ときめきメモリアルショートストーリー

いつかきっと・・


第三話『あの人の笑顔』の巻

 あたし、朝日奈夕子。ひょんなことからあたしは留さんと名乗る謎の(?)
おじさんと出会った。で、今日だけは彼女になってあげる、なんて言っちゃっ
て遊園地に行くことになったんだけど……。

                 *

と、いう訳であたしたちは遊園地にやってきた。で、お目当てのビビールの乗
り場に意気揚々と向かった。そこまではよかったんだけど……。

「げげっ、凄い行列……。」
「おいっ、これ本当に並ぶのかよ?」
 留さんはうんざりしたような顔をしている。ま、それも無理ないか。あたし
だってこんな行列見たらうんざりしちゃうもん。考えてみたら当たり前だよね。
今日は祝日だし、天気は上々。しかもビビールは最新の人気アトラクションだ。
行列が出来る条件はしっかり揃ってる……。でもこれが目当てで遊園地に来た
んだし……、今更諦めるってのも・・・。
「留さん、並ぶの嫌い?」
 あたしは上目使いで留さんを見ながら聞いてみた。
「そりゃ、好きな奴はいないだろうさ。」
「でもこれに乗らなきゃ来た甲斐がないし……。」
「いいさ、並ぼうぜ。あんたはこれを楽しみにしてたんだしな。」
 留さんはあたしのがっかりした表情を見てそう言ってくれた。
「やったあ、ラッキー! 留さんってば話せるぅ。」
 留さん、絶叫マシーンは苦手だなんて言ってたから、行列を口実にして乗る
のをやめよう、なんて言い出すんじゃないかと、あたしは気が気じゃなかった
んだけど、いいとこあるじゃん。

 約一時間半は並んだと思う。でも漸くあたしたちの順番が回ってきた。あた
しはわくわくしながら搭乗口に向かい席についた。留さんもあたしの隣の席に
座った。でも留さんってばなんだか悲壮な表情をしている。意外だけど、ホン
トに苦手そう……。あたしは思わず心の中でくすくすと笑ってしまった。
「大丈夫よ、留さん、震えなくても。あたしがついててあげるから、ね?」
「ふ、ふるえてなんかねーやい!!」
 強がってそんなことをいうのがまたなんともかわいいんだよねー。十歳以上
も年上の男の人のことを“かわいい”なんて思うのは滑稽だし、もしかしたら
失礼なのかも知れないけど……、でも実際かわいいんだもん、仕方ないじゃな
い!(^^;

