TOTO/TOTO

念のため、これは TOTO のファーストアルバムである。確か、'78年末か'79頭に出ており、ちょうど中学の卒業直前に出たアルバムということになる。時期的には Van Halen なんかと同じ頃のデビューだと思うのだが。

世間では、当時は「80年代のサウンドはこれだっ!」式のプロモーションが多かったけど、この TOTO に関しては、最初のシングル "Hold the Line" が妙にかっこよくて、ラジオで聞いた1週間後にはシングルを購入していた。新聞配達のバイ後は受験前でまったくやっていなかったから、アルバムを買う余裕がなかったが、高校に入ってから、友人のTか、別の同級生Mあたりにダビングしてもらった様な記憶がある。

それにしても中学の頃は随分とラジオ(それもAM; 地元には HBC北海道放送しかなかったけど)を聞いたもんだ。夏場は短波ばかり、冬場は中波ばかりきいていたなぁ。毎年冬になると6時から8時の2時間枠で、「ベスト100マラソンランキング」という、北海道ローカルの、電話リクエストのみによる歌のランキング物があり、それを聞くのが冬の間の日課みたいなもんだった。上位2曲は’77、’78といつも決まっていて、ビートルズの Let It Be と、当時大ブームだった宇宙戦艦ヤマトの主題歌が首位を争っていた。ピンクレディも当然上位だったが。電話リクエストのみなので、相当昔の曲でも平気で順位に入ってきていたし・・・なんか良い時代だったな。今もやっているんだろうか?あの頃はラジオで繰り返し聞いて気に入るという曲も多かったのだが。最近はそれは5年に1曲あるかどうかである。

さて、その後、セカンドがポップさをちょっと増しつつのストーリーアルバムになり、一部のファンが離れたものの、「99」などのヒットでより多くのファンを掴んでいったのだが、ファーストアルバムは、まだまだ売れる前で、スタジオ屋さんが結構趣味で作っている様な感じも受ける。子供の凱歌、Hold the Line、ジョージー・ポージー、ガールグッバイなどなど。今聞いてもミーハー過ぎず、演奏は新人離れしたしっかりさで、やはり良いのだ。

今は、聞くとまずどうしてもベースが良く聞こえてしまうというか、気になってしまうのであるが(最近少し慣れてきたので、そういうのを無視もできるけど)、Hold the Lineを初めて聞いた頃は実はまだギター少年入門時代で、あのギターソロにやられてしまったのだ。つまり僕にとっての最初のギターヒーローとでもいうべきか。

シングルを買った1、2ヵ月後には「ウェストミンスター」のレスポールモデル(デタッチャブルネック、ハムバッキングの様で居てシングルコイルだったと思う)を手にした訳だが、入門者といえば、やはり「○○奏法」という本から入っていくのが多いんじゃなかろうか?いや、僕らの頃は多かっただろうと思う。

'79年頃は、3大ロックギタリストというと、ブラックモア、ペイジ、クラプトンのあたりだったか。ギター雑誌増刊の入門書などでは彼らに加えてベック、イーグルスの二人、サンタナ、チャーなどが登場していた様に思う。時代的には、まだディストーションという単語が普及しきっておらずにファズと呼ばれていた頃。大抵、この手の本は春に出る事になっていて、準備の時期を考えると、この Hold the Line のギターソロの採譜というのは間に合わなかったみたい。また、まだ人気もあまりあったとは言えなかったかもしれないし、何しろ Van Halenのデビュー盤の方がギター雑誌向けにはインパクトあっただろうし。(タッピングではなく、ライトハンド奏法という名前で79年当時のギター雑誌の話題独占だったと思う)

その数ヶ月後に、僕はギター少年になり切れないままにベースを選択している。同様の雑誌増刊のベース版はというと、これが、わずか3ヵ月の差だったと思うが、もう Hold the Line が載っている。まぁ、難しさの違いなんてのも考慮されているんだろうが・・・もしギターの方でルカサーのソロが採譜してあったなら、ひょっとしたら僕はギタリストを目指したのかもしれない。

それはともかく、高校生の頃の僕の耳・・・というか、僕の周りの耳にとっては、 TOTO II, TOTO III はどうもポップ・ロック過ぎたのか、あまり人気はなかった・・・それでもSt. George and the Dragon, 99, Good bye Elenoreなどはどこで何を聞いていても耳に入って来たから、相当売れていたんだろう。

大学に入り('82)、フォークソングサークルというところで、僕は Flash Bombers というバンドを結成することになる。まぁ、大学生のお遊びのコピーバンドなんでたいした事はないんだが、ここで、バンドで何をするかに困り(だったら一緒に組むなよ、って声もありそうだけど・・・)メンバー皆の「最小公倍数」である TOTO をコピー対象として選択。ちなみにこのコンセプトは未だに色々つるんで遊んでいるギターのHによるもので、「これならやってもいい」という妥協的結論のこと。逆に「最大公約数」の方は「これな全員が好き」という共通項の選択というめでたい結論。このどちらかじゃないと大体トラブることが多い。まぁ、知らないジャンルでも徐々に洗脳されていくということもあるのだが(音楽は繰り返すと好きになる)。

大学に入ってからは、やはりどうしてもベースに耳が行く様になってしまい、悪い職業病なんだが、そうして聞いてみると David Hungateは実に多彩なスタイルを持っていて、飽きない。音作りのセンスも良かったし・・・で、この人は、これまでのところ一番コピーしたベーシストということになると思う。この人を見てると、色々できなきゃアカンちう気がしてくるのである。

TOTOはその後 Rosanna, Africaを収めた TOTO IV を '82 に発表し、秀逸なビデオクリップ(当時はようやくクリップと呼ぶようになり、プロモビデオとは言わなくなったような気がする)と、 FM 音源を駆使したキーボードワークで、頂点を極める。この後 Hungate の脱退、ボーカルの交代などがあり、僕の中での TOTO は終わってしまった。返す返すも残念なのは、リアルタイムで聞いてきて、 TOTO IV の時には東京に居たにもかかわらず一度も TOTO のライブを見られなかった事。生で見たかったな。

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