日記 |
2004.11/22 |
040901(水) 今回の旅で、台風の悪影響をもろに受けたのが、この日の起床時間。 当初の予定だと、チェックアウトぎりぎりまで眠っているつもりだった。のに。 電車の関係で、5時起きになってしまったのだから、まったく台風、許すまじ。 だらだらと準備をして、宿を出たのが5:30。タクシーを拾って、札幌駅へ。 歩きだと厳しいことがわかったし、なにより、電車に乗り遅れると厳しい。 地下鉄があれば最高だったのに、始発が6時台。札幌の人はのんびりしすぎだって。 駅前のコンビニで、簡単な朝食を買って、予定していた列車に乗車。 2両編成の気動車は、それなりの乗車率。大半が観光客っぽい。自転車屋の人もいる。 途中、主に、高校生を拾ったり捨てたりしながらの、3時間ちょっと。 耐えられるかどうか不安だったけれど、これが、特に苦痛も感じなかったのがすごい。 北海道上陸2日目で、北海道らしい土地の広がりを感じられたからかもしれない。 それにしても、こっちの建物は、線路に平行に並んでいるのが楽しい。A列車で行こう4みたいだ。 終点の旭川は、発展していそうな雰囲気。 下りてみたかったけれど、乗り換え時間が15分だったのであきらめる。 なにせ、次の列車が発車するホームは、200mくらい離れた場所に、ぽつんとあるわけで。 駅の改良工事中みたいだけど、何より先に、これを改良するべきだと思った。驚いたよ。 30分ほどお世話になる気動車は、またもや2両編成。 ただ、今度は地元の人がほとんど。同じ乗り継ぎをした人は見かけなかった。 晴れたり曇ったりの空のもと、ちんたらちんたらと走っていく。のんびり感が素敵だった。 あっという間に着いてしまったのが、丘の町、という噂の美瑛。 なんでも景色が綺麗らしいので、ちょっくら見てみようかな、という気分でやってきた。 駅前は整備されていて、でも、観光地らしい、けばさといやらしさが、そんなにない。 商売っ気が薄いからだろう。生活地の延長に観光地があるようで。こういう町は好き。 駅横にある貸自転車屋で、マウンテンバイクを借りて、荷物も預かってもらう。 その際に、地図をくれて、坂道を教えてくれるのが嬉しい。手ぶらなボクには大助かり。 つか、急坂ばかりなんですが。寝不足気味のこの体調で大丈夫なのかなぁ、と、不安にもなる。 なにはともあれ、出発してみないと話にならないわけで、駅前を出発。 最初は快適だったものの、すぐに難所にぶつかる。北方面の丘に登るための、長い急坂。 なにせ、ここが丘の町の入り口。これを克服しないことには、景色だ観光だ、にはならない。 嫌になるほど続く坂道、とは、オザケンの歌だけど、まさにそんな感じ。息、切れまくり。 登り終えた時には、帰ってもいいんじゃないかなぁ、と、そんな気分にもなった。 でも、ケンとメリーのポプラとやらに到着してみれば、登ってよかった、と思えた。 そのポプラはどうでもよくて、その先に広がる景色の広いこと。とても綺麗だった。 北瑛小学校、セブンスターの木、親子の木、波うつ丘、マイルドセブンの木、北西の丘公園。 木は、あくまでも目印であって、そこまでの移動中の景色を楽しむ観光地っぽい。 もちろん、丘が連なる土地だから、途中途中は坂で、これまたけっこう厳しいのも多いけれども。 借り自転車の女性もけっこう見かけたけれど、やっぱり苦しそうだった。そらそうだ。 たぶん、この土地にちょうどいいのは、電動自転車。貸し出しやったらうけそう。 さんざんと、広大で雄大で綺麗な景色を眺めて、駅前に戻ってきたのは昼過ぎ。 ふと駐車場を見ると、森本レオと高橋英樹がいた。ドラマの撮影だったらしい。わお。 ふたりともカッコよかった。特に、森本レオの笑顔と声の渋さに感激。やっぱり生が最高だわ。 お昼ごはんは、森の入り口にあった、スーパーで買ったおいなりさん。 案外と食べる場所がない土地で、食べたいものもなかったので、特に問題なし。 駅前のベンチで食べている最中に、大雨にたたられたのは、まったく大問題だけど。 観光案内所のいすを借りて、手紙を書く。自転車で、郵便局に行く。 駅に戻って自転車を返してから、時刻表を調べると、富良野まで出られることが判明。 来た道をただなぞるのもつまらない。そんなわけで、遠回りして帰ることにした。 富良野までの列車は、座るには困らないぐらいの乗車率。 高校生が動く時間でもないから、車内は静かで、えらくのんびり。 ラベンダー畑っぽいものが、車窓からぽつぽつと見えたけれど、実際にそうなのかどうなのかはわからない。 ただ、富良野駅に到着する直前に見えた虹は、間違いなく本物。これまた綺麗だった。 富良野といえば北の国からで、北の国からといえば富良野。 聞いた話だと、駅には常にさだまさしが流れていたらしいけれど、それはなし。 同時に聞いていたとおり、なにもない町だったので、これまた驚く。というか、そんなもんだ。 北の国から関連の名所は、自動車でないと苦しい。唯一、ボクが見られたのは、富良野駅のホームくらい。 正直、旭川に出るべきだったかも、と後悔した。先人の話は、きちんと聞くべきだわ。 旭川に、という後悔は、ここから乗る列車が遅れている、との放送で増大した。 富良野駅に到着時点で15分の遅延。滝川で、予定の電車に乗り換えられるかどうか微妙だった。 体育祭だったらしい高校生たちと、渓谷の景色の綺麗な根室本線を駆け抜ける。 運転手さんも必死らしく、それなりに飛ばしてくれる。途中、ボクは居眠りをこく。 起きると滝川間近で、時計を見ると、十分に乗り換えられる時間だった。 観光客のほとんどは、まったく同じ乗り継ぎ。みんな、札幌へ向かうらしい。 次の電車も、高校生電車。いちゃいちゃする子を横目に、ぼんやり外を見ていた。 この景色を次に見られるのは、いつのことやら。もしかしたら、一生、ないのかも。 30才前後で、これだけの時間を確保できるのは、こういう状態でないと無理なわけで。 そういう意味だと、贅沢させてもらっているなぁ、と、感謝した。 岩見沢からの電車は、通学よりも通勤のお客さんばかり。ますます、そう思った。 札幌で、快速電車に乗り換え。 ホームの指示された所に並んでいると、後ろに、次々と人が列を作っていく。 でも、なぜか1列。2列でお願いしますと、どこかに書いてあったのに。不思議不思議。 ホームがめちゃくちゃ広いわけでもないから、危ないと思うんだけど。そういう土地なのかも。 小樽行の快速は、そんなわけで、ちょっと混雑気味。 それでも、一駅ごとに人は減り、小樽直前にもなれば、立ち席の人はいなくなった。 外は真っ暗で、車窓を眺めることはできなかったけれど、小樽築港の建物は見えた。 すんげーでかいサティらしくて、めちゃくちゃそそられたけれど、今回は立ち寄れず。 