光の人






 夢を、見ていた。


 夢の中で、私は、小さな惑星になっていた。

 広大な宇宙に描かれたレールを、たった一人で廻る、小さな惑星。


 遥か下方で、『惑星館』の機械が、幾つもの光の帯を投げかけている。
 それは、ぽん、ぽん、と闇の中に鉱石のような小さな星達を燈している。

 私自身をもその光で照らしながら。



 私は、廻りながら、時折その機械を見下ろす。

 何かを、確かめるように。


 そうして私は、深い、何処までも深い蒼の中を、泳ぐように、軌道上を廻ってゆく。

 機械の光が織り成す、たくさんの星を道標にして。



 不意に、ぱん、と音を立てて、機械がはじけとんだ。

 後に、ぼんやりとした、淡い微かな、超新星の光だけを残して。


 道標の星達が、溶け込むように消えてゆく。

 そして、私を照らしていた光が薄れて、軌道の上でただ一人取り残されて。


 私は、虚空に声にならない叫びを放つ。誰にも聞こえることのない叫びを。

 軌道の上で、じっと小さくなって、不安にひざを抱えたままで。



 そこで、目が覚めた。









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