「長野日記」
それでは、長野の報告を。
まず、何をしに行ったかというと、飲み友達のスキー屋さん（サロモン)のスタッフの基地となる、白馬スプリングスホテルにあるビアホール「メルツェン」というお店を、オリンピックの期間中「サロモンクラブ」として貸し切るので、そこで毎晩演奏をしてくれないか？と頼まれたので「オリンピック観られるんならいいよ」と、その後大変な騒ぎになるとも知らずに気軽に引き受けてしまったのが、今回の「長野のハコ」の始まりでした。（ハコとは、バーやキャバレーやホテルのラウンジなどで毎日演奏することをいいます。ちなみに、巡業のことはドサといいます。）さて・・・・・。
●２月６日
長野へ移動。新幹線は超満員状態で、しかもどこの国だか分からないくらい多国籍状態でした。 この時初めて、ああオリンピックなんだなあ、と思い始めました。
長野から車で白馬へ移動。到着後翌日からのハコに備えてお店の視察。要するに飲んだだけ。最後は居酒屋「もも」でバーボンのボトルをキープし準備万端？。
●２月7日
朝もはよから、開会式に行ってきました。なんだか凄いところに来たなあ、と実感してきた頃でした。本篇はここに書くまでもないでしょうが、１１時スタートの少し前に小沢征爾さんが観客にも歌わせようと第九の練習のために会場に登場したのにはビックリしました。ともかくオリンピックの開会式のその場にいた、というだけでも何だかわからない感動がありました。（聖火の点火者は小林幸子でもよかったかも）
終了後、善光寺の参道で蕎麦を食べ、白馬に戻り、「サロモンクラブ」オープンにむけて大慌てでセッティング。そして、一人ハコバンのはじまりはじまり。
毎晩９時半と、１０時半の２ステージ演奏する事になり、バイオリンとキーボードとバックバンド（なんて予算はないので、マックに伴奏データをいれてある）とPAを一人でこなすハメに。もう大変。
そしてオープン。初日から日本人外国人入り乱れての大盛況。みんな結構演奏にも耳を傾けてくれました。終了後、居酒屋「もも」へ。さすがにクタクタでバタンキュー。
●２月８日
二日酔いをものともせず、アルペンの花形競技、男子滑降（スタート地点が問題になっていた競技）へ。サロモンのスタッフはみんなIDで会場入りするのでトウシロの私は一人会場へむかいました。ところが、競技初日のせいもあって誘導の段取りがムチャクチャ。持っていたチケットは結構山の上の方のエリアだったのですが、案内されたゴンドラは１時間待ちで、こりゃだめだってんで別のリフトを乗り継いでやっと現地に着くと、悪天候のためしばらく様子をみる、とのこと。このしばらくがたいへん。１時間位待ってたかなあ。身体が凍りつきそうでなんだか笑いがでてくる始末。すると、ゴール地点のスタッフからの電話で「ネコ、中止だってよ」。さらに笑いがでて、極限状態。さて、降りようとして係の人に尋ねると「滑って降りるのがいちばんはやい」との御案内。もういや、と来たときと同じリフトに向かう。会場ではまだ、お待ちくださいのアナウンスが続いていたので、そこいらの人には、きょうはナシとおしえてあげました。 下りのリフトにのり、歩きでゲレンデを横切って乗り継ぎのリフトに乗ろうとしたら、係のオッサンが出てきて、このリフトは上り専用で下りは乗れませんと言われてしまい、またゲレンデを横切って雪山を徒歩で下ることに。このときになってやっと誘導の係員登場。トホホとはこのことなりの山下りでした。
やけくそ気味でスタッフとお好み焼きやで生ビール。ひとやすみして夜に備えてデータ作り。なんせバイオリン弾いてたら伴奏できないんで、バックバンドを打ち込まなきゃならないんですう。
夜は飛び入りのボーカルなどもあって盛り上がりました。なかなかいい雰囲気のバーとなってきました。そして「もも」で一杯。
●２月９〜１０日
雪、雪、雪。競技は延期の連続で払い戻しを巡ってトラブル続出の様でした。
でも、夜は盛り上がりまくってました。謎のノルウェー人のグループがリハンメルオリンピックのイメージソングで民族衣装を着て踊ったり、謎の会社社長が歌ったり、サロモンクラブ絶好調なりでした。
打ち込みもずいぶん進みました。
●２月１１日
モーグルの決勝に行きました。やっと晴れたこの日に、しかも里谷多英ちゃんが金メダルをとった瞬間にですよ！久しぶりに、涙がでる位感動しました。長野に来て本当によかったなあとおもったわけです。
この日はノーマルとポップの２種類の君が代を打ち込みました。国際色の強いサロモンクラブもこの日は日本だったなあ。
●２月１２日
早起きして男子滑降に再挑戦。ゴール付近で見てました。もうワクワクして待っていたのですが、今度は雨でまたもやキャンセル。自然の力は恐ろしいです。