西武警察やら吉本やら観覧車やら、あれこれあるらしい。次の楽しみにしておく。あれば、だけど。 札幌から30分ちょっとで、小樽に到着。 なかなか綺麗な駅で、駅前通りも綺麗で、デートスポット的港町な雰囲気ぷんぷん。 今日の宿、ニューグリーンホテルにひとまずチェックインしてから、町に繰り出してみる。 寿司屋通りから小樽運河に出てみたけれど、活気があって、いるだけでわくわくしてくる。 路地裏のスナックから聞こえてくる、酔っぱらいの歌声も、楽しそうでいいなぁ、と思った。 夕ご飯は、運河とは反対側に歩いた所にある、とっぴー、という回転ずしの店。 北海道で展開しているチェーン店らしくて、ネットでの評判は悪くなかった。 食べてみると、ネタがちょっと大きいかな、という程度で、特筆すべきものはなし。 個人的に、俺は、連日連夜に食べるほど、おすしが好きではない、ということがわかった。 そのまま、運河の方に流れていくと、ラーメン博物館のようなものがあった。 赤レンガの倉庫を利用した博物館には、東京でおなじみの、大勝軒があってびっくり。 小樽だと、どういう味になっているのか食べてみたかったけれど、終了とのこと。残念。 運河を挟んで、向こうに赤レンガ倉庫。手前が遊歩道。 そこを照らすのは、柔らかい明かりで、港のデートスポット好きにはたまならい状況。 ひとりで歩いてみたけれど、意中の人と歩いてなんぼな所だとは思う。夜は特にね。 夜景を撮っている人が多かったのが、他の、例えば門司港あたりとは違うところ。 観光用に整備された大通りの坂を上がり、今度は、廃線跡を歩いてみる。 線路はそのままに、遊歩道に整備されているこの手宮線跡。夜、ふらつくにはちょうどいい。 ていうか、小樽の夜をひとりで歩くのは、なんだか反則なんじゃないかと思えてくるほど。 ちょっと切なくなりすぎたので、今夜のお風呂を目指すことに。 寿司屋通りにある、滝の湯は、全体的にゆったりした作りの温泉銭湯。 脱衣所も洗い場も広めで、照明も明るくて、入る前から気持ちがいい。 地下にある温泉浴槽は、ちょっとぬるめで、無味無色。たまたま誰もいないのも嬉しい。 じっくりたっぷりとお湯につかって、宿に戻るころには、それなりの時間に。 昨日と同じく、BSでアレをやっていたので、ついうっかり、最後まで見てしまう。 テレビの中では、今日で旅はおしまい。ボクの方も、もはや終盤戦。悲しくもなる。 残された日数を、精一杯、楽しもうと思った。 札幌*0605(921D)旭川 0914 旭川*0929(727D)美瑛 1002 美瑛 1415(731D)富良野 1451 富良野 1545(2434D)滝川 1652 滝川 1708(2270M)岩見沢 1750 岩見沢*1808(282M)札幌 1857 札幌 1914(3951M/エアポート185)小樽 1948 040902(木) 駅前の三角市場に寄り道すると、お兄ちゃんお姉ちゃんから声をかけられる。 当然ながら冷やかしなので、見るだけ。高いのか安いのか、新鮮なのかどうなのか、よくわからん。 そんなこんなで、小樽駅に到着したのは7時45分。 札幌方面へと向かう通勤客や、女子高生がせわしなく改札を抜けていく。 開いたばかりの、駅舎内のロッテリアで朝食を済ませてから、ボクも改札をくぐった。 せわしない人たちと反対側に向かう列車は、ちょっと驚いた1両編成。 多少の立ち席が出るぐらいの人の乗車率。ハイキングらしい老人が目立っている。 でも、その老人たちも、隣の駅で下りてしまう。こうなると、1両で間に合う感じだ。 今日の行程は、まず、小樽から長万部へ。 昨日の、札幌から旭川へと同じ、3時間ちょっとの移動時間となる。 乗っていて、はっきりとわかるのが、とにかく厳しい山越えをしている、ということ。 気動車のエンジンが、うおんうおんうなっている。蒸気機関車だったら、さぞかし大変だっただろう。 札幌と函館を結ぶ特急が、太平洋沿いを走っているのは賢明なように思えた。 山越えなので、景色も、山やら森やらが中心になる。 座った左側は、どうにもこうにも木々ばかりで、おもしろくなかった。 右側は、なかなか綺麗な景色っぽかったので、ちょっと失敗したかもしれない。 倶知安だ、ニセコだ昆布だと、ちょっと知っている地名を抜けたら、すぐに長万部。 北海道の3時間連続乗車は、本州のとは違って、それほど疲れないし飽きない。不思議だわ。 長万部では、函館行の列車へ乗り換えになる。発車は、1時間45分後。 とりあえず、ということで、待合室に荷物を放置して、商店街を歩いてみる。 うっすらと活気があって、町が生きている感じが伝わってくる。こういう町は好き。 しばらく真っすぐ歩くと、左手に、温泉近道、との看板が。もちろん、素直に従う。 その先にある、線路を渡る高架橋はさびついて、今にも崩れ落ちそうで、ちょっと怖い。 けど、そこから函館方面を眺めると、架線がないせいか、長万部の駅がすごくよく見渡せる。 広い構内もそうだし、写真の一枚でも撮りたくなるほどに、ゆったりとした景色だった。 その橋を下りて、ぶつかった通りを右手に歩くと、長万部観光ホテルが現れた。 ホテルの日帰り入浴っぽく思えるけれど、実は、ここが公衆浴場も兼ねているらしい。 実際に番台があって、おばちゃんが座っていた。ホテルなのに、なんとなくおもしろい。 浴室に入って、まず目立つのが、天井からの打たせ湯。 当然のように打たれて見ると、痛いんじゃなくて、熱い。とにかく熱い。 嫌な予感がしたので、湯舟のお湯をすくって、ほんのちょろっと身体にかけてみる。 これが、なんというか、熱くて熱くて熱くて死ぬぜ、ってくらいの熱さ。泣きそう。 お湯は、薄い黄色の塩味。お肌にもよさそうな気がするけれど、入れやしない。 それとも俺が熱く感じてるだけなの? と見回したところで、客はボクだけ。判別できん。 掛け湯して掛け湯して掛け湯して掛け湯して掛け湯して掛け湯して、ようやく1分だけつかる。 お湯の中にいると、指先がしびれてくるぐらいだから、やっぱり、熱かったはず。47度ぐらい? 早めに切り上げて、脱衣所で身体を冷やしてみたものの、なかなか汗が引いてくれない。 こりゃ、冬場だったら、さぞかし気持ちのいいお風呂なんだろうなぁ、と思った。 火照ったまま、真夏みたいな長万部の町を歩く。 商工会議所のベンチで手紙を書いて、横の郵便局で投函する。 風景印でお願いします、と窓口に出したら、必ずお届けします、と言われた。なんか嬉しい。 昼ごはんは、駅弁のそば弁当にするつもりだったけれど、販売元のそば屋さんが営業中。 そんなにおいしいそばではなかったけれど、お店の雰囲気がよかったので、文句はない。 というか、長万部の町って、なんか好きだ。海も近いし、ぜひともうろうろしてみたい。 13時ぴったりに発車する列車も、当然のように1両編成。