                 *

「もう最高って感じ!!」
 ビビールを降りてあたしは上機嫌で叫んだ。もう世界がグルグルと回ってあ
たしは風になったみたいな気分だった。ホンット気分爽快っ!!
で、同意を得ようと思って留さんの方を見やると、留さんは酔っ払ったような
足取りでふらふらしてる。目は虚ろでなんか魂が消し飛んだって風情だ。
「ちょっと留さん、大丈夫?」
 あたしはちょっと心配になって聞いてみた。
「ああ、だ、だいじょうぶだ。へん、ちっとも怖くなんかなかったぜ。」
 強がってこんなことを言う留さん。あたしは思わず吹き出してしまった。
 何、言ってんだ、あんた。ビビールに乗ってた間ずっと固く目を瞑っていた
のをあたしは知ってるゾ!
「留さんってば、ずっと目を瞑ってたくせに……。」
「はは、ばれてたか。でも目を瞑ってても凄かったよ。なんていうか……、ま
るで目蓋の裏で昇り竜七変化がパチパチと閃いたような気分だったぜ。」
 留さんはまだ足もとをふらつかせながら、意味不明なことを呟いた。
「え、何それ? 昇り竜・・??」
「ああ、なんでもねーよ。」
 訊ねてみたけど、留さんは教えてくれない。
「そう言われると気になるじゃない、教えてよ。」
「仕方ねーな。じゃ、教えてやるよ。“昇り竜七変化”ってのは花火の名前な
んだ。」
「花火??」
「そうさ。花火さ。昔、戦国時代の終わり頃だが、花火師伝八っていう凄腕の
花火師がいたんだ。その伝八が織田信長から注文を受けて、安土城落成の記念
に催された祝宴の時に一世一代のすげえ花火を作ったそうだ。その様はまるで
竜が七色に変化しながら夜空を舞っているようだったと伝えられている。それ
で“昇り竜七変化”と、名付けられたんだ。」
「へえーっ、そんなのがホントにあったの?」
「花火師の世界では伝説になってる。江戸時代以降何人もの達人が“昇り竜七
変化”を再現しようと挑戦したんだが、決して作り出すことは出来なかったん
だそうだ。それほどすげぇ花火だったらしいぜ。」
「ふうん、留さん、詳しいんだね。」
「実は俺も昔は花火師のはしくれだったんでな。いつか自分の手で“昇り竜七
変化”を作り出したいとか夢見ていたもんだが……。」
「ふーん。」
 なるほど。花火を作る職人さんだったのか、とあたしは一人で納得した。で、
それだけでは食べていけないからいい年してフリーターなんてやってんだね。
「あたしも花火って大好きだよ。ほら、とってもきれいだし華やかじゃない。
この街の神社の縁日でも何年かに一度花火大会があるんだけど、いつも楽しみ
にしてるんだ。」
「ああ、花火は夜空に咲かせる炎の芸術さ。一瞬のきらめきの為に花火職人は
精魂込めて花火を作るんだ。一つ一つの花火はすぐに消えてしまうが、そこに
は職人たちの魂がこめられているんだ。」
 留さんの声に熱がこもる。なんか今までは唯のうらぶれた中年間近のおじさ
んって感じだったのが花火の話になると声の調子まで若々しく変わってしまう
みたいだった。
「留さんって花火師だったんだ……。かっこいいじゃない。」
「いや、昔の話さ。今は唯のその日暮らしのフリーターだよ。」
「えっ? 花火作りはやめちゃったの?」
「ああ。」
「どうして? どうしてやめちゃったの?」
「いろいろあってな。」
 留さんは心成しか淋しそうな目をしてそう言った。でも、留さん、花火の話
をしてた時はなんだか目がきらきらしてたよ。きっと本当に花火が大好きだっ
たんだってことが、あたしにもひしひしと伝わってくるみたいだった。それな
のに……、どうしてやめちゃったんだろ? どうして今はフリーターなんかや
ってるんだろ? 聞いてみたい気もしたけど、なんだか留さんの淋しそうな顔
を見ていると聞くのがはばかられるような気がして聞けなかった。

「ねえ、留さん、もう一回乗ろうか?」
 もう一度、目蓋の裏で花火がパチパチしたらもっと花火の話をしてくれるん
じゃないかと思って、あたしはそう言ったんだけど、留さんは慌てて首を横に
振った。
「いや、俺はもういいよ。今度はもう少し落ち着ける……、そうだな、大観覧
車にでも乗らねーか?」
「観覧車かぁ・・、あたしああいうのは眠くなっちゃうからあんまり好きくな
いんだよね、それより、ゴーストハウスなんてどう?」
「ゴーストハウス?? あんた刺激の強いもんが好きなんだな。」
「もちろんよ。」
「確かにあんたを見ていたらそういうのが好きそうな感じではあるが……。」
「まさか・・、留さん怖いの?」
「馬鹿言うな。」
「じゃ、決定ね。行こ行こ。ゴーストハウスは・・、と、あ、こっちだね。」
 あたしたちは入り口で貰ったパンフレットの園内案内図を見ながらゴースト
ハウスに向かった。

