· 育休の一日:生後四ヶ月
さてこのころの正隆と僕のふつうの一日を「育児日誌」を基に再現したいと思う。
朝八時正隆起床、妻と娘は登校、出勤。八時三十分に一回目のミルク。妻は七月の終わり(生後三ヶ月半)までは母乳も出て、ミルクとの混合栄養で育てたのだが、職場復帰が一ヶ月後に迫った八月、ピタッと出なくなってしまった。煮沸消毒した哺乳瓶にお湯をほどよく注ぎ、あらかじめ一回分ずつに分けてある粉ミルクを振り入れて溶かす。更にお湯をつぎたして規定量の2000CCに増やし、やはり消毒済みの乳首を取りつけてから水をはったボールの中でさます。適温を見計らって与える。ベッドに仰向けに横たえ、顔の横にのり巻きのように丸めたバスタオルを措いて、顔をその方向に向けさせる。乳首を口に突っ込んで哺乳瓶をのり巻きに安定させ、飲み終わるまで待つ。まじめに育児に取り組んでいらっしゃるお母さん方や、日頃新生児の面倒を見ていらっしゃる保母さんや看護婦さんたちからはゴーゴーたる非難を浴びてしまいそうだが、じつはこんな授乳方法が便利なのである。飲み終わると、たてに抱いてゲップを出させる。左手でお尻の下を支え、右手で背中を軽く叩くかさすってやると、「ゲーッ」と小気味よい音が口からもれる。そんな時、僕のほうがうれしくなってしまう。
片手で顔をこすり出した。眠いのだ。ベビーベッドに横にすると、すぐにうつ伏せになる。こんどは顔をシーツに何度も何度もこすりつける。こうしてほぼ午前中いっぱい眠ってくれる。こちらはその間、とくに見たくも無いテレビのワイドショーを見たり、台所の片づけや掃除をする。
目が覚める。十一時三十分、運地をしているのでおむつを替える。体をひねっていやがるので、例の口八丁手八丁の技で対抗する『はーいよしよし、いい子だね〜。お尻しりきれいきれいしますよー』思いっきりの笑顔をはずかしげもなく正隆に近づける。左手で両足首をにぎって(この時の力の加減が難しい。きつく握りすぎると余計に嫌がって泣き出す)持ち上げ、右手でティッシュ、次にウエットティッシュでお尻の運地をふきとる。お尻をきれいにしてから離乳食を与える。市販のベビーフード、コーンポタージュかりんごのすったものなどを食べさせ、その跡にミルクを飲ませる。食べ終えて一時間ほどするとまた眠そうになる。こんどは抱っこをしてあげる。二十分ほどで気持ちよさそうに眠る。ここぞとばかりテレビをつけ、時代劇を見る。番組が終わるころ、ギャーギャーとなきながら起きてくる。さっきの食事から三時間がたっているのでおなかがすいているのだと判断。またミルクをやる。飲み終えてしばらくすると、またねむたそう。こんどは自分でコロンと眠ってしまう。
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