ワンマンカー。 小樽からいっしょだった顔ぶれと、新顔と。客の9割が、安いきっぷ組っぽい。 そりゃ、普通列車の本数も少ないわけだ。きっぷの期間が終わると、お客さんががくんと減るわけだし。 さっきの列車と同じ、左側の席を確保したら、今度はいっぱい海が見えた。 長万部といえばかにらしく、並走している国道に、かに関係のドライブインが目立つ。 名物の駅弁も、実際には、そばではなくかに弁当らしい。結局、食べてないけれど。 駅弁で有名なのが、森のいかめし。 到着してみると、ちょっと寂れた感じのする、でも、とても絵になる駅だった。 海がホームから見えるし、潮風に錆びた鉄柱なんかが、海辺の哀愁を漂わせていた。 絵心があれば、さくさく描いていたことだろう。というか、函館本線は楽しい。 函館まであと少し、という地点、流山温泉という駅で途中下車。 ホームの目の前に、上越新幹線の車両が止まっているので、すごく違和感がある。 バブルの頃に、JRが作った施設らしいけれど、弾けた時点で規模縮小をしたそうな。 ホームから3分も歩くと到着するのが、駅名にもなっている、流山温泉。 JR北海道の直営なのか、入場料を払うと、きっぷ型の、記念の入場券をもらえる。 それはいいとして、800円はちょっと高い。今までが安かったのもあるけれど。 施設は新しくて、流れる音楽がジャズ。こじゃれたラーメン屋の雰囲気。 茶緑っぽいお湯はぬるめなんだけど、内湯は、明らかにぬるすぎる。お湯、足してないっぽい。 露天はちょうどいいぐらいなんだけど、なんか、疑ってしまうというか、なんというか。 本当に掛け流しなの、って思った。客がいないから、こういうことをしているのだろうけれど。 値段ほどの価値はないな、と思った。高ければいいわけではない。 あまった時間は、誰もいないキャンプ場の石の上で、だらだらとだらけまくる。 人生を考えるほど頭はよくないけれど、それでも、ちょっとは思うところがありもする。 こういう時間を持てたことが幸せであることは、間違いないはず。 函館へ向かう列車は、やっぱりがらがらだった。 右側に座ると、大沼に夕日が綺麗に映える。自然って素敵。 駅に止まるたびに、お客さんが増えていく。反対方向の列車には、高校生がわんさか。 使っていない運転席に、身体を丸めて寝ている女子高生までいた。猫みたい。 到着した終点は、すごく綺麗な駅だった。 駅前のロータリーが整備中なのは残念だったけれど、できあがったら便利だろう。 バス停の位置をを確認してから、宿に荷物を預けに行く。駅から7分の、松坂屋旅館。 この旅、唯一の旅館というか、お布団の日。ばりばり和室で、ちょっと戸惑う。 冷房がなかったのは、いかにも北海道らしかった。正直、あると嬉しかったのに。 すぐに宿を出発して、函館駅前から市電で移動する。 時刻表を見てみると、そんなに遅くまでは運転していないみたい。 湯の川温泉まで行く時間はなさそうだった。それで、今夜の予定もおおまかに決まった。 まずは腹ごなし。函館駅から、それほど離れていない千歳町という停留所に向かう。 降りる時に、バス共通の一日乗車券を買うか買わないかで、ものすごく悩んだ。 悩んだ理由は、このあとに乗るバスに使えるかどうか、わからなかったから。 市電の運転手さんに聞くと、乗れないと思う、らしい。それならばと、市電の1日券を買う。 600円で乗り放題。初乗りが200円なので、3回乗れば、元が取れる計算。大丈夫だろう。 千歳町から、ひたすら南にくだり、海が見えてきたら、街道に沿って東へ。 停留所から15分も歩くと、ようやくと見えてきたのが函太郎。函館一の回転寿司らしいお店。 北海道らしいのかどうかはわからないけれど、それなりに広い店内に、お客さんがいっぱい。 当然、待ち客も多い。すぐに座席に案内されたのは、ひとりだから。こういう時は、身軽でいい。 ぐるぐると回っているネタを見ている限りは、札幌と小樽よりも小振りに思える でも、食べてみると、なにか違う。普通に回っているネタが、十分に美味しく感じる。 三日連続の寿司だというのに、むしゃむしゃ食べられてしまう。さすがは函館で一番。 特に美味しかったのは、えんがわ。函館に来たら、また是非とも寄りたいお店だ。 函太郎を出て時計を見ると、あまり時間がないことに気がつく。 食後だというのに、早歩きで停留所へ。とにかく北上を続けて、到着したのは堀川町。 ただ、微妙に電車が過ぎ去ったあとらしい。時刻表を確認すると、次まで5分以上ある。 たぶん間に合うはずだけれども、なにせ、勝手知らない土地。不安にどきどきしてしまう。 定時にやってきた市電に乗り込み、あとはただ祈るだけ。 そのおかげなのか、函館駅前には、多少の余裕をもっての到着。歩いてバス停に行けた。 これから乗るのは函館山行のバス。つまりは、函館の夜景を観光しちゃおうかな、と。 あまりにもべたべたな観光だけれども、どんなものか、見ておきたかったので。 お客さんは8人くらい。女性の車掌さんがついて、簡単な案内までしてくれる。 これで、片道360円。ロープウェイだと、往復で1600円らしいので、明らかにお買い得。 ただ、このバス。1000円の、バス市電共通1日券で乗れたらしい。市電の運ちゃんにだまされちゃった。 というか、聞き方が悪かったか、知らなかったんだろうな。どちらにしても、ちょっと痛い。 ランプ灯の明かりが、こじゃれた雰囲気のベイエリアを抜けて、急坂を横目に、いよいよ登頂。 途中、車内の照明を消してくれるのは嬉しい。木々のすき間から、夜景がちらちらと見えてくる。 そのたびに、お客さんが歓声をあげる。越後湯沢直前のトンネルを抜けた時を思い出す。 にしても、この山道。かなりうねりが効いているのに、事無しげに走る運ちゃんが素晴らしい。 駅を出て、約30分で山頂に到着。 微妙にもやっていたけれど、噂の夜景は、きちんと見ることができた。 派手な看板が少なくて、色合いを調整しているのか、評判どおりに綺麗だった。 山の向こうに見える、いか釣り漁船の明かりもまた、神秘的で素敵だった。 女子は、こういうの大好きだろうなぁ。ボクは、姥捨の夜景の方が好きかな。 理由は、当然なんだけれども、人がとにかく多すぎること。 函館の夜といえば函館山でしょ、ってノリなんだろう。ものすごく観光地すぎる。 おまけに、身軽でいいはずのひとり身が、とてつもなく寂しいものに思えてくるわけで。 無人駅から眺める姥捨の方が、自分には合っている気がしました。とさ。 つか、お願いですから、ボクの目の前でうっとりし合わないで下さい。 15分も眺めれば満足で、バス停までの道すがら、おみやげ屋をのぞいてみる。 すると、170円切手を貼れば、郵便物として送れる、するめが売っていた。 