「寒っい……。」 気がついたように、ユキノが急に肩を少し震わせて、翼で体を包みました。 街外れに出てから、少し夜風が強くなってきました。 その風に連れられた灰色の薄い雲が、衣を纏うように、少しずつ頂きの月を覆い隠してゆきます。 「寒いの、ユキノ?……もう、帰ろうか。」 少年は心配そうに、寒そうなユキノをのぞきこみました。 「大丈夫。行こうよ、音の正体見てみたいでしょ?」 「そうだけど……。」 「もう平気よ。行こっ。」 雪待鳥の少女は、額にかかった髪をさらりと揺らして、舞いあがりました。
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