                 *

 その時、向こうから歩いてくるカップルの姿が目に入った。何気なく見ると
それは、あたしが秘かに本命と心に決めているあの人だった。そして一緒にい
たのは……、ゆかりだった・・・。
 ゆかりはあたしと同じクラスの女の子だ。時々、話もするし彼女の家に遊び
に行ったこともある。古式不動産の社長の一人娘でおっとりとしてちょっと調
子の外れた変な子であたしとは正反対の性格してるんだけど、そのせいか妙に
ウマの合う子だった。

 二人は楽しそうに言葉を交わしながらこちらに向かって歩いてくる。二人の
姿が目に入った瞬間、あたしは頭の中が真っ白になってしまった。なんていう
か、ものすごいショックが体の中を駆け抜けていくような・・、そんな気分だ
った。
 あたしは慌ててまわれ右をして二人から遠ざかろうとした。で、あたしの後
ろを歩いていた、留さんに鼻からぶつかってしまった・・・。
「おいおい、どうしたんだよ。」
 留さんは不審そうな顔をして言った。そりゃそうだろう。こんなにいきなり
方向転換しちゃったら不審に思わない方がおかしいよね。
「あんたにぶつかられたのはこれで二度めだな。」
「あ、ごめん、留さん、気が変った。やっぱり留さんの言うとおり観覧車に乗
ることにしよ。」
 あたしは今ぶつけた鼻をおさえて留さんに言った。
「観覧車は眠くなるんじゃなかったのか?」
「いいからいいから。」
「なんだよ、気紛れな奴だな。」
 留さんは呆れたような顔をしている。でもあたしはそれどころじゃなかった。
一刻も早くその場を離れたかった。あの二人に見つからないうちに……。
「まあ、別にいいけどな。でもそれ以上鼻が低くなったらかわいい顔が台無し
になっちまうぜ。」

 二人のことは薄々知っていた。ゆかりは自分から積極的に話し掛けてくるよ
うなタイプじゃなかったけど、訊ねればなんでも隠し事なんてしないで話して
くれたし、最近よくあの人と一緒に出かけているらしいと言うことも聞いてい
た。だからホント言うと心の中ではあの人のことは半分諦めかけていたんだよ
ね。
 でも頭でそれを知っていることと、実際に二人が仲睦まじく過ごしているの
を目の当たりにすることは全然違うことだった。なんだか目を背けたい現実を
目の前につきつけられたような、そんなショックがあたしの体の中を駆け巡っ
ていた。
 あの人、ゆかりと一緒の時はあんな風に笑うんだね。本当に安心しきったよ
うなあたしには見せたことがない安らかで楽しそうな笑顔……。
 あの人あんなに優しい瞳でゆかりのことを見つめるんだね。一体、どんな話
をしてるんだろう。あたしの知らないあの人とあたしの知らないゆかりがそこ
にはいた。

「おい、どうしたんだよ。あんたちょっとおかしいぜ。さっきから黙りこんじ
まって……。」
 あたしの様子を見て不審に思ったのか、観覧車の中で留さんが声をかけてき
た。
「え、あ、なんでもないよ。」
 あたしは慌ててごまかすように言った。いつの間に観覧車に乗っていたのか
あたしには記憶がなかった。なんだか頭の中がぼうっとして奇妙な脱力感が体
中を満たしていた。
 窓から外を眺めてみると観覧車は徐々に上昇していくところだった。下には
豆粒みたいな人たちがうようよとうごめいている。あの中にあの人とゆかりも
いるんだよね・・。きっと爽やかな初夏の一日を二人で満喫しているんだろう。

 その時、いきなり観覧車がガタガタと大きく揺れた。
「きゃっ」
「おっと、なんだなんだ。」
 留さんはびっくりして外を見回している。観覧車はひとしきり揺れたかと思
うと動きを止めてしまった。
「おい、どうしたんだ、止まっちまったぜ。」
 留さんは立ち上がってきょろきょろとしている。

