前章では生命保険に関する基礎的な考え方について述べ、定期保険が最も優れているという結論を出した。
では、具体的に、どういった定期保険に加入すべきなのだろうか。
本章では、加入者をいくつかのパターンに分け解説していきたい
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1.個人で加入する場合
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個人で加入する場合は、10年満期の完全掛け捨てがお勧めである。
完全掛け捨てのため途中で解約しても戻りは無いが、掛け金が安い。その掛け金も10年ごとに上昇していくため、家族の状況を鑑みて保険の見直しをすればよい。
例えば、負担がきつくなったようであれば、死亡保険を減額して掛け金を調整すれば良いのである。
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2.法人で加入する場合
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(1)社長に掛ける場合
社長に保険を掛ける理由は2つある。
まず1つには、借入金(リースの残債を含む)対策である。
多くの中小企業では、会社が借入を行う際に社長が連帯保証をしている。そのため、特に後継者がいない場合、借入金を残したまま社長が死亡すると、その負担は遺族にかかってくる。このリスクを回避するために、社長に保険をかけるのである。
もう1つは、死亡退職金の財源である。
一般に社長の退職金は多額であるため、これを捻出することにより会社の財務基盤が揺らぐ可能性がある。そこであらかじめ保険を掛けておくのである。
但し、あくまでも死亡退職金の財源であって生存退職金の財源ではない。
ではどういった定期保険に加入するかである。
法人の場合は個人と違い、満期(70才や75才)まで掛け金が同額の保険がお勧めである。
このタイプの商品は保険料総額では個人向けと同じであるが、最初の段階では個人向けの定期保険に比べ、倍の掛け金を支払うこととなっている。(個人向けの商品は、掛け金が少しずつ高くなっていく)
法人向けの定期保険は、節税効果もある上に、解約時の解約返戻金も比較的高いことが利点である。
(2)社員に掛ける場合
<<a.養老保険を上手く使う>>
前章で養老保険の致命的欠陥について述べたが、実は2つの例外がある。
ひとつは“ハーフタックス”と呼ばれる次のケースである。
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ハーフタックス
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契約者 |
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法人 |
被保険者 |
= |
役員及び従業員の全て |
満期受取人 |
= |
法人 |
死亡受取人 |
= |
役員及び従業員の家族 |
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ハーフタックスと呼ばれるのは、掛け金の半分を損金として計上できるという税務上の特例があるからである。
通常、養老保険は定期保険とは異なり税務上資産計上する事になっているが、上記のような契約形態では福利厚生となるため、税務上優遇されるのである。
また、満期保険金を取得するにしても経費で落ちる貯蓄商品となるため、かなり高い利回り(年利3%程度)が期待できる。
もうひとつの例外は一時払い養老保険のことであり、定期預金より高い利回りが期待できる商品であるが、ここでの主旨とは異なるため詳細は省略する。
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<<b.団体定期保険を活用する>>
上述の通りハーフタックスを使うメリットは大きいが、毎回の掛け金が高いという難点を持っている。
そのため、ハーフタックスを使うことができる会社は比較的資金に余裕のある会社に限られてくる。
そこで、資金繰りに悩みを抱える会社には、団体定期保険がお勧めである。
これは個人向けの商品であり、前章でお勧めした完全掛け捨ての定期保険である。
しかしながら、10人以上の団体が加入した場合は割引が使え、より安く使うことができるのである。
なお、法人契約で定期保険に加入する場合は全額が経費で落とせるものに加入することがポイントである。
90才や100才まで期間のある商品は半分しか経費に落とせないため、注意が必要である。
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