漁火は明るかったし、いかは有名かもしれないけれど、なぜ山で販売中なのかしら? そんな疑問を解決すべく、とりあえず、買っておく。明日、送ることにする。 帰りのバスは、最終ということもあって、立ち席が出るほどの盛況ぶり。 もちろん、最後の最後まで車内灯は消していた。サービス精神旺盛だわね。 駅まで戻って、宿におみやげを置いて、もう一度、夜の町に繰り出してみる。 市電に乗って、バスで来た道を戻る感じで、末広町という停留所で下車した。 さっきも通ったベイエリア。ここを見ないと、函館観光は終わらない。 夜の、港を整備したデートスポット好きなボクが、見逃せるわけがないわけで。 やっぱりここも、いい雰囲気。小樽よりも人が少ないのが、特になりより最高にいい。 こういう所を、ふたりで歩いてみたいわけです。こういう所で、初めて、手をつないでみたいです。 やっぱ青春ってそういうものだと思うわけです。それ以上の接触は、じらすべきです。 でも、野犬がいたのには驚いた。怖くて怖くて涙が出てきそうになった。恐ろしい。 十文字という、ちょっとこわもてな停留所から最終の市電に乗って、駅前へ。 宿から近かった、繁華街らしい所をちょこっと歩いて、今夜の日程は、ほぼ終了。 暴走族のぱらりらりが聞こえたけれど、すぐに眠ってしまった。疲れているのね。 小樽*0807(2932D)長万部 1113 長万部*1300(2844D)流山温泉 1514 流山温泉 1702(5884D)函館 1749 函館駅*2005(函館バス/\360)函館山 2035 函館山*2100(函館バス/\360)函館駅 2130 040903(金) 函館の朝は早い。理由はもちろん、駅のすぐ横にある朝市。 平凡な観光客として、ここに行かないわけにはいかないし、行く理由もあった。 そう、かにを買わねばならないのである。弱肉強食、ぼったくりだらけらしい朝市で、である。 6時30分に市場に入ってみると、早くも賑わっている。 ちょっと歩けば、すぐに客引きがよってくる。すすきのかと思うような積極性で。 とりあえず一周して、とりあえず確認して、まずは、朝ごはんにすることにした。 朝市の中にある、どんぶり横丁の、アキというお店を選択。 人なつっこいおばちゃんがきりもりしていて、頼んだのは海鮮丼。1575円。 あれこれとおまけをつけてくれたので、朝っぱらからしっかりと食べられた。 北海道に来て、初めて、会話らしい会話をできたのも嬉しかった。つか、俺、ダメだな。 お腹もいっぱいになり、頭もちょっとは動いてきたところで、大仕事に手をつける。 とはいっても、今はネットの時代。調べれば、よさそうなお店はすぐに出てくる。 アキでもお勧めと言われた、本間商店。ここで、仕事を済ませることにした。 店長さんから説明を受けて、自分でも納得がいったので、契約成立。 俺のおみやげ史上、最高額となるかにを、郵送してもらうことになった。 なんというか、ここの店長さんは、きちんとした商売人だと思った。いい物を、適正価格で売る人。 そんなこんなで、朝の宿題は終了。ここからは、自由時間。 宿に戻って準備をして、今日も市電のお世話になる。函館駅前から乗車する。 ちょうど女子高生電車な時間で、市電にひかれても悔いはないほどに、幸せな気分になる。 この子たちは十文字で降りてしまいがっかり。ボクは、終点の谷地頭まで乗らないといけない。 函館山のふもとにある、静かな町を10分も行くと、谷地頭温泉が見えてくる。 というか、市営なのに、市営だからか、どっちなのかわからないけれど、とにかくすごい。 今まで見たこともないような、でっかい建物。これで銭湯価格なんだから、わけわからん。 中も、かなり広い。洗い場なんざ、埋まることがないだろ、って思ったほど。これは気持ちいい。 お湯は、明るい茶色っぽい感じで、湯舟によって、お湯の温度が調整してあるみたい。 44度の露天風呂で、だらだらと過ごす。北海道最後の温泉。なんとなく、名残惜しい。 のぼせる前にあがり、脱衣所で涼む。外が暑いこともあって、身体は冷えない。 しばらくしていると、地元のおじちゃんに話しかけられた。ちょっと嬉しいかも。 バイクで来たのかと尋ねられたので、各駅停車でと答えたら、気をつけてな、だって。 出る時に駐車場を見てみると、バイクがたくさん止まっていた。これを見て、バイクだと思ったのかな? 女子高生のいない市電で駅前に戻り、宿へ駆け込む。 気がつくと、チェックアウトぎりぎりの時間。荷物をまとめて、すぐに清算。 宿でゆっくりすることって、ボクには望めないことなのかな、と思った。 近くの郵便局でするめを送ってから、函館駅に、一度、立ち寄る。 荷物を適当にほっぽり出して、とりあえず、みどりの窓口に向かった。 壁の液晶モニターで確認できる限りだと、午後の特急は、指定席にX印がついている。 お昼過ぎの特急は、なぜだかo印。これを参考にすると、昼過ぎのにするべき、という結論になる。 短い列に並んで、まず買ったのは、青森から浅虫温泉までの、乗車券と特急券。 そして、今回の旅で使っている、北海道&東日本パスを見せて、函館と青森の特急券だけを買う。 なにか言われるかも、と、内心はどきどきしていたけれど、言われたのは、ありがとうございました、だった。 今日の懸念材料が、これですべて解決したので、気分は、空のように晴れ晴れ。 列車の発車まで2時間以上あったので、行くつもりのなかった五稜郭に向かった。 市電に揺られて、五稜郭公園前まで。下車してみると、そこにはなぜかダイエーが。 ついうっかり立ち寄ると、2年くらい前に、池袋のパルコで売っていたTシャツが、500円で置いてあった。 流れ流れてここまで来たのか、どうかはわからないけれど、買わないわけにはいかない。 ちょっと、人前で着るにはどうかと思う、コロスのプリントTシャツ。そりゃ売れないよね。 ダイエーから五稜郭タワーまで、ちょっと遠回りをして15分強。 遠回りした途中に、やきとり弁当で有名なハセガワストアを発見して、観光しておいた。 で、五稜郭。タワーに登らないと、当然ながらただの壁。でも、ボクは登らなかった。 なぜなら、お金がもったいなかったから。あとは、修学旅行らしい小学生が多すぎたから。 公園になっているので、ちょこっとだけ進入すると、小学生が写生をしていた。 ものすごく懐かしい気分。そういうことをした記憶があるような、ないような。 奥の方の広場では、幼稚園のお遊技会みたいなことをやっていた。子供だらけだね。 ベンチをひとつ借りて、ここで手紙を書く。毎日ってのは、なかなかに大変だと思った。 文をしたためて、しばらくぼぉっとして、ゆっくりと公園を出た。 市電で、来た道を戻り、新川町で下車。郵便局で、風景印を押してもらって、手紙を投函。 近所にあった中央市場を冷やかすと、今朝、上がったばかりらしいいかが並んでいる。 