あとがき

 第一話の公開が2000年の11月ですから、実に足掛け5年に渡って、だらだらと書いてきました「ビルフラン物語」も、ようやく書き終わりました。
 「ペリーヌ物語」に登場するビルフラン・パンダボアヌ氏の半生を描こうと思ったときは、まさかこんなに長くなるとは思いもしませんでした。とはいえ、自分が書きたいと思った展開の幾つかは私の力不足で書くことが出来ず、個人的には多少の心残りがあるのも事実です。
 しかしこの話を読み直して、改めて書き直すということはないと思います。消化し切れなかった伏線については、ぜひ読み手の方が自由に想像を膨らませてください。

 この話はあくまでも作者個人が「こんな話があったかも」という想像で書いているので、「もっとこうだったんじゃないか」という部分も多々あることと思います。更に言えば、「これはこうじゃないだろう」という部分も当然、出てきています。
 一例としてペリーヌという名前とオーレリーという偽名があります。
 私はこの話を書き始めるに当たり、最後のシーンを、エドモンが生まれた娘にビルフランの母親からペリーヌという名前をもらう場面にしたいと思っていました。こうすることで、アニメにおいてビルフランがペリーヌという名前を聞いたときに「いい名だ」と言うセリフにさらに深みが増すと思ったからです。
 そしてアニメにおいてビルフランが最初にペリーヌと会話するシーン、ペリーヌがビルフランの馬車を止めて目の手術を勧める場面がありますが、このとき、オーレリーと名乗ったペリーヌの給料を上げるようビルフランが命じます。その理由は、アニメでは単にペリーヌがビルフランの体の心配をしてくれたからとしか見えませんが、それだけでは少し根拠が弱い気がしましたので、私はこの作品の中で、ビルフランが以前から妻と同じ名前を持つ工員については、密かに賃金を優遇していた、という伏線を入れてみたのです。
 ですから私はこの話を書くに当たり、ペリーヌという名前は曾祖母から、オーレリーという偽名は祖母から借りた、という設定にしました。
 しかし現時点において、ペリーヌもオーレリーも、同じ聖人の名前に由来している、という説が有力のようです。
 このように幾つかの不備がある作品ですが、それでもここまで飽きずに読んでくださったことに、心から感謝いたします。

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