ユキノは、その晩からベットでずっと眠り続けていました。 数年前と同じように。 まるで、生き物達が暖かい土の中で、息を潜めて春を待つように、毛布の中に小さな体を沈めたままで。 (前は、いつもこうだったんだ。) 黄金色の香草のお茶を飲んで、窓の外に降る雪を見ながら、少年はふと思いました。 雪待鳥の少女のいない、一人の冬の夜。 ただよう、りんごのようなお茶の香り。 言葉の消えた部屋に、絶え間なく鳴り続ける、薪の火のはぜる音。 それは、永い、ずっと終わらない夜のように感じられて。
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