それがまた、なんだかとても美味しそうに見えた。つか、いかそーめん、食べてなかったな。 駅前に帰ってくると、ちょうどお昼。 食べる物も食べる場所も決まっていたので、朝市の方へと歩いていく。 さすがに活気もなくなっていたけれど、お店は、それなりにやっているみたい。 でも、中には入らずに、その端っこの方にある星龍軒というらーめん屋さんへ。 観光客ではなく、地元の人を相手にしているお店らしく、お客さんも背広の人ばかり。 当然のように頼んだ塩らーめんは、あっさりしていて、すごく美味しかった。大満足。 北海道での最後の食事を終え、駅でちょこっと買い物をする。 とっくに入線していた、白鳥22号に乗り込むと、自由席はなかなかにがらがら。 座席を向かい合わせにして、ひとりで4席、確保できてしまうほど。足を伸ばして快適生活。 車窓から見えるのは、函館湾。昨日の夜に登った、函館山も見える。違っていたら恥ずかしいけれど。 とても短い北海道旅行だったなぁ、と、感慨にふけっていると、あっという間に青函トンネルへ。 4席使って横になったら、いつの間にか眠っていた。起きた時には、本州は、青森へ到着。 ここから、わらわらと高校生が乗ってきたので、席を戻して大人しくする。 運動部の遠征なのか、遠征帰りなのか。これがなかなか賑やかなやつらで困る。 俺は、次の駅で降りるからいいとして、八戸まで付き合う会社員は大変だろうな、と思った。 青森の次の駅は、浅虫温泉、という駅。 もちろん、駅名から推測できるとおり、温泉目当てでの途中下車。 駅から3分のところに、道の駅の温泉、ゆーさ浅虫もあるけれど、そこは遠慮しておく。 どうせなら、掛け流しの温泉がいいわけで、徒歩10分の松の湯を選んでみた。 のはよかったけれど、地図を持たずに、適当な記憶で動き始めたのが失敗だった。 結果的には見つかったものの、逆方向に歩いていたり、路地で迷いかけたり。 青森方向に歩いて、銀行のT字路を左折。東北線のガードを越えて、細い道を右折が正解。 つか、はっきりいって、地元の人専用。地図があってもわかりにくい、路地裏にあるんだもの。 最近、建て直したのか、設備はとても綺麗だった。 ただ、脱衣所も浴室も狭い。でも、それが嫌な狭さではないから不思議。雰囲気は最高。 無色透明のお湯の特徴は、とにかく熱いこと。いかにも公衆浴場、といった感じ。 当然、それほど長くは入っていられず、早々と退散。こういう展開が多いなぁ。 浅虫温泉駅のすぐ近くは太平洋。景色もなかなか綺麗で、ぼんやりと眺める。 さっきまでは、北海道の太平洋を見ていたというのに、なんだか不思議な気分になった。 時間通りにやってきた電車は、当然ながら各駅停車。 ここからは、いつものような旅になる。立ち席だったので、どうせなら、と、先頭車両でかぶりつき。 子供みたいにはしゃぎながら、30分ほどで、次の目的地、乙供に到着した。 ここでもまた、道に迷うという大失態を演じることに。 駅を降りて、八戸方面へ進み、踏切を渡る。その道を真っすぐに進み、T字路を右に。 これで、だいたい10分程度。迷ったおかげで20分くらいかかってしまった。が、とにかく到着。 東北温泉、という立派な名前の温泉は、名前にしてはこじんまりとした温泉施設だった。 中身も、よくある温泉施設という感じで、とりたてて特徴があるわけではなかった。 ただ、熱めのお湯はコーラ色で、塩味がした。お肌がつるりな気もした。 というか、つるつるしているのが、今までの成果なのか、ここの成果なのか、もう判別できない。 たくさん入ればいいってもんではないってことですな。でも、入ってしまうけれども。 夕焼けが山の向こうに消える頃、八戸行の電車が到着。 これまた微妙に混雑していたけれど、三沢でお客さんが入れ替わった。 ほんのわずかな距離を座って移動すれば、終点の八戸に。外は、もう暗い。 ここからは、JRではなく、第三セクターの鉄道にお世話になる。 当然、改札があるかと思ったら、そのまま乗り換えられるようになっていた。 この、11分の乗り換えの間に、めかぶそばを食べておく。 今から、1時間30分の連続乗車。途中、長時間停車もなさそうなので、食べておかないと死ぬ。 大急ぎでかきこんで、大急ぎで電車に飛び乗る。食べるのが遅いと、ホント、困るわ。 目時までは、青い森鉄道という第三セクター。 隣に座っていた、じいちゃんに話しかけられて、ちょっとだけ戸惑う。 八戸で髪を切って、三戸に戻る途中らしいけれど、いかんせん、言葉がわからない。 ばりばりの東北なまりなので、うんうんと、あいまいにうなずくのが精一杯だった。 しかも、泊まっていきなさい、なんて、優しい言葉までかけてもらって、申し訳なくすら思った。 明日は明日の予定があったので、さすがにそれは遠慮した。いい人すぎだわ。 じいちゃんと別れ、目時を発車する頃には、車内もだいぶ、すいてきた。 終点の盛岡まで乗りつぶしたのは、どうにもボクだけっぽい。そんなもんだよね。 その盛岡では、IGRいわて銀河鉄道の改札を抜ける。 5日間、えらくお世話になったきっぷも、とりあえずこれでお別れ。 それがちょっとだけ切なかった。ぼろぼろになっちゃっているのも、また切ない。 今日の宿は、駅から徒歩10分の、パールシティホテル。 部屋の都合で、シングルではなく、ツインのお部屋、とのこと。 もちろん、予約していたから、料金はシングルなんだけど、ベッドがふたつは切ない。 広くていいじゃん、と言われそうだけれど、そういう問題でもないわけで。 いい加減に、持ち歩くのも嫌になった荷物を置いて、夜の盛岡を探索する。 前に、安比に滑りに来た時にもうろうろしているので、まったく知らない町ではない。 その時に食べられなかった、ぴょんぴょん舎の冷麺で、夕食というか、夜食をいただく。 すごく美味しい、というわけではなく、無難に食べられる味。冷麺が好きだから、十分だった。 食事を終えると、繁華街が賑やかになる時間。 商店街の裏側が、まさにそんな感じで、しかも、狭い道に店と人がわんさかとあって。 だから、賑やかさが密集しているような、そんな錯覚さえ受ける。すごく楽しそう。 本場すすきのから輸入したらしいキャバクラなんかもあって、ちょっと笑ってしまう。 これで、おさわりなしだったら、ぱちもんもいいところ。もちろん、確認してこなかったけれど。 繁華街を抜けて、それなりの時間をかけて、マックスバリューに到着。 明日の朝食やらなにやらを購入。遅くまでやっていてくれるのは、ものすごく助かった。 ホテルに戻って眠ったのは、日付が変わる頃。 ゆっくりと眠りたいけれど、眠れないのが貧乏旅行の悲しいところ。 チェックアウトぎりぎりまで眠っているなんて、夢のまた夢だね。 