代人の生きざまを問うている、まさに時代小説である。秀吉晩年の朝鮮出兵の本当の理由を「天下の秘事」とし、近代日本の大陸侵攻と重ね合わせ、主人公島津義弘の口から「不況脱出のための領土拡大」の愚を語らせているあたりも良い。

2001年6月9日
黒騎士デコース登場!なんと凛々しい指揮ぶりか。やっぱりただの狂乱騎士じゃなかったのね。しっかし、ミースとアウクソーにこんな秘密があったとは。じゃあマキシを生んだのは一体誰?

2001年6月6日
出張先へ向かう新幹線車中にて横溝正史「トランプ台上の首」(角川ホラー文庫)読了。
表題作の他「貸しボート13号」収録。共に過去に読んだことのある作品だが、懐かしさのあまり手を出してしまった。前者は生首、後者はもっと無惨で不可思議な状態の死体(詳細に書くと長くなってしまう)が発見されるところから始まる金田一耕助モノの中篇。夏向き(?)のミステリ。

2001年5月31日
山田風太郎「甲賀忍法帖」(講談社文庫)読了。
何たる奇想!個性的、という表現があまりに陳腐に聞こえるほど奇っ怪な忍者、「三すくみ」や「五行相克」よりも複雑怪奇な強弱関係の忍法合戦、これらが織り成す予測のつかないストーリー展開、すばらしい!忍者の戦いは非情。当然、凄惨かつ陰惨な殺し合いが中心になるのだが、主人公ふたりの純粋さ、さわやかさにも救われているのか、「先を読みたい」気にさせられる。忍法帖シリーズ、ハマってしまいそうだ。

2001年5月23日
森博嗣「恋恋蓮歩の演習」(講談社ノベルス)読了。
またまた快く騙された。一見、事件はなかなか起こらないようだが、読者にとっては第1章から既に事件は始まっているのでご注意を。でも今回の作品は、読む人によっては「ズルい」と感じるかも。作者はプロローグで煩いほど読者に注意を促すとともに「ズルい」と言われないよう予防線を張っているのだが、多面的な(?)読み方のできない人には最後まで納得できないのでは?要するに「○○と○○に関する○○○○○は、○○が○○にした○を、○○としての○○が○○から聞いて、○の○に使っている」という解釈ができないと。

2001年5月16日
板東眞砂子「葛橋」(角川文庫)読了。
表題作含む中篇3本収録。いずれも以前読んだ「狗神」ほどではないという感じ。この人は長篇の方が得意なのかも。

2001年5月10日
な、なんとカイエンがアウクソーを捨てた!逃がすことにした!その姿に涙するムグミカは、彼の死を予知したのか?純血の騎士、というより超帝國の騎士そのものである最強の騎士、剣聖カイエン。超帝國の末裔たるアトール聖導王朝のために命を捨てるのか?数の上で圧倒的に不利な戦いの中、ファティマ抜きで光明を見い出すことができるのか?待て、次号!

2001年5月9日
津本陽「真田忍侠記」(講談社文庫)読了。
真田昌幸・幸村父子とその配下の猿飛佐助、霧隠才蔵の活躍を描いている。最後の「夏の陣」は圧巻。ただ、同様に真田父子と配下の忍者の活躍を描いた池波正太郎「真田太平記」とどちらが好きかと問われれば、私は「真田太平記」と答えるだろう。単に「歴史小説」より「時代小説」が好きというだけかもしれないが。

2001年1月24日
瀬名秀明「BRAIN VALLEY」(角川文庫)読了。
第19回日本SF大賞受賞作。最初は難解な専門用語の羅列に頭が痛かったが、ストーリーの展開とともに徐々に慣れていった。事件を通して主人公が到達した「神の正体」は驚愕モノ。それが正しいかどうかは別として、「人間の『心』はいったいどこにあるのか」、改めて考えてみたくなると同時に、それを考えたくもないと思ってしまう作品。おもしろかった。

2001年1月6日
黒田研二「ペルソナ探偵」(講談社ノベルス)読了。
星の名前をペンネームとする登場人物たち。お互いの顔も素性もわからない中、ある事件が……。1冊で5度おいしい(?)、叙述ミステリー。

2001年1月5日
まだ年が明けたばかりだというのに、朝の電車はいつものラッシュ。今年もまたこの調子か。
昨日はガラガラで快適だったのに……。

2001年1月1日
荒俣宏「夢々 陰陽師鬼談」(角川書店)読了。
陰陽師安倍晴明に関連する話が御伽草子風に書き連ねられている。ここに登場する晴明は、式神を操る大陰陽師である一方、小心でドジな俗物でもある。スーパーマンでない晴明を求めている方にお勧めする。


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最終更新日:2002年 1月 3日(v1.00)