ホテルに戻って雨にちなんだ曲を打ち込んでました。夜のサロモンクラブは今まででいちばんうるさい日でした。別に外人びいきなわけじゃないけど、外人達はどんなに騒いでもどこかで音楽を聞いているんですよ。だから突然踊りだしたり、歌いだしたりしても自然に盛り上がっていくんですが、この日は日本人中心でスタートして、演奏が始まったらうるさいなんて言う人までいる始末。しかも音楽より大きな声でワメキはじめたり、さあ、カラオケだなんて言われたりして、さすがに中断して帰ろうかと思いました。でも、そんなことどうでもいいやと自分の世界に入っていた淋しい夜でした。
居酒屋ももでもちょっとしか飲めませんでした。
ところでこの晩、サロモンクラブにビールを提供しているよなよなビールのおねえさん、とお話ししました。軽井沢の地ビールで、なかなか個性的な味のエールビールでした。おいしかったですよ。ちなみに彼女はマックのキーボードフェチだそうです。
●２月１３日
やっとやっとの男子滑降。金メダルをとったクレティエがこれまたなんとサロモンの選手。しかもフランス人の金は１９６８年グルノーブルのキリー以来ということでサロモンチームは大騒ぎ。
その騒ぎを横目で見ながら今度はフランス国歌の打ち込み。
サロモンクラブにはそのクレティエも登場し完全にフランスになってました。
一息つきに居酒屋ももへ。そして爆酔。
●２月１4日
またまた悪天候で競技が順延。昼飯には１時間並んでおいしい鰻を食べました。さすがに疲れもたまっていたのでのんびり昼寝しました。
サロモンクラブにはいよいよ里谷多英ちゃんが登場。そのほかにもたくさんの選手でにぎわいまくりました。 あんまりみんながハイテンションなので居酒屋ももで休憩していたのに、その後店にもどって飲み友達のスキー屋さんや店の人達と朝まで飲めや唄えや踊れや吹けやの大宴会。床に寝てしまうひと続出。
●２月１5日
ジャンプラージヒル個人の一本めを二日酔いのためテレビ観戦。でもいてもたってもいられなくなり２本目には現地に到着していました。酔いもすっかり醒めるほどの興奮がそこにはありました。だってまた金でっせ。泣いた〜。天候の関係でここまでに３回しか競技を観てないのに、関係者（と偉そうに言っても日本人だとかサロモンの選手だとかで、私の知り合いじゃあないですよ。でもそんなことどうでもいいって感じですよ、現場は。）が金をとる瞬間にいたなんて。
サロモンクラブは相変わらずの盛り上がり。そう言えば前の日からホテルの食事にも飽きてきてお店のまかないを頂いてました。居酒屋ももでは殆ど飲めませんでした。そして店に戻って今日は早く寝ようね、なんてはなしてたら飲み友達のスキー屋さんが登場、ワインで乾杯しました。トホホ・・・。
●２月１6日
男子スーパー大回転、女子滑降、女子複合滑降と一挙に３種目が行われました。もうチケットもぐしゃぐしゃでどの競技にも入れる事になってました。３種目分のチケットを持っていれば、１枚ですべてを観てあとの２枚を払い戻してもOKってことになってしまったわけです。なんだか・・・
この日もサロモンの選手が銀と銅を１つずつとり、アルペンで金銀銅獲得ということになりまたまた大騒ぎ。夜もいろんな選手たちが集まり、たいへん華やかなサロモンクラブでした。でも、この日で私の役目もおしまい。まだみんなが騒いでいるなかを撤収作業が進められました。長いかなあとおもった１０日間の一人ハコバンでしたが、あっというまに終わってしまいました。居酒屋「もも」にはいきそびれたなあ、と思いつつも店の人達とお疲れの乾杯をしていたら、もものスタッフの皆さんも挨拶に駆けつけてくれました。改めてみんなで乾杯して、一件落着。終了しました。斎藤ネコ頑張りました。と、自分をほめてあげたの巻でした。
●２月１7日
団体のジャンプに行きました。今度はキッチリ１本目から行きましたよ。原田がすべてのストーリーを作ったって感じでしたね。とにかくエライ！。ニッポン万歳！！。泣いた・・・。
そして、東京に戻りました。となるはずだったのですが、サロモンクラブがあまりにも盛り上がったために２１日のアルペン競技の最終日に志賀でもう一回演奏する事になってしまったのです。そこでわたしは、器材 たちと大移動。おまけにすごい吹雪。あんなに怖い雪道の移動は初めて。まあ、体育会系と付き合うといろいろな新しい経験をしますよ。
まあなんだかんだで長野〜東京１時間２１分で戻ってきて、そのあと門前仲町で飲み友達のスキー屋さんのご夫妻と食事（？）をして、ヘロヘロになって帰宅しましたとさ。
白馬の皆さん、死体になってしまった皆さん、そしてサロモンの皆さん、本当にありがとうございました。
● 部屋をちらかしっぱなしでごめんなさい。白馬スプリングスホテルのページ
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