函館*1251(1022M/白鳥22/\1680+\820)浅虫温泉 1502 浅虫温泉 1629(576M)乙供 1704 乙供 1824(578M)八戸 1900 八戸*1911(108M/快速/IGR)盛岡 2047 040904(土) 7時30分にチェックアウト。盛岡駅へ、ちんたらと移動する。 新幹線のきっぷを自動券売機で買うと、計算していたよりも安い。 昨日の、函館と青森間の特急券もそうだったけれど、嬉しい誤算。 というより、なんで間違ってるの? 時刻表もまともに見られないらしい。 キオスクで、お茶とおかしを手に入れて、やってきたこまち号に乗る。 どれくらい混雑しているのかと戦々恐々としていたら、まったくのがらがらっぷり。 窓際を確保して、ちょっとだけ優雅な旅を楽しむ。この旅で、一番、いい座席だったし。 この前は雪まみれだった峠を突き抜けると、田沢湖の駅に到着。 1年半ぶりの駅前は、微妙に変化していた。工事が終われば、綺麗になることだろう。 乳頭温泉行のバスに、待合室にいたほとんどの人たちが乗車した。それでも10人くらい。 田沢湖畔を経由して、バスは山登りを始める。 雪がないと、えらく急に見える田沢湖スキー場を通り過ぎ、バス停以外、なにもない終点で降ろされた。 今日の目的は、冬に来た時に堪能できなかった、乳頭温泉をさんざんと楽しむこと。 まず最初に立ち寄ったのは、バス停からそれなりに近い、蟹場温泉。 前は、時間がなくて、ここの岩風呂しか入れなかったのが、とにかく悔しかった。 今回は、露天、木風呂、岩風呂と、きっちり全部、たっぷりと浸かることに成功した。 最初に入った露天風呂は、あまり面白みはなし。混浴狙いのおっちゃんがうざかったぐらい。 それを気にせず、熟年夫婦が、楽しそうに入っていたのが印象的。森林浴と思えばね。 言葉は悪いが、汚らしい感じの湯の華を楽しめたのは、内風呂の木風呂と岩風呂。 特に、岩風呂の華の湯は、この前といっしょで、これだよこれだよと、ひとりではしゃいでしまった。 おまけに、岩風呂だけがちょっとぬるめで、いつまでもつかっていられたのもいっしょ。 これだけで、半分、満足してしまった感はある。 蟹場から、バス停を通り越し、ハイキングコースのような山道を歩くこと15分。 道、間違っているのかな、と不安になる頃に現れたのが、ひなびた感じの孫六温泉。 川べりにある温泉は、露天と内湯。最初に内湯に入ってみると、これが、死ぬほど熱い。 長万部温泉にも負けないくらいの熱さで、とてもとても入っていられたものではない。 女風呂でも挑戦している人がいるらしく、ため息のような呼吸が聞こえてくる。 無理して無理して30秒がやっと。このあともあるだけに、無茶をするわけにもいかない。 川の横にあるのが露天風呂で、こちらは混浴。 脱衣所がいっしょで、扉を開けると、おじちゃんおばちゃんが着替えていて驚く。 邪魔するわけにもいかないので、ばさばさと脱いで、風呂場へと急いだ。 こっちのお湯は、とにかくぬるい。特徴があるとすれば、このぬるさ。すごく助かる。 電線に止まる、赤とんぼやおにやんまを眺めながら、内湯の熱さを冷ましていった。 つか、北海道もそうだったけれど、乳頭というか東北も、めったやたらととんぼが飛んでいた。 最後に立ち寄ったのが、黒湯温泉。 孫六から5分くらいで着くには着く。が、完全な山道、獣道。 ヒールなんぞで来た日には、滑って転んで大怪我しそうな雰囲気。気をつけないと。 黒湯という名前なのに、お湯は白濁。飲むと、まずい。硫黄の匂いがした。 浴室の雰囲気は最高で、おまけにぬるい。長湯するには文句なしだと思う。 バスツアーでハイキングに来たおじちゃんに話しかけられて、うだうだとおしゃべり。 ここも混浴だったので、どうせだったら、金髪美人だったら楽しかったのに、とは思わなかった。 今時、金髪美女もないだろ。パツキンなんて。ロシヤ語、話せないし。 のぼせたような状態でバス停に戻ると、ちょうど、田沢湖駅行のバスが出るところ。 このままいても、なにもすることがないので、大人しく乗せてもらう。山を下っていく。 他にも、数件、温泉宿があるけれど、態度が悪かったり高かったり遠かったりするので止めておいた。 というか、乳頭温泉はもういいや、って思った。 駅に素直に戻っても、乗れる電車がないので、田沢湖畔で途中下車。 ここのバスターミナルは、おみやげ屋がたくさんあって助かる。駅前だと食べ物が限定されすぎるので。 みそたんぽを買って、軽く昼食。綺麗に整備された湖畔を、失恋したかのようにうろうろとした。 残り少ない夏を楽しむように、子供たちが湖浴をしている。貸しボートもそこそこの人気。 時間があれば、自転車でも借りるところだけど、一周に2時間と言われると、さすがに遠慮してしまう。 1時間ほどの探索を終え、田沢湖の駅へとバスで急ぐ。 駅の待合室で、大慌てで手紙をしたため、バス停近くのポストに投函。 気がつけば、電車は入線している。18きっぷにはんこを押してもらって、帰りの旅が始まった。 いい加減に疲れていたのか、田沢湖を出発して、しばらくしたら眠っていた。 起きたら盛岡の手前。さすがにだるいというか、眠いというか。お腹がすいたというか。 終点で、東北本線に乗り換えて、ここからは、ただただ南下していくだけの乗り継ぎの旅。 外が真っ暗になった頃に、一ノ関に到着。 時間もあったので、改札を抜けて、駅そばで、とりあえず胃を埋めておく。 待合室は、新幹線を待つツアー客でいっぱい。その人たちに見られながら食べるのは美味しかった。 乗り換えた、同じ車両に乗り合わせた、若い女の子ふたり組は、田沢湖から同行程。 話し言葉からして関西方面の人たちみたい。今日は最後までいっしょの電車だった。 どういう理由かわからないけれど、がんばっているなぁ、と人事のように思った。 仙台では、仙石線に乗り換える。 これが立派な地下鉄で、だから、というわけではないが、乗り換えが面倒。 重たい荷物持ちには、なかなか厳しい経路。というか、疲れていたら、なんだって面倒だし。 でも、やってきた電車を見て、ちょっとだけ驚いて、疲れも忘れてしまった。 山手線で走っていた電車を改造して走らせている、とは聞いていたけれど、まさにそれ。 地下駅の立派さも手伝って、東京にいるのかと錯覚させられてしまった。 だから、次の駅で降りる時に、ドアの開閉ボタンを押すのを、すっかり忘れていた。 山手線だと思って、駅に着けば、自動的に開閉するものだと思い込んでしまった。 幸い、ここは仙台だ仙石線だと気がついて、降りられず、ということにはならなかったけれど。 次の日も同じようなことをやらかしてしまう自分は、もうろくなったなぁ、と思った。 榴ケ岡と書いて、つつじがおか、と読む駅で下車。仙台から一駅なんだけどね。 ここもまだ地下駅で、改札は自動改札。有人改札に人はいない。18きっぷで降りられない。 