『ただいま、観覧車の動力にトラブルが起こりまして、停止しております。暫
くお待ちください。』

と、いうような放送が流れてきた。そういえば、忘れてたけどこれもこの遊園
地の名物なんだよね。この観覧車かなり古くなってて時々故障して止まっちゃ
うんだ。
 あたしはそのことを留さんに言った。留さんはため息をつくと座席に座り直
した。
「ふーん、そうなのか。ま、仕方ねーな。直るのを待つとするか。」

 止まってしまった観覧車の中であたしたちは暫く無言のままで向かい合って
座ってたんだけど、やがて留さんが口を開いた。
「あのな、ちょっと聞いてもいいか?」
「えっ、なに?」
「あんたがさっきからぼうっとして心ここにあらずって感じになってたのは、
もしかして、さっきの二人づれ、あの二人が原因か?」
「えっ?」
 そう言われてあたしは驚いて留さんを見つめた。
「やっぱりそうか。あの二人を見て急にまわれ右をしたかと思うと、黙りこく
っちまったからな。口から先に生まれたみたいにうるさいあんたが、いきなり
沈んだ様子になっちまったから変だとは思ってたんだが……。」
 留さん、鋭い……。まさか留さんがあの二人のことに気がついていたなんて
あたしはこれっぽっちも思っていなかった。
「あの男が、あんたの言ってた本命の男か?」
 留さんが訊ねる。あたしは小さくこくりと頷いた。
「でもあんただって別の男とデートの予定だったんだし、卒業の日までは広く
浅く多くの相手と付き合うのがきら高の伝統だって、あんた言ってたじゃない
か。別にあのお下げの女の子があいつの本命と決まった訳じゃあるまい?」
 留さんはあたしに元気を出させようとして言ったんだと思う。でもあたしは
うつむいて首を横に振るばかりだった。
「ううん、違うの。違うんだ。あたし、分かってたんだ。あの人が思っている
のはあたしじゃないって。ゆかり・・さっきの女の子の名前だけど・・のこと
を想っているって判ってたんだ。判ってたけどそれを認めたくなくて、目を反
らしてた……。それをはっきりと目の前に突きつけられちゃってそれがちょっ
とショックだったの。」
 あたしはうつむいてそう言った。そしてそれからポツリポツリとあの人のこ
とを話し始めた。留さんは時々相槌を打ちながら、真剣な顔をしてあたしの話
を聞いてくれた。

