「ワンス・アポン・ァ・マットレス」 直前インタビュー 11月3日より青山劇場でスタートした「ワンス・アポン・ァ・マットレス」。道化役に臨む吉野圭吾さんにお話を伺いました。
|
−久しぶりのミュージカルですね。
圭吾:そうだね。「ジョセフィン」以来だけど、「ジョセフィン」も結構レビューっぽかったし。…ミュージカルは楽しいよ。歌も、おっきいのが4曲あり。楽しい踊りもあり。
みんな、面白いから観に来てねー(笑)。
−タップもあるそうでびっくりしました。
圭吾:ええ自分もびっくりです。でもちょこっとだけですよ。踏むっていうよりちょっと「歩く」程度の感じで。
−「TOY BOX」の時、これが最初で最後だと。
圭吾:言ったのに(笑)。おかしいなあ…こんなに早く来るとは思わなかった。
でも楽しいよ!そのナンバー、大好き。…だからってこの先もやるとは限らないけど(笑)。
−今回、苦労されているところは?
圭吾:言葉が難しいんだよ。「なんとかでございます」とか、ですます調みたいなしゃべりにくい言葉が多いじゃない?たとえば…「記録によりますと、陛下が王冠をお外しになり女性にひざまづかれましたのは現在のお后様にプロポーズなさったその時から一度だけ20数年ぶりのできごとです!」…ここが一番、自分としてはネックのとこなの(笑)。
−身振り手振りも多そうですね。
圭吾:多い。大げさ(笑)。それぐらいやらないと、衣装に負けるからさ。
−衣装ですが、重くありませんか?
圭吾:重い。頭も、ツノがついてるから、手も上に上げられないんだよ。 ツノに当たると全部、顔までずれちゃうし、メイクも剥げちゃうから。
−メイクは、ある程度自分で遊べたりするんでしょうか?
圭吾:あ、しますよ。自分でもう、好き放題。
−あんなに塗るのは道化だけですよね。
圭吾:ジェームス(小野田)さんも派手だよ。俺も派手ですけど ジェームスさんのほうが派手です(笑)。−王様の身ぶり手ぶりを解き明かして、通訳するわけですね。
圭吾:そうだよ…日常からやってます。稽古場で、別に芝居やってないときでも、王様が黙ったまま何かやると、俺が「わかりました」と(笑)。 鶴田忍さんがすごくいい人で、助けてもらってます。
−長いお話なんでしょうか?
圭吾:いや、そんな長くない。2時間ちょっとかな。原作にしてみたら、2ページの話なんですから。
−それを面白くふくらました感じ。
圭吾:うん。なんかいいよ。二人の愛もあり、まわりの愛もあり。親子の愛というか、その家族の愛もあり…けっこう「愛」がテーマだね。…面白いと思うよ。客席で観てみたい。
道化やってて、たまにジャン・ミッシェルになってる時があるんだって(笑)。 けっこう、素になる場面があるんだけど、「ラ・カージュ」の時にもついてたスタッフの人が「あそこ、ジャン・ミッシェルみたいだよね」って。 て言われると俺が「アンヌ…」とかって歌うんですよ(笑)。−製作発表の記者会見ですが、どんなことをやったんですか?
圭吾:ファッションショーみたいな舞台に一人ずつ出ていって、そこでなんかくるっと回ったりして(笑)、一言しゃべる。ちょっと緊張しちゃったよ。出たらいきなりカメラがいて「わー、カメラだ」と思ってさ。ツーステップ踏もうと思ったら手と足がナンバ※になっちゃって「何やってんだろう俺」(笑)。
出て行って、ヘソのところでアピールして帰って来る、っていうだけしか決まってなかったんだ。曲が流れるって聞いてたけど、何の曲かも知らなくて、だいたい「道化の時の曲だろうな」と思ってて。「あ、当たった。やったー」と思って出てったら、手足がナンバだった(笑)。
昼間なのにいきなり「みなさん、こんばんは」とか言ってしまいました。 「こんばんは…あ、すいません、こんにちは」(笑)。※手と足が同時に出る歩き方
−「こういうの初めてだな」と思うような新鮮な部分はありますか?
圭吾:ひとの台詞までしゃべるところ(笑)。 王様の台詞の間は王様がしゃべってるわけだから、俺は俺で「反応」しなきゃいけないんだよ。だから「おい!」って言いながら「はい!」っていう動きしなきゃいけない。…王様の気持ちに入って行っちゃうと、もうすっかり「自分」の台詞をしゃべってる気になるんだよ。で、次が俺の台詞なのに忘れちゃうんだ(笑)。 そんなことが多々あります。
でも、本当にに二人いる、っていう風にできるといいなあと思うんだ。そしたら見事だなあと。そこを目指したいと思います。圭吾:でも悲しいことに吟遊詩人と道化には、名前がありません(笑)。 魔術師にはマートンっていう名前があるんだけど、道化は「道化」、吟遊詩人は「吟遊詩人」で。でも吟遊詩人は(役どころ的に)アンデルセンなんじゃないかってジェームスさんが言っていました。
道化は「オイル」みたいなものかな。なんかいい潤滑油になればいいっていうか… なんていうんだろう、物語の中の錆びた部分の動きをよくさせるような、オイルの役割ではないかと思っています。−今後はハードスケジュールですね。
圭吾:ハイ。6日から「世界中がアイラブユー」の稽古も入ってきますよ…健康に気をつけてがんばりたいと思います(笑)。
−数作品が切れ目なしに続いていくということで、いきごみを。
圭吾:やるよ(笑)。とにかくやる!先のことは考えずに、今日をみつめて1日1日、やりたいと思います。作品ごとに雰囲気が違うから、一個一個で違う「吉野圭吾」が見せられたらいいよね。自分なりの役、作りたいと思います。がんばるぞー(笑)。
11月3日に開幕した「ワンス・アポン・ァ・マットレス」。みなさんはご覧になりましたか?
道化の見事な通訳や実況や踊りはもちろんのこと、お話も歌も演奏も登場人物たちも、見逃したらもったいない豪華で楽しくて素敵な作品です。ぜひ青山にお運びになって、ご感想を聞かせてくださいね!