まいったなぁ、と、設置されていたインターホンで連絡すると、出る方法を教えてくれた。 地上に舞い戻れば、仙台駅は、遠くない程度に見える地点。 今夜の宿は、榴ケ岡からなら7分もあれば着く、メルパルクというホテル。 郵便関連のどこかがやっているらしく、この旅、唯一の門限付きだった。 部屋の方は綺麗で、温泉ではないものの、大浴場からの見晴らしも悪くなかった。 荷物を軽く片付けて、ちょっとだけ休んでから、夜の仙台に進出してみる。 メルパルクから歩いてみると、仙台駅は15分から20分、といったところ。 海側のこちらは、探索したことがなかったけれど、道が綺麗に整備されていて、悪くない。 コンビニが目立つのは、住宅街ということなのかも。住むのに、不便はなさそうだった。 仙台駅の連絡通路を抜け、今度は山側へと移動してみる。 商店街は、以前、うろうろしたことがあったけれど、繁華街の国分町は初体験。 土曜日の夜ということもあって、学生さんの酔っ払いが、とにかくわんさかといた。 すごく賑やかで、だけど、なにか怖い感じ。歌舞伎町の方が安全に思えた俺がおかしいのかも。 遅い遅い夕食は、びっくりドンキーでハンバーグ。 肉を喰って、少しでも体力をつけておかないと、なんだか死んでしまいそうだった。 でも、肉を喰っても疲れはとれず。つか、普通に考えて、睡眠不足なだけだし。 徒歩で宿に戻り、フロントで時刻表を借りる。 ふと思いついた計画も、調べてみると、そんなに負担にならないみたい。 それならばと、明日も結局、早起きをすることにした。素直に眠ればいいのに、と思った。 盛岡 0758(こまち71/\1470)田沢湖 0831 田沢湖駅*0850(羽後交通/\740)乳頭温泉 0934 乳頭温泉*1335(羽後交通/\650)田沢湖畔 1407 田沢湖畔 1502(羽後交通/\350)田沢湖駅 1514 田沢湖 1546(840M)盛岡 1646 盛岡*1704(1548M)一ノ関 1838 一ノ関*1901(546M)仙台 2042 仙台 2055(2029S)榴ケ岡 2058 040905(日) 8時に起きて、ちんたら準備。8時30分には宿とさようならをする。 榴ケ岡には、今朝は駅員さんがいてくれた。18きっぷに判子を押してもらえた。 なにげに珍しい判子な気がする。この駅から始まる旅をする人が多いとは思えない。 一度、仙台方面の終点、あおば通まで戻り、始発の快速列車に乗り換える。 先頭車だけ、ボックスというかクロスシートに改造されていたので、そこに乗り込んだ。 お客さんは、なかなかに多い。立っている人も、そこそこに目立つ。地元の足って感じ。 地下区間を終え、地上に出る。目的地が近くなると、海も近くなってきた。 下車駅の松島海岸まで、仙台から快速で30分。この近さだから来てみることにした。 風光明媚な松島は、駅を降りるとすぐに公園と海。芭蕉の感嘆した景色は、実に近かった。 でもだけど、今日は、あいにくの曇り。海に浮かぶ岩たちは、もやっていて、よく見えない。 晴れていたら、さぞかし綺麗なことだろう。と、ちょっとがっかり。日頃の行いってやつですか。 お寺を見たり、島に渡ったり、牛たんまんを食べたりで、あっという間の1時間ちょっと。 自分なりに堪能できたので、来た道を戻ることにする。仙石線で、仙台まで向かう。 これがまた混雑していて、終点まで立ちっぱなし。たまにはこういう時もある。 キオスクで、ここに来たら買わないと気が済まない、萩の月をおみやげに、東北線の南下を開始。 乗った電車は、むかしむかし、はるか昔に急行として走っていた車両。 小さい頃に買ってもらったプラレールの電車が、まさにこれ。ちょっと感動する。 同じきっぷで南下している人たちが目立ってきているのには、ちょっと萎えたけど。 なんだろうね、この感覚。同族嫌悪か。微笑ましさがない人たちには、どうも厳しい。らしい。 約1時間で、福島に到着。前から探索したかった町で、ここでちょこっと途中下車。 でも、歩き回って楽しい町ではなかった。というか、想像よりも小さくて驚いたほど。 仙台に次ぐ、ぐらいの町だと勝手に思っていただけのこととはいえ。ちょっと意外だった。 その福島から乗った電車の終点だった郡山は、ほとんど探索できなかった。 でも、丸井があって驚いた。郡山で立ち寄ることになるなんて、まさに意外。 ていうか、仙台にGAPがなくて、郡山にはある、というのが、俺には理解できない。 昼食に買った、パン屋さんのお姉ちゃんが、なまっていたのも驚いた。かわいい。 安孫子の辺りでも、老人はなまっていたわけで、郡山辺りだと、当然なのかもしれない。 郡山から20分ほどの、鏡石という駅で途中下車をする。 なんの変哲もない、よくある駅、としかいいようのない駅だった。 駅前の道を、ひたすら真っすぐに歩いていくと、役所があったり学校があったりもする。 明らかに、生活の町で、こんな所に温泉なんてあるのかしら、とかなり不安になってくる。 街道を横切って、下り坂が始まりかけた頃に、不動温泉の宿が見えた。ほっとした。 ここの温泉は、身体中に泡が付着することで有名、らしいけれど、それどころではなかった。 4人の幼児が、とにかく、はちゃめちゃにはしゃいで暴れて、落ち着いて入れる状況ではない。 それでなくても大混雑で、おじいちゃんたちも注意はするけれど、聞くのは10秒程度。ついてない。 でも、だからといって、お湯が悪いわけではなく、むしろ、好きな感じだった。 泡こそつかなかったけれど、ぬるめのお湯で、お肌がつるつるする性質を十分に味わえた。 2時間ぐらい入っていたくなる。もちろん、幼児抜きで。平日でないとダメだね、温泉は。 鏡石から乗った電車は、そこそこの混雑。 途中で、どうにか座れた。ふと隣を見ると、松島海岸の駅で、電車の写真を撮っていた男の子。 なかなかのこじゃれっぷりなのに、開いているのは大きな時刻表だった。 そして、男の子の隣にいる、かなりかわいいめがねっ子に、時刻表を見せて説明していた。 どうやら恋人同士らしい。俺みたいなマニヤにも、一筋の希望の光を与えてくれた一瞬だった。 つか、彼女としてはどうなんだろ。こういう旅とか、マニヤな彼とか。気になるわ。 終点の黒磯に着くと、旅もいよいよ終わり、という気が強まってくる。 乗り換えたのは、宇都宮行。ごくごく普通に見かける行き先で、日常感が出てきた。 車窓もだんだんと暗くなり、見えなくなり、きっぷの有効期限も、だんだんと短くなってくる。 宇都宮では、途中下車。 夕食を取る目的もあったし、旅の終わりの引き伸ばし、というのもあった。 東武宇都宮までぶらぶらと歩く。もっと早い時間に来ていたら、賑やかだった感じ。 名物の餃子は、適当に入ったらーめん屋さんで食べた。特に、どおってことはなかったけれど。 