「あの人に始めて会ったのは偶然だったの。その日、友達と映画を見に行く約
束してたんだけど、待ち合わせに遅れそうだったんであたし急いでて、ぶつか
っちゃったの。その時、素敵な人だな、と思っちゃって……、でもどんな風に
話し掛けたらいいか判らなくてそれから何度かわざとぶつかって話をするきっ
かけを作ってたんだ。」
「ふーん、あんた見掛けによらず初心なんだな。」
「えへへ、似合わないよね、あたしなんかに……。」
「そんなことはないよ。」
「で、それに気付いたあの人の親友で、あたしの中学時代からの知り合いだっ
た、早乙女好雄ってのがあの人に紹介してくれたの。」
 あたしの脳裏にあの人と過ごした時間が蘇ってくる。それは甘くてそして苦
い思い出だった。
「あの人とはいろんなところに遊びに行ったよ。その度にどんどんあの人に惹
かれていくのが判った。あたし、落ちこぼれでさ、学校の友達はなにげなく振
る舞っているように見えても、ホントはみんなあたしのことを心の中では馬鹿
にしてるのが判るんだ。あたしもみんなのイメージ通りの明るくてちゃらんぽ
らんな女の子を演じてた。あの人の前でも同じだったんだけど、あの人はあた
しが落ちこぼれだからって、気にするような素振りは全然見せなかったの。」
「うん。」
「あとで好雄に聞いたんだけど、あの人も淋しい人だったんだって。あの人の
住んでる家の隣に同い年の女の子が住んでるの。藤崎詩織さんって言って、あ
の人の幼馴染なんだけど、子供の頃から成績優秀、スポーツ万能、容姿端麗で
性格もよくて、絵に描いたようなスーパーウーマンな訳よ。で、あの人は小さ
い頃からずっとその子と比べられて育ったんだって。
“藤崎さんとこのお嬢さん、また成績トップだったんですってね。運動会でも
活躍してらしたし本当に素晴らしいお嬢さんだわ。それに引き換えお隣の男の
子は……、”てな具合にね。
 彼のお母さんもなにかにつけて彼を藤崎さんと比べて嫌みを言ったそうよ。
“詩織ちゃんはあんなに優秀なのに、あんたはどうしてこうなの? 本当に肩
身が狭いわ”なんて、しょっちゅう言われてたんだって。
 だから落ちこぼれのあたしの気持ちも彼なら判ってくれると思った。それに
あの人は本当に優しくしてくれたから……、だからあたし勘違いしちゃったん
だよね。あの人となら同じ痛みを持ってるからうまくやっていけるだろうって。
でも違ったんだ。あの人が求めていたのは同類相哀れんでお互いに傷を舐め合
うような相手じゃなくて、そのままのあの人を優しく包み込んでくれるような
人だったの。」
 やだ、涙が出てきちゃった。なんであたしこんなこと話してるんだろ……。
それも今日初めて会ったばかりの留さんを相手に……。
 頭の中をちらっとそんな思考がかすめたんだけど、あたしの口は止まらなか
った。
「ゆかりはいつもぼお〜っとして、ワンテンポずれてて、何考えてるのか判ら
ないような子なの。それで最初はなんであの人がゆかりなんかに惹かれたのか
判らなかった。あんなとろい子よりはあたしの方が絶対魅力的だと信じてたも
ん。でも……、違うのよね。ゆかりは変な子だけど、心の中は本当に真っ白で
きれいな心を持ってるの。あの人の痛みを癒してくれて、あの人が一緒にいて
心の底から安らげる相手はゆかりみたいな子だったのよ。あたしは……、あん
な風には絶対になれないもの……。」

 たぶん、いつも身近にいる親しい人が相手だったら、絶対こんなこと話さな
かったと思う。身近な人にはあんまり弱みなんて見せたくないもんね。
 でも留さんは今日知り合ったばかりの他人だから、行きずりの人だったから、
ついこんな話をしてしまったのかも知れない。それに留さんと一緒にいるとな
ぜか安心出来るような気持ちになれたんだよね……。

「でもあんたはあんたでいいとこも持ってるさ。きっといつかあんたのよさを
判ってくれる人が現れるよ。月並みな言い方だけどよ。」
 留さんが言った。ホントに月並みな言い方でしかないけど、留さんの口調に
はすごく暖かさがこもっていて、あたしの心に染み入ってくるみたいだった。
「ありがと、留さん、優しいんだね。ごめんね、湿っぽくなっちゃって。あた
しなんかに似合わないよね。
「そうでもないさ。誰だって、心に痛みを抱えてるもんさ。ほら、涙拭けよ。」
と、言って留さんはハンカチを差し出してくれた。でもそのハンカチは……。
「やだ、留さんってばこのハンカチ洗濯してる? くしゃくしゃじゃない。」
「一応、洗濯くらいしてるさ。アイロンはかけてないけどな。」
と、留さん。あたしは思わず泣き笑いの表情になってしまった。

「ま、俺だって恋愛じゃ、痛い目にあってるからな。なかなかうまくはいかな
いもんさ。」
「あ、そういえば昔、つきあってた彼女さんがいたって・・。」
「ああ。」
「でもその人どうかしてるわ。留さんみたいないい人ふっちゃうなんて。」
「いや、俺はいい人なんかじゃねーよ。それにさっきはふられたって言ったけ
ど、本当はふられたんじゃなくて死んじまったんだ。」
「えっ、病気かなんかで・・?」
「いや、俺が殺したんだよ。」
「え・・?」

                           <つづく>


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