最後、といってもいい電車は、上野行の快速。 今なら、特別料金必要なしで乗れる2階立てのグリーン車が連結されていたので、当然、挑戦。 似たような考えの輩が多くて、しかも、空席に荷物を置いて占拠しているのが多い。 混んでいるのにマナーが悪いなぁ、と思いつつ、なんとか、1階の席を確保した。 そこで初めて気がついたのは、網棚がないこと。かといって、足元が広いわけでもない。 だから荷物を置いてもいい、というわけではないけれど、置き場所がないのも事実。 おまけに、別料金を払って座るほどの座席ではなく、なんか、あこぎだなぁ、と思った。 唯一、褒められるのは、1階席の窓側だと、ホームの女子高生のスカートがのぞけるくらい。 実際に見たわけではないけれど、その視線の高さは、新鮮で楽しかった。 1時間ほどの、ぱっと聞いたらちょっと豪勢な、でも実態はどおってことのない、グリーン車の旅は終わり。 大宮からは、川越線で川越に抜け、いつもの経路で帰宅した。 5泊7日の旅行も、問題あるようなないような感じで、とにかく修了。 終わるとやっぱり切ないね。 榴ケ岡 0851(842S)あおば通 0855 あおば通*0900(3921S/うみかぜ5)松島海岸 0928 松島海岸 1050(3022S/うみかぜ8)仙台 1113 仙台*1137(3582M/仙台シティラビット4)福島 1248 福島*1341(1136M)郡山 1428 郡山 1510(1138M)鏡石 1527 鏡石 1638(2146M)黒磯 1723 黒磯*1730(1586M)宇都宮 1820 宇都宮*1937(3548M/快速ラビット)大宮 2047 大宮 2058(1913F/快速)川越 2116 040906(月) さすがに疲れているみたいらしいようだ。 起きては寝て、起きては寝て、とてもとてもよく眠っていた。 夕方、函館の朝市で買った、かにが届いた。 大きくて、身もよく詰まっていて、とてもおいしかった。 と思う。かにの味なんて、よくわからないんだもん。 なんにしても、ほじくらずに食えたのは、とても嬉しかった。 040907(火) 失業保険の手続きに、近場の職安に行ってみた。 前情報どおり、駅からやたらと歩く。15分くらいあるかも。 お昼前に着くと、手続きは午後からになると言われた。 必要な書類だけ書いて、とりあえず出しておくことに。 午後、名前を呼ばれて、ちょこまかと質問される。 この時のお兄ちゃんは、普通に対応してくれた。 次の手続きの応対をしてくれたお姉ちゃんは、なにか怖い。 流れ作業で、手帳のようなものを渡されて、ひとまず終了。 あとは、指定された日に、職安に来ればいいらしい。 これがわからないと、次の予定が組めなかったので助かった。 帰りが早かったので、ほとんど知らない隣町に立ち寄る。 広がっているようで狭い町。発展していそうで、そうでもない町。 地元よりは、はるかに大きくて、いろいろとある町なんだけど。 やっぱり東京に出ないとだめかなぁ、とは思った。利便性はね。 040908(水) 特に理由はなかったけれど、渋谷に行ってみた。 人が若いなぁ、と思った。自分が老いているだけに、特に。 そのまま原宿まで歩いてみた。ますます若くなってきた。 アメ村みたいな客引きも増えた気がする。大丈夫かいな。 山手線で新宿にも行った。特にはなにもなかった。 そんな感じで、放浪しまくりの一日でした。 040909(木) 今日は、一日中、引きこもっていました。 どこかへ出かける気力もなくて、よくないなぁ、と思いつつ。 結局、部屋の壁とお話をして、一日をすごしました。 いかんいかん。 040910(金) 今日も、一日中、引きこもっていました。 どこかへ出かける気力もなくて、よくないなぁ、と思いつつ。 結局、部屋の壁とお話をして、一日をすごしました。 あ、でも、夕ご飯は、外へ食べに行きました。 どこの町にもある、ついでに中華をやっているらーめん屋さんに。 当然のようにらーめんを注文しました。こだわりのないらーめんでした。 奇をてらうこともなく、味を追及するわけでもなく、でも、おいしかったです。 こったらーめんばかり食べていると、こういう味が恋しくなるわけですね。 040911(土) 引きこもりも、たまには都内にお出かけします。 交通費の関係もあって、銀座なんぞに行ってみました。 楽しみにしていたGAPは、ビルの改装で閉まっていました。 こうなると、特に見るところもなくて、すぐに退散しました。 東京から国分寺まで迎えにいって、そのまま舞浜に行きました。 ボンなんちゃら、というおみやげ屋に入ると、げんなりとしました。 というか、ボクは思います。ここを楽しいと思う男子はいるのですか? ナニ見ても、かわいい、しか言わん女子に付き合う男子は大変すぎます。 そのあと、イクスピアリとやらをうろうろしました。 コムサやらGAPやらまであって、ねずみ関連だけだと思っていたボクはびっくり。 ついでという感じで、天賞堂があったのにも驚かされました。なぜに? ていうか、ドンキもGAPも、どの店舗に行っても客層が同じなのはすごいです。 舞浜の駅前でぼーっとしていると、花火が見えました。 5分くらいのものでしたが、柳を散らすような花火が綺麗だったでよかったです。 ていうか、これが目当てでした。無料で9月に花火を見る。懐を痛めずに。 全体的に、楽しんだようだったので、よかったと思いました。 040912(日) 大塚からバスに乗って、錦糸町に行きました。 丸井をうろついて、ゲームセンターで遊んで、電車で返りました。 とにかく暑い一日だったので、とにかく疲れました。若くね。 040913(月) 疲れがたまりすぎていたので、基本的には寝ていました。 一応、自転車の鍵を買って、住民票を買って、牛乳を買って。 そんなことはしましたが、でも、16時間ぐらいは眠っていました。 余計に疲れちゃったかも。 040914(火) 池袋に行って、丸井に行って、申し込んできました。 こういう機会でもないと無理なので、やるだけやってみます。 虎の子の貯金をはたいての入校です。背水の陣です。あとなしです。 つか、ボクにもできた、ってなるのか? できるのか? すごく心配。 とにかく、お金が無駄にならないように、精一杯、やってみますですよ。 040915(水) というわけで、入所式。 社会人向けらしく、今回は夕方から。 でも、来ていた人は、学生さんばかり。 軽く説明を受けてから、続いて適正検査。 できたような、できないような。大丈夫かしら。 落ちる人はいないらしいけれど、その少数派になりそうで怖い。 というか、俺が車の運転なんて。世も末だと思った。 |
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